The-Pains-Of-Being-Pure-At-Heart-Days-of-Abandon

「脱・バンド」でも健在な
ロック・アイドルぶり


通算3作目となる新作アルバム『Days Of Abandon』をリリースした、
ペインズ・オブ・ビーイング・ピュア・アット・ハート(以下ペインズ)。
同じNYブルックリン出身のヴァンパイア・ウィークエンドと並んで、
僕の中ではここ数年、世界の現役バンドの二大アイドルともいうべき存在です。
前作『Belong』から3年。
音源のリリースについてはしばらく音沙汰がなかったので、ちょっとだけ心配していましたが、
ようやく待望の新作が届きました。
よかったよかった!

結論から言うと、めちゃくちゃいいです。
正直、3作目なのでそろそろ失速するんじゃないかとも思っていたのですが、杞憂でした。
期待していた以上の素晴らしい作品だと思います。

ただ、人によって評価が分かれるかも、とも思います。
それは、彼らが前作から大きく「変化」をしているから。

本作発表前、収録曲の中でいち早く公開されたリードトラック<Simple And Sure>を聴いたとき、
僕は同時に2つのことを感じました。
それは、「今までのペインズから変わった!面白い!」ということと、
もうこれは『バンド』じゃないな」ということ。
結局、このとき受けた印象は、アルバム全体に対しても当てはまるものでした。
過去の作品から脱却した新しいアレンジやメロディ感に溢れる一方で、
必ずしもメンバーの楽器に頼らないアレンジは、
必然的にこれまでのような「バンド感」を薄める結果となりました。

Simple And Sure>※このMVすごくおもしろいです


これは、バンドのリーダーでありメインコンポーザーのキップ・バーマン(Vo&Gt)が、
今までよりも前面に出てきた、と言い換えられます。
実際、今作を通して聴き終えてみると、ペインズのアルバムというよりも、
キップのソロアルバムであるような印象を受けます。
ア・サニーデイ・イン・グラスゴーの女性ボーカル、ジェン・ゴマをフィーチャーした<Kelly>など、
ボーカルまでをも他人に明け渡しているところは、
キップがペインズをバンドというよりも、
自分の作家性や世界観を表現するための「器」として捉えていることをうかがわせます。
(実際彼はインタビューでそう語っていました)

では、他のメンバーはどうしているのかというと、実はペインズの公式facebookでは、
現在メンバーとして名前が掲載されているのはキップただ1人しかいません。
アルバムの解説を読むと、アレックス(Ba)とカート(Dr)はレコーディングに参加したものの、
紅一点だったペギー(Key&Vo)は今作には全く関わっていないそう。
(僕は彼女のコーラスが好きだったので残念なのですが・・・)

他のメンバーが脱退したから否応なくキップの個人プロジェクトのようになったのか、
それとも個性を前面に押してきたキップに愛想を尽かして3人が抜けてしまったのか、
オフィシャルなアナウンスがないので経緯はわかりませんが、
印象だけではなく事実としても、本作は「キップのソロアルバム」だったのです。
※なお、YouTubeを見るとライブには全員顔を揃えている模様。なんなんだ??

メンバーの不在(あるいはキップの個性発揮)によるバンド感の後退は、
人によってはがっかりしたかもしれません。
その気持ちは、多分わかる。
でも、僕個人はこれからもペインズをフォローし続けるだろうと思います。
というのは、結局僕がペインズに惚れた一番の理由は、キップのメロディだったから。
だから、彼のメロディセンスがこれまで以上に爆発した本作で、
むしろ僕はペインズに惚れ直したとさえいえます。

書いていて、ふとストロークスのことを思い出しました。
僕は(おそらく圧倒的多数の人と同じように)『Is This It?』や『Room On Fire』を聴いて、
無敵のギターバンドとしての彼らに惚れたわけですが、
Angles』や最新作『Comedown Machine』を聴く限り、彼らが再び『Is This It?』の時代に戻ることは、
(絶対とは言い切れないけど)無い、といっていいでしょう。

で、僕等は勝手に「変わってしまった」とか「裏切られた」とか言うわけですが、
よくよく考えてみたら、実はそれはリスナーの勝手な思い込みに過ぎないわけです。
だって、出会った頃はスタイル抜群だったのに、結婚した途端にぶくぶく太ってしまったパートナーに対して、
「話が違う!痩せろ!」というのはエゴというものです。(←まあ気持ちは分かる)

結局、リスナーにできるのは、新作に対して一喜一憂しながら、
そのたびに期待を修正したり、自分の許容度を広げたりしつつ、
辛抱強く付き合い続けるしかないだろうなあと思います。
んで、「たかが音楽にそんなにコミットしなきゃいけないの?」という当然なツッコミがあろうと思うのですが、
もちろん、そんな必要はどこにもないです。
ただ、僕はそうやって長くバンド(アーティスト)と付き合っていく方が、
結果的には、音楽から受け取れるものが大きい気がします。
「ロック」という音楽の場合は、特に。


Until The Sun Explodes







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