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「全てはきっとうまくいくさ」と
リンゴは僕らに歌ってくれた


リンゴ・スターが、彼のミュージシャン仲間と共に
「RINGO STARR & HIS ALL STARR(この綴りに注目!) BAND」として、
18年ぶりに日本のステージに立ちました。
2/25(月)のZepp Tokyo。
僕は、「神様の一人」に会いにいきました。

身悶えするくらい、僕はビートルズが好きです。
ラモーンズもR.E.M.もフーもリバティーンズも、
心から好きなバンドはたくさんあるけれど、
それでもビートルズだけは別格です。
大昔の船乗りにとって、北極星が唯一の旅の道しるべであったように
僕にとっては、ビートルズこそが世界の重力の中心なのです。
あの4人は僕にとって、「愛すべき神様たち」なのです。

19時過ぎ。
前座もなしにリンゴとオールスターバンドが登場しました。
リンゴはハンドマイクで、いきなり<Matchbox>を歌ってくれました。
アレンジも、演奏のノリも、ビートルズのものとは違うけど、
それでも今、僕の目の前で、リンゴが<Matchbox>を歌っています。
「生きてて良かった!」と思うには十分すぎるほどの光景です。
僕は早くも、鼻の奥がツーンとしました。

リンゴ&オールスターバンドのライブは、
リンゴの曲と共に、バンドのメンバーの曲もセットリストに組まれています。
オールスターバンドはただのバックバンドではなく、
ギターにトッド・ラングレンとスティーブ・ルカサ(元TOTO)、
キーボードにグレッグ・ローリー(元サンタナ、ジャーニー)など、
一人でも十分お客さんが呼べるような、まさに「オールスター」なメンツばかり。
みんなだいぶ年をとっていますが(笑)、演奏と歌は超一流。
中でも今回、スティーブ・ルカサのギター&ボーカルで
TOTOの<Rosanna>と<Africa>を聴けたのは、思わぬ「儲けもの」でした。
(TOTOの曲でドラムを叩くリンゴ、というのもなかなかしみじみするものがありました)

でも、主役はやっぱりリンゴでした。
ステージには、リンゴよりも上手いシンガーやプレイヤーがゴロゴロいるし、
体つきだって、マッチョなトッド・ラングレンなんかと比べると、
小柄なリンゴはずいぶん貧相なのに、
リンゴが一番輝いていました。
というのも、お客さんも含め、あの空間で一番音楽を楽しんでいるのが、
他ならぬリンゴだったからだと思います。

リンゴは本当に、すごく楽しそうでした。
歌いながら、ドラムを叩きながら、左右にゆったりリズムをとりながら、
いつもニコニコしていました。
音程を外してもやっぱりニコニコしていました。
そして、絶えず僕らに「Enjoy!」「I love you!」と呼びかけました。
なんともゆるい(笑)。

でも、この雰囲気は、ジョンでもポールでもジョージでもなく、
リンゴだからこそ醸せる、この上なくステキな「ゆるさ」です。
<Yellow Submarine>や<Act Naturally>をリンゴと一緒に歌っていると、
まるでお風呂に入っているような、なんとも温かい気分になってきます。

ボブ・ディランのように、誰も見たことのないクリエイティブの高みを目指すでもなく、
ミック・ジャガーのように、パフォーマンスのクオリティを異常なまでに追求するでもなく、
「とりあえず楽しもうよ」というリンゴのゆるい姿勢。
そこには、未知の世界へと導かれるドキドキ感はないかもしれませんが、
かわりにリンゴ自らが僕らの目線まで降りてきて、
すぐ隣で語りかけてくれるような親密さがあります。
「年をとっても人生は楽しめるよ」「大丈夫、君は君のままでいいんだよ」と。

ライブのラストは<with a little help from my friends>でした。
ビートルズの曲の中でも、僕が大好きな曲です。
この曲の中で、リンゴは何度も
「みんなの力をちょっとずつ集めれば、全てはきっとうまくいくさ」と歌うのです。
僕は泣きながら、「サンキュー、リンゴ。サンキュー」と何度も呟きました。
リンゴはやっぱり、
僕の愛する神様でした。




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