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地下世界へと誘う
甘くて妖しい鍵盤の音色


ドアーズのキーボーディスト、
レイ・マンザレクが今月20日に亡くなりました。
74歳でした。

「The Doors」。
このバンドの名前には、
山々が連なる景色の中でたった一つだけ、
どの山とも峰を交わさずにそびえ立つ独立峰を見るような、
屹立とした響きがあります。

彼らと同じアメリカ西海岸出身のビーチ・ボーイズのような陽性のポップでもなく、
同じく西海岸を中心とした華やかなサイケデリック・ミュージックとも相いれず、
かといってストーンズや初期ツェッペリンのようなハードなブルースというわけでもない。

光の射す地上の世界に背を向けて、
情念と欲望が渦巻く地下世界へと沈み込むような、
甘美で重たいドアーズの音楽は、
60年代半ばから70年代初めにかけてのどのようなムーブメントにも属さずに、
圧倒的な個性を放ち続けました。

ドアーズの創造性と人気を支えたのは、
言わずもがな、ジム・モリソンという巨大な才能です。
しかし、モリソンの世界観を具現化するためには、
レイ・マンザレクという相棒の存在は必要不可欠なものだったと思います。
もし<ハートに火をつけて>にレイの弾くキーボードが欠けていたら、
あの曲は今日に至るまで「不朽の名曲」として聴かれ続けたでしょうか。

レイの、魔術的でどこか退廃的なキーボードの音色は、
ドアーズというバンドの代名詞と言っても過言ではありません。
僕自身も、ドアーズを最初に聴いたときは、
モリソンの歌詞よりもまず(聞いてすぐに理解できるほど英語に堪能ではないので…)、
レイのキーボードとジョン・デンズモアのドラムにインパクトを受けた記憶があります。

アルバム『The Doors』(邦題:ハートに火をつけて)は、
1967年にリリースされた彼らのファーストアルバム。
「ドアーズ」というバンドの個性がより露わになるのは、
同年にリリースされたセカンドの『Strange Days』(邦題:まぼろしの世界)の方ですが、
曲のポップさやアルバム全体から感じる爆発力という点では、やはりファーストでしょう。
ロビー・クリーガーのギターこそ、セカンドに比べればハジけ切っていない印象ですが、
レイのキーボードとジョンのドラムに関しては、
今聞いても圧倒的な「異物感」を感じます。
まるで、得体の知れない甘い薬を無理矢理飲まされたかのような、
淫靡で妖しい感触に包まれるアルバムです。

最後に、すごく下らないんですが、
僕はレイ・マンザレクに対して、
同じ「レイ」という名前を持っているという点で、
勝手にシンパシーというか、「マイ・ヒーロー」的な憧れを持っていました。
(同じ理由でキンクスのレイ・デイヴィスもマイ・ヒーローです)
そんなこともあって、彼が亡くなったことに、
自分でも思いのほかショックを受けています。
レイの冥福を祈ります。


<Break On Through (To The Other Side)>


<ハートに火をつけて>







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