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the pillows
『LITTLE BUSTERS』



実は少し前に転職をしました。
これまでも何度か仕事を変わっているので、転職そのものには慣れているのですが、
それでもやっぱり緊張はします。
覚えなきゃいけない仕事の手順や新しい職場環境のことで頭がいっぱいになり、
なかなかオンとオフを切り替えられません。

そこで、月並みですが最近意識的に通勤時間には音楽を聞くようにしています。
緊張状態を解くためには、聞き慣れない音楽(例えば新譜)よりも、何度も聞いて耳に馴染んだものがいい。
それもなるべく日本語がいい。
ということで、自然と行き着いたのがピロウズでした。

このブログでも何度も紹介してきたピロウズですが、この1年くらいはほとんど聞いていませんでした。
しかしここにきて、上記のような実益的な(?)理由から、
生涯何度目かのピロウズブームが再燃しています。
ピロウズのアルバムは大体1枚30〜40分なので、片道で1枚聞けてしまうところも通勤向きです。

ただ、一つ困った点は、ピロウズを聞いていると、
確かに仕事のことは頭からキレイになくなっていくのですが、代わりに別のものが頭を占拠することです。
ピロウズが連れてくるもの、それはズバリ、僕の所属する劇団「theatre project BRIDGE」です。

BRIDGEでは、舞台で使う曲の全てを僕が選んでいます。
ちゃんと数えたわけではないのですが、これまで劇中曲として最も多く使っているのがビートルズ。
ピロウズは2番目でしょうか。
しかし、ビートルズはBGMとして使っているケースがほとんどなのに対し、
ピロウズはほぼ全曲、オープニングやエンディング、あるいはダンスなど、「キメ」の曲として使っています。
ピロウズの曲は常に、何らかのテーマを背負ったものとして使ってきました。
そのため、少なくともメンバー内では、ビートルズよりもピロウズの方が圧倒的にインパクトが強いのです。

なぜ、ピロウズの曲にそんなにも作品を託してきたのか。
それは単純に、僕が彼らの曲に強いシンパシーを感じてきたからです。
旗揚げしたばかりの劇団で、何とか自分が誇れるものを作ろうと悪戦苦闘していた20歳の頃、
孤独感やさみしさを慰めて、勇気をくれたのはピロウズの曲であり、山中さわおの姿勢でした。
僕は彼らの曲を聞きながら自らを奮い立たせ、台本を書いていました。
当時の僕にとって作品とピロウズという存在は、ほとんど不可分のものでした。
劇中で彼らの曲を使うことは、極めてナチュラルな判断だったのです。

しかし、当時は永遠に続くかと思っていた“ピロウズ熱”も、時間が経つにつれて徐々に醒めていき、
いつの間にか僕は彼らの曲がなくても、自分の作品を作れるようになっていました。
実際にはその後も舞台で曲は使い続けましたが、
2006年の『リボルバー』で使った<MY FOOT>という曲を最後に、
少なくとも作品のメインテーマを背負うことはなくなりました。

ただ、それは「飽きた」ということとはちょっと違います。
20歳の頃の気持ちというのは、たとえそのままの形ではないにせよ、
間違いなく今でも僕の胸の奥にあります。
だからこそ、今こうして久々にピロウズの曲をどっぷりと聞くと、当時の気持ちを思い出して、
何とも言えない、辛く苦しい気持ちになるのです。
ただ、当時に比べれば、僕はもうそこまで孤独じゃないし、さみしくもない。
あのヒリヒリとした数年間をじっと耐えたことで、僕は僕なりの幸せを見つけたのかもしれません。
だから、「飽きた」ではなく「卒業した」という表現が相応しいのかもしれません。

1998年にリリースされた『LITTLE BUSTERS』というアルバムは、
以前紹介したピロウズ最大の転機となった『Please Mr. Lostman』の次の作品にあたり、
ここからいよいよピロウズ独自の「オルタナロック&ポップ」な方向に進んでいきます。
BRIDGEで一番最初に使った曲である<ONE LIFE>と<Blues Drive Monster>、
後に同名タイトルの作品まで作ってしまった<PATRICIA>と、
個人的に思い入れの深い曲が多数収録されているアルバムなので、聞いていてとても辛くなります(笑)。











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