ramones-its-alive-1974-1996-dvd-cover-art

ラモーンズへの愛は
「ロックへの愛」だ!


ラモーンズの映像集の決定版というべき、2枚組ライヴDVD。
「1974-1996」とある通り、
結成から解散までに残した数々のライヴ、TV出演映像から、
なんと約120曲もの演奏シーンを詰め込んだという、
過剰というか単純すぎるというか、このDVDのコンセプト自体がラモーンズそのものです。
見終わった直後は、お腹いっぱいで間違いなくぐったりします。

基本的にはほぼ時系列に沿って映像が収録されています。
冒頭に収められているのは、
1974年のバンド結成直後に行った、NYのCBGBでのステージ映像。
ジョニーとディー・ディーの立ち位置が逆だったり、
ジョーイの雰囲気も妙にゆるかったり(後年の前のめりスタイルとは真逆)と、
ファン的にはとても史料的価値の高い映像です。
何より驚くのは、4人ともステージに慣れてない(笑)!
ディー・ディーのカウントが演奏とうまくかみ合わなかったり、妙に間延びしていたり、
素人臭さが残る、初々しい4人を拝むことができます。

続く76年のレコードデビュー前後の映像では、
既に僕らの知っている「ラモーンズ」としてのスタイルが確立されているのが分かります。
ここからはもう、怒涛のステージの連続。
トミーがドラムを担当していた70年代を経て、
新たにマーキーを迎えた80年前後の黄金期へ。
ライヴを行う場所も、本国アメリカやイギリスだけでなく、
ドイツやイタリア、さらにはフィンランド、スウェーデン、スペイン、アルゼンチンにまで遠征していきます。

ただ、ラモーンズは少しも変わりません。
メンバーが変わろうが、どの国に行こうが、徹頭徹尾ひたすら同じスタイルを貫きます。
1曲の演奏が終わると、間髪入れずにディー・ディーが「1234!」とカウントを入れて次の曲が始まる。
曲のスピードはアルバムよりも圧倒的に速いです。
なのに、ジョニーもディー・ディーもひたすらダウンピッキング。
見てるだけで腕が攣りそうです。
「ちょっとくらい休憩しなよ」と思わず声をかけたくなりますが、
それでも再び「1234!」。
まるで全力ダッシュをひたすら繰り返すような、
刹那的で激情的な演奏が果てもなく続きます。

彼らは解散までに計2000回以上のライヴを行いました。
このDVDに収録されていない、他の大多数のステージでも、
彼らはきっとこのスタイルを崩さなかったのだろうと思います。
以前ラストアルバムの『Adios Amigos』を紹介したときにも書いたように、
僕はラモーンズのあのブレなさ、愚直さに圧倒的な信頼を寄せます。
そして、その姿勢をそのまま封じ込めたような曲の数々。
イントロだけ聴いただけではどれがどれだか分かんないほど似通った曲の数々を、僕は猛烈に愛します。

やっぱりラモーンズは素晴らしいです。
ロックの夢、ロックの力、ロックの魂。
ロックにまつわるあらゆるものが、彼らのステージにはギュッと凝縮されています。

ラモーンズを愛することは、ロックを愛することである。
そんな風にさえ思えるほど、彼らは素敵なバンドです。
「この世にロックがあって良かった!」と拳を突き上げたくなるような珠玉の映像集。
これは家宝です。



『It's Alive 1974-1996』Disc2より、1978年のドイツでのスタジオライヴ。
24分間に11曲を演奏するというめちゃくちゃなスピード。
圧巻です。







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