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やっぱり、「愛」

YUKIのニューアルバム『megaphonic』がリリースになりました。
前作『うれしくって抱きあうよ』からわずか1年半しか空けずに発表された今作。
YUKIはどちらかというと寡作というイメージがあったので、
前作から時間を空けずに新作が聞けるのがとても嬉しいですね。

インタビュー等でYUKI自身も語っていますが、
『うれしくって抱きあうよ』が内面に向き合う曲が多かったのに対し、
今作『megaphonic』は外に向かってメッセージを発信する、語りかける、
そんな雰囲気をもつアルバムになっています。
「megaphonic」とは直訳すると「最高の音」「最大の音」。タイトルからしても対照的です。

内容は、エレクトロあり、メタルばりにエッジの利いたギターありと、
相変わらず一言でまとめきれないような多彩さです。
しかし、それでもアレンジや、楽器やSEのセレクトセンスには随所に独特のアイディアが満載で、
YUKIならではのシュールかつポップな世界観にまとめられています。

やっぱり前作『うれしくって抱きあうよ』から、何か大きく変わったような気がします。
YUKIの音楽はそれ以前もずっとカラフルでポップでしたが、
前作、そして今作とその多彩さの中にも“根っこ”のような、
揺るぎない核的なものを感じるようになりました。
あえて言うなら、それは「愛」。
家族や友人や、音楽や、世界そのものへの優しい目線を、全ての曲の中に感じることができます。

昨年リリースされたシングルで、今作にも収録されている<2人のストーリー>という曲があります。
その中の歌詞に「『生きてる』それだけが、代わりのいないストーリー」というフレーズがあります。
こうして文字にしてしまうと、特に目新しくはないフレーズかもしれませんが、
僕は不覚にもこの部分を聞いて泣きました。
単に歌が上手いとか、声が可愛いとかそういうことじゃなくて、
「愛」や、あるいは「母性」や、そういう理屈でないものを感じさせる声の力。
YUKIの声で歌われるからこそ、
心の深いところで「あ、自分は生きててもいいんだ」と思えてきて、涙が出てきたんだと思います。へへ。

前述のように、こういうYUKIの魅力そのものは、昨年の前作から感じていたことです。
しかし、震災を経た今、改めてYUKIというアーティストに向き合うと、
一つひとつの歌が(以前の作品も含めて)何かこう、一段深く胸に刺さる気がします。

もうすぐ40歳になるにもかかわらず、見た目は相変わらず少女みたいですが、
バンド時代、そしてソロ時代の初期の頃と比べると、いよいよ脂が乗ってきた感があります。
このまま突き進んで、ビョークみたいな、誰も手の届かない高みへと行ってほしいです。


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