週刊「歴史とロック」

歴史と音楽、たまに本やランニングのことなど。

2017年大河ドラマ 『おんな城主 直虎』

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僕の知ってる大河ドラマは死んだ
でも、きっとこれでいいんだ


今年のNHK大河『おんな城主 直虎』
正直、僕はまったく期待してなかったんだけど、
始まってみると意外や意外、けっこう面白いです

いろいろな事件が起こるのに台本がとてもよく整理されているし、
キャラクターもきっぱりはっきりしている。
子役の3人もめちゃくちゃ上手ですね。
おとわ役の新井美羽ちゃんは出演者クレジットで堂々の先頭を飾っていましたが、
これってもしかしたら『義経』(05年)の神木隆之介くん以来じゃないでしょうか。
あと、井伊谷のロケーションも素晴らしいですね。
毎日家からあんな景色が見られるなら僕も住んでみたい。
あんな場所よく見つけてきたなあ。

でも、今挙げたことはどれも、
僕の知ってる大河ドラマとは正反対の要素ばかりです。

僕にとっての大河ドラマとは、
まさに「大河」という名の通り、
重厚で骨太なものでした。

それは単に、作り込まれた衣装やセット、
大規模な野外ロケによる迫力ある合戦シーンといった、
「スケールの大きな時代劇」という意味ではありません。
むしろ、1年もの時間をかけて一人の主人公を追うことで見えてくるのは、
子供が生まれる喜びや愛する人と別れる悲しさ、
敵への激しい憎しみや時には肉親とも争ってしまう愚かしさといった、
時代の表層がいくら移ろっても変わらない普遍的な「人間」の姿でした。

僕はまるで、日曜8時からの45分間は、
そこだけ現代とは切り離された時間が流れているように感じていました。
TVの前で思わず背筋がピンと伸びるような、
見ている間は息をするのも憚られるような、
そんな緊張感こそが僕にとって大河ドラマの醍醐味でした。

それを思うと、『直虎』は(今のところ)驚くほどほのぼのしてます。
いえ、物語の中ではそれなりにハードな場面は出てくるのですが、
それでも最終的にはハッピーエンドになるんだろうという予感というか、
最低限の安心は保障されているような感覚があります。

それは例えば、元気いっぱいのおとわとそれを見守る気弱な直盛と厳しい千賀、優しい直平という
「絵に描いたようないい家族」の構図のせいかもしれませんし、
おとわと亀之丞、鶴丸の3人の関係とそれぞれのキャラクターが、
この先の展開が容易に想像できるほどわかりやすいせいかもしれません。
いずれにせよ、「この先どうなるんだろう」というハラハラドキドキよりも、
ある程度着地点を予想させたうえで、そこに向けてどうやって進むのかを、
いわば確認するためにドラマを見ているような気持ちになるのです。

元々大河ドラマは21世紀に入って以降、
こうした傾向が顕著でした。
現代劇と変わらない台詞回しや、「主人公は善、敵方は悪」という類型化されたドラマ、
その人自身の人生よりも主人公との関係性によって決まる「役割」重視の人物造形など、
かつての大河のようなリアルさやカオスさよりも、
見やすさや安心感の方に重点が置かれてきました。

こうした変化を、僕は大河ドラマがアニメ化していくようだと感じていたのですが、
『直虎』がもたらす安心感は、もはやアニメ化とかそんなレベルを突き抜けて、
「朝ドラ化」という段階にまで到達したような気がします。

そう考えると、花をシンボリックに使った「みんなの歌」のようなオープニングも、
時代設定を無視した色艶のいい役者の肌も、
丁寧にキャラクターを説明してくれる衣装のデザインも、
なんだかすべて納得してしまいました。
ここまで振り切ってくれるなら、アニメ化大河ドラマを苦々しく感じていた保守派の僕としても、
むしろ清々しいくらいです

『直虎』の第1回を見終わった時に感じたのは、
「ああ、大河ドラマはもう本当に別のものになったんだな」という感慨でした。
本当はとっくの昔に変わってたんだろうけど、
僕はこの作品でようやく諦めがついた気がします。

もちろん、だからといって、
「昔の大河ドラマの方が圧倒的に面白い」という考えは揺るぎません。
ただ、これからは未来の作品にかつてと同じ面白さを期待するのではなく、
一人で静かに『武田信玄』(88年)の再放送や、
『太平記』(91年)の完全版DVDを見ていようと思います。




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L⇔R 『Singles & More』

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14歳の頃よりも
今のほうが彼の音楽が好き


中学2年で初めてギターというものを手に入れたとき、僕にはまだ、
「ギターという楽器はコードをジャカジャカかき鳴らすか、
指を魔術のようにくねらせながらティロリロ弾くもの」

という程度のイメージしかありませんでした。

そのイメージを最初に変えたのが、L⇔Rでした。
彼らの代名詞となったミリオンセラーシングル、
<Knockin' On Your Door>のバンドスコアを開いてみると、
そこにはコードをひたすら弾く単純なものでもなく、
かといって、記号だらけで見るからに「無理!」と投げ出したくなるようなものでもない、
単音をベースとしたシンプルな譜面がありました。

当時の僕の知識といえばフォークギターの教本(のサワリ)しかなかったので、
コードを弾くときはピック、単音を弾くときは指という思い込みがありました。
なので、「単音をピックで弾く」ということ自体が新鮮でした。

そしてさらに衝撃的だったのは、CDを聴いても、
この譜面に書かれているはずの音が聞き分けられなかったことでした。
「エレキギターの音はギュイイインと歪んでるはず」という(これまた)思い込みがあったので、
まさかこのクリアーに澄んだ音がギターの音だとは予想していなかったのです。

じゃあ最初からその音や弾き方に夢中になったかというと、実はそういうわけでもなく、
「目立たないし地味だし、ギターのくせになんか弱っちいな」という半信半疑な気持ちのまま、
なんとなくCDに合わせて弾いていたのでした。
ただ、単音のアルペジオは当時の僕には練習しやすくて、
<GAME>も<BYE>も、その頃のシングル曲はだいたいスコアを買って弾いていました。
<DAY BY DAY>は、曲を聴くよりも先に楽譜を買って歌メロを自分で弾いて、
それを後から実際のCDで確認する、なんてことをしました。

とにかく、僕がギターを通じて音楽を吸収し始めた最初期の頃に、
「メロディは好き」「ギターはよくわかんない」という不思議な距離感のまま、
知らない世界を開いてくれたアーティストが、L⇔Rだったのです。


昨年12月に黒沢健一が亡くなって、僕は20年ぶりくらいにL⇔Rを聴きました。
懐かしさを感じるかと思いきや、むしろ新鮮で、
初めて本当にL⇔Rを聴いたかのような驚きがありました。
<Lime Light>の分厚いドラムとベースには鳥肌が立ち、
<Nice To Meet You>のイントロのシタールには思わずニヤリとしました。
「えっ?俺は昔こんなにかっこいい音楽を聴いていたのか?」と、
今現在の僕の感覚としてL⇔Rの音楽に興奮したのです。

でも、本当に驚いたのは、彼らがブレイクする前の曲にまでさかのぼって聴いたときのことでした。
彼らは一度レコード会社を移籍しています。
一般に知られる彼らの楽曲は、1994年にポニーキャニオンに移籍して以降のもの。
僕が今回聴いたのはその前の、ポリスター在籍時の楽曲を集めたベスト盤『Singles & More』です。

ポニーキャニオン時代の曲でさえも、
今聴けば彼らがものすごく(古い)洋楽志向の強いバンドだったことがわかりますが、
ポリスター時代の曲はさらに振り切っています。

<Bye Bye Popsicle>の12弦ギターや、
モロにフィル・スペクター<Now That Summer Is Here>
(この曲、一瞬<Good Vibrations>のフレーズが流れますよね?)
<Lazy Girl><(I Wanna)Be With You>なんて、
メロディの感じとかファルセットとかめちゃくちゃビーチボーイズじゃないですか。


「60年代ポップスの体現」という点でいえば、
黒沢健一こそ大滝詠一の後継者だったのでは?と思っちゃいます。
実際、このベスト盤の前半の曲がそのまま『EACH TIME』に入ってても違和感なさそう
音楽的バックグラウンドをそのまま自分流にアレンジして再現できるだけでなく、
それを自分自身の声で表現できるシンガーであるという点も、両者は似ています。

黒沢健一はL⇔Rの活動休止後も音楽活動を続けていました。
You Tubeで何曲か聴いたけど、どれも素晴らしかったです。

※この曲なんてポール・マッカートニーの生まれ変わりか?という感じ


元Spiral Lifeの石田ショーキチやスピッツの田村明浩らと組んだバンドMotorworksもかっこよかった。
なんで僕は20年も彼のことを無視していたのでしょう。
後悔しても遅すぎるのはわかっていますが、悔しいです。


14歳の頃、僕はL⇔Rの音楽がどういうバックグラウンドを持っているかまではわかりませんでした。
彼らの音楽を好きだったとはいえ、それは「なんとなく」という括弧つきのものであり、
正確には「好き」というよりも「気になる」というような距離感だったと思います。
だけど、当時聴いていた他の音楽はほとんど忘れてしまった中で、
L⇔Rの音楽はなぜか今でも歌えるし、今でもギターで弾けます
その理由を、20年経って改めて聴いた今、納得しています。

僕は当時よりも今の方が、L⇔Rが好きです








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ついに「ストリーミング配信」に手を出した

spotify

いつでもどこでも聴ける
豪華な「試聴機」


タイトルの通りなのですが、昨年末、
ついにストリーミング配信サービスに手を出しました
「ついに」と書いたのは、僕はこれまでストリーミング配信に否定的だったから。
音楽を聴くことが端末の電波状況に左右されるなんてありえないし、
何より、ジャケットやインナースリーヴまでを含めて音楽だと思っているので、
単なるパケットを「音楽」と呼ぶことにはものすごく抵抗感があったのです。

それなのになぜ手を出したのかというと、
基本的には以前書いた電子書籍に手を出した理由と同じ。
子供が生まれたことで自宅のスペース確保が最重要課題になり、
今の時点で既に壁一面を占領しているCD棚を、これ以上膨張させるわけにはいかなくなったのです。
特に2016年はやたらとCDを買ってしまったので、
このままいくと17年にはパンクすることが目に見えていました。

また、生活のなかで音楽を聴くシーンというものが、
ここ数年でほとんどスマホ経由になったことも挙げられます。
CDを買ってもすぐにiTunesに取り込んで、実際に聴くのはスマホからがほとんど。
中には買ってから一度もプレイヤーにセットしていないCDもあります。
そろそろ音楽(音源)との付き合い方を見直さなきゃいけないなあと、
実は以前から考えてはいたのです。

そんな中で、世界最大のストリーミング配信サービス、
「Spotify」が日本に上陸しました。
昨年11月にローンチされた直後に登録して数日間、無料会員で様子を見ていたのですが、
今ではしっかり有料のプレミアム会員です

僕が重視した点は3つ。

その1:登録曲数

Apple MusicやLINE MUSIC、Google Prime Musicなどが数百万曲止まりであるのに対して、
Spotifyは4000万曲
桁が違います。

Hazel EnglishHannah Lou Clarkといった、まだマイナーなアーティストから、
Howlin’ Wolfなんていう古典級の大物まで、探せば基本的に見つかるのはほんとすごい。

現時点では登録曲の大半は洋楽で、
邦楽の品揃えは弱い(例えば大滝詠一なんていう超メジャーアーティストがない)のですが、
僕は元々洋楽比重が高かったので、まあ問題ないだろうと判断しました。


その2:インターフェース

他のサービスと実際に使いながら比較したわけではないので、
あまり結論めいたことはいえないんだけど、とりあえずこの点も問題なし。
UIもシンプルだし、黒基調のデザインも新鮮です。

CDから取り込んだライブラリを再生するアプリ(iPhoneユーザーの僕の場合は「ミュージック」)と
Spotifyで気に入った曲とを連携(例えば「ミュージック」のプレイリストに追加するなど)することは、
当然ながらできません。
これは確かに不便ではあるのですが、
実はApple Musicもこの点については同様らしいので(その設計は致命的なミスなんじゃないか?)、
だったらデザインもUIもこの数年でどんどん悪化している「ミュージック(Apple Music)」より、
曲数もUIも優れたSpotifyの方に軍配が上がります


その3:アーティストへの還元

最後のポイントがこれ。
ユーザーとしておいしい思いはしたいけど、
アーティストがちっともおいしくない仕組みなのであれば、
それに加担するのは嫌だなあと思ってました。

そこで、自分なりに調べてみました。
(参考記事)
音楽ストリーミング「Spotify」はどうやって音楽業界に貢献しているのか?
定額制配信でアーティストは稼げるのか?

正直、完全に理解できたわけではないんだけど、
SpotifyはレーベルとSpotify本体の両方から、
(それぞれの契約に基づいて)再生回数に応じて使用料が支払われること。
アーティストに入る収入を再生回数で比較すると、
記事によればSpotifyの場合は0.15円、
CDの場合(サンプルではあるけど)0.28円で約半分になるけど、
気に入ったアルバムなら2回3回と聴くはずで、
そうすればCD以上にアーティストに還元することも可能です(で合ってるよね?)。

一度固定の金額だけ支払えば終わりのCDとは違い、
定額制配信は、ある意味では「好き」という気持ちが続く限りアーティストに還元できる
そう考えれば、悪くないのなあと(今時点では)思ってます。

※あと、直接は関係ないけどこの本↓↓も読みました
 ここに書いてある流れの先に今自分も乗っているんだなあ

 


…以上が僕がSpotifyを選んだ理由なのですが、
じゃあこれで満足か?もうCDから完全に乗り換えるか?というと、
それは無理

一つは音質。
僕はそんなに音質にこだわらない方だけど、
そんな僕でもSpotifyの音質には微妙な違和感があります。
試しに同じ曲をCDとそれをiTunesで取り込んだデータとSpotifyの最高音質とで聴き比べたんだけど、
Spotifyは広がりが弱いというか、ゴロゴロしたのが詰まったようなというか、
なんかこうスカッとした感じがCDに比べて弱い印象を受けました。

そして何より、なぜそもそもCDを買うのかといえば、
単に聴きたいからというだけでなく、
「モノとして手元に置きたい」「所有したい」という欲求があるからです。
ストリーミング配信ではその欲求は永遠に満たされることはありません。
なので今後は、Spotifyで探してフィジカルで購入するという流れになるのかなと思います。
実際、Spotifyで初めて聴いたNew Order『Music Complete』と
PJ Harvey『The Hope Six Demolition Project』の16年に出た2枚のアルバムは、
既にオンラインショップでCD版をカートに入れました。
そう考えるとSpotifyは
「いつでもどこでも聴ける豪華な試聴機」というような位置づけかもしれません。

ただ、これからは本当にフィジカルで持ちたいものは、
CDではなくアナログで買うことが増えるそうな気がします。
「スマホで聴く時のための取り込みデータ用」という理由が弱まれば、
これまでのようにCDにこだわる必要はなくなります。
単純に「聴く」という点だけで比較すれば、CDはアナログに敵いません。

いずれにせよ、フィジカルもデータもCDありきだったのが、
これからはまずSpotifyがあり、その後にCDもしくはアナログという流れになるんじゃないかと。
2017年は僕にとって(実質的な)「ストリーミング元年」になりそうです。





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And Summer Club 『Heavy Hawaii Punk』

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鳴ってる音のすべてが
僕の音楽遍歴そのもの


YouTubeやSoundCloudのおかげで、
「自分の知らない曲」を毎日手軽に聴けるようになりました。
もちろん、隅から隅までなんて到底聴けないので、
(各種のWebサービスが作り手に発表の場を広げたことで、日々の音楽の供給量は天文学的です)
僕が1日に聴く「新曲」は、多くてもせいぜい10曲程度。
それでも年間通せば3000曲以上の未知の曲を聴いてることになります。

んで、曲を聴くたびに「最高!」とか「ピンとこないな」とかいろいろ反応するわけですが、
ひたすらそれを繰り返していると「自分がどういう音楽を好きなのか」という、
好みの傾向みたいなものを自覚するようになります。
自覚することで、自分が好きそうな音楽をより効率的に嗅ぎ分けられるようになったり、
逆に、感性の硬直化に危機感を覚えたりします。

面白いのは、好みを自覚することで、
その好みの直接のルーツがどこ(誰)なのかが分かったりすることです。
そして、その「どこ(誰)」が、必ずしも「聴いてきた時間の総量」や「思い入れ」に比例しないことです。

例えば僕の場合、以前も書いたように20代前半にどっぷりとthe pillowsを聴いていました。
聴いた量的にも、のめり込んだ深さ的にも、おそらく彼らが一番です。
ところが、今の僕の「好み」というものは、
決してthe pillowsのような音楽そのものではありません。
むしろ、the pillowsきっかけで聴くようになったストロークスや、
ストロークスがきっかけとなって聴いたさらに別のバンドの方が近かったりします。
自分の好みを自覚することの面白さは、
そういう自分のルーツに対する意外な発見ができることです。

なんで延々こんな話を書いているかというと、
実は2016年は僕にとって、音楽の好みのルーツというものについて、
発見をしたり考えたりする機会が、いつにも増して多い1年だったからです。

今年ブログに書いたアーティストだと、例えばThe LemonsThe School
この2組は最初に聴いた瞬間から「ど」が付くほどハマったのですが、
そのことで「自分は黒人音楽よりも白人ポップスの方にシンパシーを感じるんだな」と、
大げさに言えば「発見」をしました。

この「発見」によって、
サイモン&ガーファンクルとか、50〜60年代のアメリカンポップスとか、
主に僕が20代前半の頃に聴いていた音楽を改めて聴き直したり、
ビーチボーイズ(ブライアン・ウィルソン)を「白人ポップス」という文脈で聴くようになったり。
さらには、新しい音源を買い求めてルーツをさらに掘り下げてみたりと、
普段の音楽の聴き方に新たな「テーマ」をもたらしました。

そして、「好みのルーツを発見した」という点で、
今年聴いたアーティストの中で最も影響が大きかったのが、
大阪出身の4ピース、And Summer Club(アンサマ)でした。



文字通り「どハマり」でした。
今年7月に出た1stアルバム『Heavy Hawaii Punk』は一体何回聴いたでしょう。
今年の夏はアンサマに始まりアンサマに終わった気さえします。
遠くから聞こえてくる、控えめで朴訥とした男女ボーカル。
シンプルな歌メロと、それに絡みつく力の抜けたギター。
アルバムタイトルの3つのキーワード(Heavy、Hawaii、Punk)に表される、
スカスカでチープな音像と前へ前へとつんのめる疾走感の不思議な同居は、
強烈な中毒性があります。

でも、音楽そのもの以上に衝撃だったのは、アンサマを聴いたことで、
「あ、俺ものすごくThe Pains Of Being Pure At Heart好きなんだ」とか、
「だから俺The Vaccinesにハマッたんだ」とか、
「そう考えるとOgre You Assholeとの出会いはめちゃくちゃ大きかったんだな」とか、
過去に聴いてきた音楽たちが、樹形図のようにつながっていったことでした。
まるで、バラバラの星と星を結んで星座ができていくみたいにして、
自分の音楽遍歴というものにストーリーが見えた気がしたのです。

なので、アンサマの音楽はもちろん大好きなんだけど、
彼らがいかにすごいかとか、他のアーティストに比べてどう優れているとか、
そういうことが僕にとって大事なわけではありません。
『Heavy Hawaii Punk』というアルバムは、
そこで鳴っているすべてのサウンドが僕の感性そのものであり、
これまで聴いてきた音楽とこれから聴くであろう音楽との間に挟まれた、
本のしおりのような存在のような気がするのです。








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『A Christmas Gift For You From Phil Spector』

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ウォール・オブ・サウンドは
クリスマスソングでこそ輝く


クリスマスアルバムが好きで毎年ちょくちょく買い足しているのですが、
(過去最大のヒットが「ザ・ビートマス(ビートルズ×クリスマス)」)
今年また新たなアイテムが増えました。

フィレスレコードが1963年にリリースしたコンピ、
『A Christmas Gift For You From Phil Spector』です。
フィレスレコードというのは、
1961年に音楽プロデューサーのフィル・スペクターが設立したレーベル。
当時フィレスレコードに所属していた、
クリスタルズダーレン・ラブボブ・B・ソックス・アンド・ザ・ブルージーンズ
そしてロネッツという人気アーティストたちが、
このアルバムでは一堂に会しています。

ロネッツは当時<Be My Baby>をリリースしたばかり。
それまでの看板アーティストだったクリスタルズと、
ちょうどこの後から人気をバトンタッチするので、
このアルバムはフィレスの絶頂期に作られたといえます。

僕としては、バックボーカル稼業の多い、
どちらかというと日陰の存在的イメージの強かったダーレン・ラブが、
一曲目の<White Christmas>で貫禄たっぷりな歌声を聴かせ、
レーベルの重鎮的存在感を放っているのが意外でした。

ですが、このアルバムの一番の聴きどころは、
参加してるアーティストのメンツよりも、
<Frosty The Snowman>や<Winter Wonderland>といった定番のクリスマスソングが、
「ウォール・オブ・サウンド」でアレンジされているという、音そのものでしょう。

クリスタルズの<Santa Claus Is Coming To Town>なんて、
原曲以上にこのバージョンのメロディの方がすっかり定番化してしまいました。
ロネッツの歌う<Sleigh Ride>の、
「Ring Ring…」という印象的なコーラスが、
どんどん転調していくあの展開とか、ホント最高。
ウォール・オブ・サウンドってこってりしてるからたまにお腹いっぱいになるけど、
クリスマスソングと組み合わせたらこの上ない食べ合わせで、
鬼に金棒、餃子にビール感がすごいです。




フィル・スペクターはこのアルバムを、単なるクリスマスソングの寄せ集めではなく、
一枚のトータルアルバムに仕上げたかった
という意味のことを語っています。

多くのクリスマスコンピアルバムが、ある種ベストアルバム的な無色無害さを持つ中で、
確かにこのアルバムには、強い「自己主張」があります。
印象的な効果音の多用や、<White Christmas>のリズムを強調した逆張り的アレンジ、
さらにラストの<Silent Night>では彼自身の「喋り」が入るなど、
当時まだ20代だったフィル・スペクターの強い自負心や、
才気走った様子を濃厚に感じます。

フィル・スペクターという人は、
ビートルズ好きな僕にとっては非常に複雑な、
というかハッキリ言えば嫌いな人物なのですが、
ラモーンズの『End Of The Century』という例もあった)
ブライアン・ウィルソン大滝詠一なども僕は好きで、
彼らの音楽を聴きこもうとすると、フィル・スペクターという名は避けては通れません。

特にここ最近、僕はバブルガムポップというジャンルをよく聴いているのですが、
その源流をたどろうとすると、
古いアメリカンポップスという水源に行き着き(まださらに先はありそうですが)、
そしてその水源池にはフィル・スペクターという大魚が待ち構えているのです。
というような経緯もあり、
徐々に彼に対する気持ちが変わってきていたところでした。

そこへきての、この『A Christmas Gift For You〜』だったので、
クリスマスアルバムのコレクションの新入りというだけでなく、
出会うべくして出会った1枚というような気がしてます。










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