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「再結成しないこと」で
物語は続いていく


ストーン・ローゼズが再結成した今、
「最も復活が望まれるバンド」の筆頭に挙げられるのが、彼らでしょう。

ザ・スミス
実質的な活動期間は1983年〜87年とわずか5年間という短さにも関わらず、
ロックシーンに与えたインパクトは絶大で、
特に母国イギリスでは、ノエル・ギャラガーアレックス・ターナー(若いのに!)らが
熱心なリスナーであったことを公言するなど、
後進たちに多大な影響を与えました。

このように伝説的な人気を博したバンドでありながら、
スミスは、半世紀以上にわたるロックの歴史から見れば、
特異な位置にいるバンドです。
より実感に沿って言えば、「ロックの歴史から孤立している」と
言った方がいいかもしれません。
スミスの音楽は、彼ら登場以前のロックの様式や流行、
あるいはその反動といった「文脈」が欠落しているように感じるからです。
ロックンロールもブルースもパンクもニューウェイブも、
ルーツと呼べるものがほとんど嗅ぎとれません。
にもかかわらず、スミスの音楽には紛れもなく「ロック」としての興奮や感動があります。
この不思議な、けれども強烈なオリジナリティは、
30年近くたった今でも未だに新鮮で色あせません。

スミスは、1982年に当時19歳だったジョニー・マー(Gt)が、
近所に住んでいた4歳年上の青年モリッシー(Vo)に、
バンド結成を持ちかけたところから歴史が始まります。
2人は部屋で向かい合い、モリッシーが歌詞の一節を書くと、
それにマーがギターを弾きながらメロディをつけるという、
レノン/マッカートニーのような共作スタイルで曲を作り始めました。

「元祖引きこもり」と呼ばれるほど内向的だった彼の性格を反映してか、
モリッシーの綴る歌詞はジメジメと陰鬱で、
(万引きとストーカーと自殺とマザコンの歌なんて彼以外に誰が書けるでしょう)
スミスの音楽を大きく特徴づけています。

しかし、真に注目すべきは、彼の詞よりもまず、彼の「声」です。
彼の、低くいい声で朗々と歌うというスタイルは、
ロックボーカリストというよりも、
アンディ・ウィリアムスフランク・シナトラのような、
50年代のポップシンガーを彷彿とさせます。
彼の綴る陰鬱な歌詞が、ただの「ケツの青さ」で終わらず
アートにまで昇華されているのは、何より彼のあの声で歌われるからでしょう。

そして、モリッシーの低く響く歌声と好対照を成すのが、
ジョニー・マーの鳴らす、澄み渡ったギターの音色です。
歪みより響きを重視したマーのギターも、
それまでのロック文脈からは大きく外れたものでした。
パワーコードでひたすら押していくのではなく、
アルペジオでボーカル以上にメロディアスな音を奏でるマーによって、
「ギタリスト」というイメージは大きく更新されました。

しかし、モリッシーの歌詞の裏にはそれを支えている彼の声があるように、
ジョニー・マーのプレイスタイルの裏にもまた、
彼の独特なメロディセンスという注目すべき才能があります。
スミスが従来のロックから大きく孤立している大きな理由の一つが、
マーの作る、異様なまでに高低差のあるメロディです。
作為的なまでに抑揚を利かせ、ドラマチックにうねるような歌メロは、
従来のロックやポップスよりも、
オペラやミュージカルに共通点を見いだせるかもしれません。

モリッシーとジョニー・マー。
従来のロック概念からは異なる才能を持った二人が、
一つのバンドを組んだというのは、
奇跡と呼んでいいことだと思います。

けれども、2人の蜜月期間は長くは続かず、
87年にマーがモリッシーの元を離れることを決め、
そのままバンドは解散することになりました。

今では2人の交流は再開されたようですが、
スミスの再結成については、
噂が持ち上がるたびに2人とも頑としてそれを否定しています。
実際、オファーは何度もあり、多額のギャランティが提示されたということですが、
モリッシーは「やらないよ。金じゃないんだ」と一蹴したそうです。

こうした高潔さこそ、まさにスミスの美しい音楽のイメージそのままであり、
2人は「再結成しない」という姿勢を貫くことで、
スミスの音楽を守っているのかなと思います。
ファンとしては、そこにスミスという物語の永続性を感じると同時に、
やっぱり少しだけさみしくもあるという、
ちょっと複雑な気持ちですね。


スミスの曲の中で僕はこれが一番好き。
うねるような歌メロがクセになります。
Big Mouth Strikes Again


これも好きな曲。スミスの音楽的な奥行きの深さが伺える面白い曲でもあります。
Frankly Mr. Shankly







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