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僕も彼らも、きっと友達になれる

THE BAWDIESのROY、
ACIDMANの大木伸夫、
The Bohemiansの平田ぱんだ、
ギターウルフのセイジ、
the pillowsの山中さわお、
怒髪天の増子直純、
チバユウスケ
浅井健一、
コレクターズの加藤ひさし、
そして仲井戸麗市にムッシュかまやつ――。

若手からベテランまで、総勢15名ものロックミュージシャンたちが、
自身がロックに目覚めた日、
すなわち「ロックンロールが降ってきた日」について語ったインタビュー集。

ロック関連の書籍はこれまで何冊も読んできましたが、
これほどまでに「ロック愛」に満ちた本はありませんでした。
その理由は二つ。
一つは、15名それぞれのロックへの愛情が、あまりに素敵なこと。
もう一つは、「ロックが好き」という点では、彼らも読者である僕も変わらないわけで、
「おお、わかるわかる!」「なるほど!」などと、
あたかも親しい友達の話を聞いているかのように、
彼らのロック体験を僕自身の体験と重ねることができること。
ミュージシャンとファンとが一緒に当事者になれるところが本書の素晴らしい点であり、
そして、ロックの素晴らしさそのものでもあります。

どのインタビューも、それぞれの個性が出ていて面白いのですが、
強いてどれか一つを挙げるとすれば、甲本ヒロトのインタビューでしょう。
ヒロトの語る言葉は、いつも鋭く、重たく、そして優しさに溢れていて、
どのインタビューを読んでいても、目の前が明るく開けていくような気分になります。
彼の言葉そのものが、既にロックになっている。そんな気がします。

本書のインタビューでは、中学校一年生でロックに出会った時の、
ヒロトのルーツとも呼ぶべき瞬間のことが語られています。
もしかしたら既出の内容なのかもしれませんが、僕は読むのは初めて。
貴重な内容でした。

そういえば、ヒロトが以前、雑誌かなにかで、
「ロックはプロレスと同じで『解説文化』だ」というようなことを言っていたのを思い出しました。
プロレスが、レスラー同士の因縁や技の破壊力についてファンで熱く語られるのと同様に、
ロックも、「このバンドのルーツは50年代のブルースにあるんだ」とか、
「このギタリストは、実は前にあのバンドに在籍していたことがある」などと、
やたらと「解説」がついて回るカルチャーだということです。
確かに。

もちろん、ロックというのは第一義的には「音」なわけで、
言葉による作業は決してロックの本質そのものにはなりえません。
しかし、重箱の隅をつつくようなうんちくを傾けたり、時には不毛な議論をしたりすることも、
ロックにまつわる楽しさの一部だと僕は思います。
上記のインタビューを、ヒロトがどんな文脈で言っていたかは忘れてしまいましたが、
ロックを好きになると、誰かと共有したくてたまらなくなるところも、
ロックの持つ魔力なのです。
本書に登場するミュージシャンたちも、
少なからずそういう魔力に惹かれてしまっているのではないでしょうか。

ロックは基本的に「自分ひとりだけの音楽」だと思います。
でも、ロックに惹かれた人たちは、たくさんいる。
一人ひとりは孤独なんだけど、ロックに惹かれている点では僕らは仲間。
多分、僕もジョン・レノンも同じ仲間。
そんな風に思わせてくれる一冊でした。







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