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andymori
『革命』


日本の3ピースロックバンド、アンディモリ。
この一風変わった名前のバンドは2007年、
早稲田大学出身の小山田壮平(ボーカル/ギター)を中心に結成されました。
まだ若いバンドですが、素晴らしい才能と高いオリジナリティを持っています。
僕は、昨年リリースされた2枚目のアルバム『ファンファーレと熱狂』から聞き始めたのですが、
すぐに大好きになりました。
実はここのところ、日本の若手バンドの作品をあまり聞かなくなったのですが、
アンディモリは数少ない例外です。
そんな彼らが今月、3枚目のアルバム『革命』をリリースしました。

このアルバムは表題曲<革命>で幕を開けます。
歌詞の冒頭は「革命を起こすんだ」。
このフレーズといい、そもそも『革命』というタイトルといい、
全体的にかなり“尖った”雰囲気を醸しているわけですが、
実際の中身はむしろ“日常”や“優しさ”といった、静かで淡いトーンを持っています。
<ユートピア>という曲では、
「バンドを組んでいるんだ。すごくいいバンドなんだ。みんなに聞いてほしいんだ」と歌い、
また<Peace>という曲では、「父さん」「母さん」と家族に対する素直な思いを吐露しています。
聞き終わった時には、なんとなく「実家に帰ろう」みたいな気持ちになる、
身近な愛やノスタルジィに溢れたアルバムに仕上がっています。

しかし、アンディモリのこれまでの流れからすると、
この『革命』というアルバムの持つトーンは、実はかなり意外なものです。
1枚目、2枚目と、彼らは常に“怒り”に満ちていました。
小山田壮平の綴る歌詞はどれもユニークで非常に優れたセンスを持っているのですが、
その世界観はどこか「世の中への違和感」を根っこに感じさせるものでした。
愛を歌いつつも、その愛を信じているのは世界で自分一人しかいない、みたいな孤独感が漂っていました。

サウンドにしてもそうです。
アンディモリはフォークソングとパンクロックを掛け合わせた、
いわば「フォークパンク」とでも呼ぶべき、変態的な(?)サウンドが特徴です。
サウンドのそのアンバランスさにしても、
根本には世界を突き放す、自ら孤独を選び取るようなデカダンス的な匂いがありました。

そこへきて、この『革命』です。
タイトルの響きこそ今までのキャラクターを踏襲しているものの、
中身は前述のように大きく方向転換しています。
前作『ファンファーレと熱狂』からの流れを期待していた僕は、
当然ながら最初に『革命』を聞いた時には違和感を覚えました。
しかし、その違和感は、聞きこむにしたがって消えていきました。

一つは、単純にこの『革命』が、アルバムとして非常に優れていたからです。
バラバラの曲と曲が、通して聞くとあるテーマの元に収れんされていき、
やがて一つの大きな世界を描くという、アルバムならではの凝縮感があります。
もっともこのことに関しては、アンディモリというバンドはこれまで一度も外したことがありません。
また、小山田壮平のボーカルが今までにない強度を放つようになりました。
彼独特の、熱量の失せたクールな声はそのままに、「歌」としての説得力が増しています。
特にアルバムの後半などは、シンガーとしての小山田の独壇場です。

もう一つには、このアルバムの持つ優しい空気が、
今の僕の気持ちにとてもフィットしたことが挙げられます。
実は、震災以降にリリースされたアルバムを聞くのは、
僕にとってこれが最初の作品になります。
「震災」という文脈が、意識的にも無意識的にも、
このアルバムのトーンをより身近なものに感じさせているのかもしれません。

アルバムのラストに<投げKISSをあげるよ>という曲が収録されています。
タイトルは一昔前のアイドルの曲みたいですが、非常にいい曲です。
「いろいろ大変なことがあるけど大丈夫」という応援ソングなのですが、
普段ならこんなにもストレートな内容の歌は敬遠するところを、なぜか今はいい。
R.E.M.の<Everybody Hurts>を髣髴とさせます。
震災ということなのか、単純にアルバムラストという収録位置が優れているのかわかりませんが、
聞き終わると(つまりアルバムが終わると)不思議とカタルシスを感じます。

<革命>PV







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