pillows blue song






初のアコースティック・ライヴを収録
過去に埋もれていた楽曲が蘇る


先週リリースされたピロウズのライヴDVD最新作。
結成20周年のメモリアル企画「LATE BLOOMER SERIES」の第2弾にあたる。
ちなみに第1弾が以前紹介した2枚組のライヴDVD『PIED PIPER GO TO YESTERDAY』。
来週6月3日には第3弾となるベスト盤がリリースとなる。

今回収録されたのは、今年2月に恵比寿ガーデン・ホールで行われた、
ピロウズ史上初となるアコースティック・ライヴである。

エレキギターは当然のことながらアコースティックギターに持ち替えられ、
ベースも今回はアップライトベースが使われている。
ボーカル山中さわおもギター真鍋吉明もイスに腰掛けながらの演奏。

そしてまた、通常はオールスタンディングの客席も今回は全て指定席で、
オーディエンスは座席に座り、歓声を上げることもなく、静かにライヴを見つめる。
以前アラニス・モリセットの項で紹介したMTVのアンプラグド・ライヴと概要は同じだ。

さらに、ステージにセットが組まれたのもおそらく初めて。
「BLUE POPPIES」というライヴ・タイトルにならい、メンバーの周りにはたくさんの青い花、
それからキャンドル照明が置かれていて、ライヴというよりも静かな会話劇でも上演しそうな雰囲気である。

とにかく何から何まで初めてづくしのこのライヴだが、肝心の中身も非常に充実している。
まず選曲がおもしろい。
アコースティック仕様ということで、通常のライヴでは滅多に演奏しないような曲ばかりがセレクトされている。
定番の曲はせいぜい<ONE LIFE>くらいで、
あとはシングルB面の曲やアルバム収録曲、それもかなり昔のアルバムの曲が多い。
いつものライヴを見慣れていると、やや地味な印象だ。
やはりアコースティックにアレンジし直すことを前提とすると、
定番曲とは少し性格の異なる楽曲を選ぶ必要があったのだろう。

だが、なんというか現金なもので、このライヴを観ていると「全部いい曲じゃないか!」と思うのである。
アレンジがクール且つシックに削ぎ落とされたことで、
メロディそのものの美しさであったり、これまで気付かなかった歌詞の響きであったり、
そういった新たな発見に満ちている。
「それがアコースティック・ライヴをやる意義だ」と言われればそれまでなのだが、
だとしたら、これはまさにアコースティック・ライヴの成功例だと言えるだろう。

ニルヴァーナ初心者にいきなり『アンプラグド・イン・ニューヨーク』をすすめないように、
これからピロウズを聴こうという人にすすめるには躊躇するが、
ファンにとっては間違いなくマスト・アイテムである。


最後に、本編の内容とは関係がないのだけど、とても衝撃を受けたことがある。
このライヴではギター・ベース・ドラムの他に、ゲストを招いて「テルミン」という楽器が使われているのだが、
この楽器、知ってますか?僕は初めて知りました。

箱のような形をしていて、そこから2本の金属の棒のようなものが出ている。
奏者はその後ろ(なのか前なのかよくわからないんだけど)に立って、両手を空中でユラユラと動かす。
弦がそこにあるわけでもないし、鍵盤がついているわけでもない。
なのに手を微妙に動かすと、フワフワとした何とも不思議な音色が鳴るのである。

気になって調べてみた。
簡単に説明すると、飛び出た金属の棒はアンテナで、その周囲には弱い電磁場が発生している。
そこに手を近づけたり遠ざけたりすると、電磁場が変化し、
それが箱の中にある発振器に共振して、音が出るという仕組みになっている。

なんでも20世紀初めに物理学者が発明した楽器だそうで、
身体の(主に手と指の)微妙な変化を反映させられることから、
従来の「ドレミファソラシド」という西洋古典音階よりも細かい音階を奏でられるのが特徴。
当然ながら習得するのはとても難しいらしいが、一度どこかで弾いてみたい。







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