morning glory






出来の悪い兄弟2人
見守るファンはもはや母親気分


たとえば通勤電車の中とか食事中とか夜寝る前とか、
生活のなかで音楽を聴く状況・場面というものが人それぞれあると思うのだが、
僕の場合、料理をするときというのが音楽が欠かせないシチュエーションのひとつなのである。
料理をするときは、まな板と包丁を用意することでも食材を冷蔵庫から取り出すことでもなく、
まずCDを選ぶところから始まるのだ。
・・・というといかにもオシャレ風だが、
作るのは大抵肉じゃがとか野菜炒めとかモロに男の一人暮らしメニューなのであって、
別にショパンを聞きながらビーフシチューをトロトロ煮込むとか、
AC/DCを聴きながら肉を豪快に焼くとか、そういうことではない。

で、こないだ料理中のBGMとして、
久々にオアシスの『モーニング・グローリー』を聴いた。
懐かしい。
1995年のアルバムなので買ったのは僕が中学生のときである。
ずい分前に『ディグ・アウト・ユア・ソウル』を紹介した際に「高校1年生」と書いていたけれど、それは僕の勘違い。
中3です、中3。

だが、衝撃を受けたのは事実。
それまでは少なからず同級生への「見栄」として洋楽を聴いていた僕が、
ちゃんと「音楽」として洋楽、そしてロックを聴き始めるようになった1枚である。
仮に僕の持っている全てのCDを聴いた順、影響を受けた順に樹形図にすると、
このアルバムがおそらく一番てっぺんか、
そうでなくとも極めて上位に位置することになるんじゃないか。

その『モーニング・グローリー』を久々に聴いたのである。玉ねぎを炒めながら。
僕が料理中に音楽を聴くのは完全なる習慣にすぎないのだが、
そうやって適度に音楽以外のものに神経が注がれている方が、
じっくりスピーカーに集中するよりもむしろ深く聴き込めたり、新たな発見があったりして、
これはこれで音楽を聴く条件としてはある意味理想的な部分もある。

今回の場合も、『モーニング・グローリー』の持つ不変のかっこよさに心震えつつも、
以前はその存在感の薄さゆえにあまり気に留めていなかった、
<キャスト・ノー・シャドウ><シーズ・エレクトリック>といった曲の鋭さ、美しさに開眼した。
改めて良いアルバムだなあとしみじみ思った。

先日行われたブリットアワードで、本作は「過去30年間のベストアルバム」に選出された。
オアシスは94年のデビューアルバム『デフィニトリー・メイビー』と本作で、
ビートルズを超えるセールスを叩き出し、
ブラーとともに90年代のブリティッシュカルチャーの旗頭となった。

そして、遠く離れたここ日本でも、オアシスは瞬く間に、そして確実に浸透していった。
直撃をもっとも激しく受けたのが、当時中高生だった僕らの世代である。
僕のようにオアシスでロックに出会った人、
オアシスがきっかけでギターを始めた人、
初めてカラオケで洋楽を歌ったのがオアシスという人、
そして、好きな洋楽バンドは未だに、結局、オアシスという人。
今20代後半から30代前半にはそういう人がめちゃくちゃ多い。
オアシスはイギリスだけでなく、僕らにとってもアンセムなのである。

そんなオアシスもノエルが抜けて解散?活動休止?しちゃいましたね。
しかしノエルの脱退なんてオアシスの歴史を振り返れば珍しくもなんともないことであり、
未だに解散なんて冗談じゃないかと思っているのは僕だけでしょうか。
ただまあ、現時点では最後のアルバムとなってしまった
前述の『ディグ・アウト・ユア・ソウル』がとても良いアルバムだったので、
ファンとしては一応納得はできる。
・・・とはいかないまでも、気持ちはとりあえず慰めることができる。

しかし40歳になっても殴り合いの喧嘩が絶えないギャラガー兄弟は、
しょうもないを通り越してラディカルというか、ぶっ飛んでますね。
ある意味そこさえもロック。
ファンは2人の兄弟喧嘩に時に振り回され、時に「またか」と呆れ、
仕方ねえなあ」と言いながらずっと付き合ってきたのだ。
まるで親の気持ちなのである。
そういう意味でオアシスは、メンバーの過激な言動やスキャンダルとは裏腹に、
とても“家庭的”な匂いのするバンドだと思える。
ステージ上からオーディエンスを、
古代国家の帝王のように睥睨するリアムを見ても、
ファンの多くは「なんだか可愛い」と思ってしまうのである。

ちなみに僕が『モーニング・グローリー』を聴きながら作っていた料理は、ミネストローネでした。
やっぱりロックな料理ではないですね。
でも家庭的な感じはオアシス的、でしょうか。


<She's Electric>







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