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ギャグ&ユーモアで
既成概念をすっとばす


ウルフルズのアルバムというと、一般的には『バンザイ』が真っ先に挙がると思うのだが、
僕はあえて『すっとばす』をセレクトしたい。
これは1994年、ウルフルズがまだあまり売れていなかった頃にリリースした2枚目のアルバムで、
そして僕が最初に買ったウルフルズの音源なのである。

誰も見向きはしない、自分ひとりが大好きなバンドやマンガや作家。
そういったものが何かの拍子でヒットして一般的に認知されるようになると、
先に目をつけていた自分はまるで“先駆者”のように思えて、なんだか誇らしい気分になる。
僕にとってウルフルズはまさにそれで、
おれ、みんなより前から、ウルフルズのこと知ってたぜ」というのは、
彼らが売れ始めた当時、僕が周囲の友人に盛んに言っていた台詞である。

出会いのきっかけはスペースシャワーTVという音楽専門チャンネルで、
ここでウルフルズのPVやライヴ映像が盛んに流れていたのだ。
とにかくインパクトが強烈だった。
<ガッツだぜ!!>の“バカ殿”は有名だけど、さらに以前の作品、
例えば『すっとばす』のタイトル曲<すっとばす>や、
<大阪ストラットPART供<SUN SUN SUN’95>のPVなんかは歌というよりもコメディであり、
「アーティストをかっこよく(美しく)見せる」という従来のPVの概念には収まらない、
まったく異質な存在感を放っていた。
第一印象は「なんかマトモじゃない!でもおもしろい!」。

書いていて思い出したのだけど、
その頃同じくスペースシャワーTVで『夕陽のドラゴン』という音楽バラエティ番組があって、
これのMCが当時まだ無名だったトータス松本とユースケ・サンタマリアだった。
音楽専門チャンネルのくせにまともな音楽の話がほとんど話題に上らない、
ケーブルテレビならではの徹頭徹尾悪ふざけな番組で、
彼らはミュージシャンというよりもほとんど芸人のようだった。
(トータスは当時金髪で、それが余計に芸人的雰囲気を醸し出していた)

そういえば、ウルフルズがブレイクしたのとちょうど同じ頃、ユースケが
今度ドラマに出るんだ。『踊る大捜査線』っていうの。ヘンなタイトルでしょ。
って言ってたのを覚えてる。今思い返すとしみじみしてしまう。

とにかく、PVは強烈だったし、『夕陽のドラゴン』で見るトータスのキャラクターも強烈だった。
ただし、それは単に“他のバンドと異なる”という物珍しさではなく、
あ、こういうのもアリだな」という、ちょっと大げさに言えば新たな価値の発見のようなものだったと思う。

音楽番組を見ていると、喋っている姿と音楽とでキャラがまったく異なるアーティストをよく見かけるが、
その点トータスは喋っていようが歌っていようが「トータス松本」で、
その素の感じ、自然な感じには他のバンドにはない“近さ”があった。
「バンドは都会的でスタイリッシュなもの」「ミュージシャンはふざけたりしないもの」という固定観念に
ウルフルズは軽やかに風穴を開けたのである。
彼らが一発屋で消えることなく、コミックバンドと揶揄されることもなく人気を呼び続けてきたのは、
多分彼ら一連のギャグとユーモアに多くの人が珍しさ以上に安心感を抱いたからだと思う。

ただ、バンドのキャラクターが広く認知されるようになると、
今度は逆にそのキャラクターに縛られることになる。
ファンは常に第2の<バンザイ>、第2の<ええねん>を待ち望んでしまうからだ。
だから先週の活動休止のニュースを聞いたときには驚くよりも納得してしまった。
おそらく4人は「ウルフルズ」というバンドに求められる期待を、
これ以上引き受け続けることはできないと判断したのだろう。

今後の各自のソロ活動では、ウルフルズとは異なるそれぞれのキャラクターが見えるはずだ。
多分今度は、ファンが4人に対して「ええねん」という番なのである。






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