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The Pains Of Being Pure At Heart
『Belong』


ニューヨークはブルックリン発の男女混成バンド、ペインズ・オブ・ビーイング・ピュア・アット・ハート。
めちゃくちゃ長い上に一度聞いただけでは覚えられないバンド名ですが、
今や彼らの名前は世界的に知られるようになっています。
2009年にリリースしたセルフタイトルのアルバムは、
デビュー作にもかかわらずNME等で年間ベスト・アルバムの1位に選出され、
瞬く間にロック界のアイドル的な存在になりました。

2009年は本当に彼らの話題で持ちきりでした。
世界中のロックファンが彼らのことを好きになったんじゃないかいうような盛り上がりでしたね。
未だにレコード屋に行くと「第2のペインズはコイツらだ」みたいなポップが
新人バンドのコーナーに飾られてたりします。
もちろん、僕も彼らの音楽に一目ぼれした一人です。

彼らの音楽を語るとき、「シューゲイザー」というのが一つのキーワードになります。
シューゲイザーというのは、1990年前後にイギリスを中心に登場した、
ギターのノイズ音が特徴的なバンド群のことです。
古くはジーザス・アンド・ザ・メリーチェインやマイ・ブラッディ・バレンタイン、
あとライドなんかも代表的なシューゲイザーバンドです。
日本ではスーパーカーが有名ですね。

ただ、シューゲイザーという音楽はコアなファンを生んだもののムーブメントとしては短命で、
90年代後半にはもうほとんど新たなバンドは生まれなくなっていました。
そして10年以上が経ち、突如彼らペインズが登場したのです。
ギターのノイズ音を多用した特徴的な音作りは、まさにシューゲイザー直系と呼ぶべきもの。
しかしペインズが優れていたのは、単にシューゲイザーサウンドに回帰するのではなく、
そこに「ポップ」という波及性を食い込ませた点にあります。

シューゲイザーというのは「ノイズ」という、本来は耳触りの悪いものを敢えて中心に据えるという、
退廃的な、あるいはそれゆえに耽美的な感覚を持っていました。
ペインズはそこに、シンプルで美しいメロディと男女混声ボーカルによる独特の浮遊感をかけ合わせることで、
暴力とポップとが混在する、新しい感覚のロックをつくったのです。
懐かしいと同時に新鮮でもある。
そんな不思議な体験を、ペインズは与えてくれます。

面白いのは、彼らはデビューするまでほとんど楽器演奏に関して素人だったという事実です。
実際、ライブとかを見ると、あまり上手くはありません。
逆に言えば、彼らは音楽に対するアイディアや創造性だけで支持を勝ち取ったことになります。
そこらへんもロックファンの支持を集めた理由かもしれません。

ちなみに、ニューヨークのブルックリンという街はこの2〜3年、
ロック界の「台風の目」的な存在になっています。
ヴァンパイア・ウィークエンドを筆頭に、MGMTやドラムス、ダーティ・プロジェクターズなどなど、
一癖も二癖もある、非常にオリジナリティの高いバンドがブルックリンから輩出されているのです。
さらにそこへペインズというスターが登場したことで、
一時期タワーレコードではブルックリン出身のバンドのCDだけを集めたコーナーができるなど、
かなり盛り上がっています。

アルバム『ビロング』は、今年の3月にリリースされたペインズのセカンドアルバムです。
話題を集めたデビュー作から約2年、プレッシャーも相当あったと思うのですが、
それを押しのけて前作よりもさらに磨きがかかった、かっこいいアルバムに仕上げてきました。
「ノイズとポップ」という方向性に対し、彼ら自身がより自覚的に取り組んでいることがよくわかり、
その姿勢にとても好感がもてます。
今、最も人に勧めたいバンドの一つですね。




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