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「ロックの歴史」が
丸ごと詰まってる


今年2月にテンプルズを聴いて、
「2014年は彼らを超える新人はいないだろう」と油断していたら、スゴイのがいました・・・!!
その名は「ザ・ボヒカズ」!
ロンドン出身の4ピースバンドです。

アークティック・モンキーズフランツ・フィルデナンドら、
大スターバンドを数多く擁する名門インディーレーベル「ドミノレコーズ」が契約した新人バンド。
けれど、そんな「いわく」や「折り紙つき」なんて必要ないほどに、
ボヒカズのロックを一度聴けば、そのユニークさ、セクシーさ、
そしてかっこよさに圧倒されるはずです。

<XXX & Swarm>
※1つのビデオの中に<XXX>と<Swarm>の2曲が続けて収録されています


ビデオ1曲目の<XXX>は、今年5月にリリースされたデビューEPのリードトラック。
強烈にアクの強い、しかしモダンなサウンドは、新人とは思えないほどに洗練されています。
この曲を最初に聴いたときのインパクトは、テンプルズに勝るとも劣らないものでした。
ちなみにボヒカズは白人2人と黒人2人という、最近のギターロックバンドでは珍しい人種混成バンドです。
そんな、バンドの「たたずまい」にも華を感じます。

このように、サウンドもビジュアルもエッジが利きまくっているボヒカズですが、
僕が何よりすごいと感じるのは、彼らの音楽に詰め込まれた情報量の多さ、
聴くタイミングやシチュエーション、前後に聴いていた音楽との組み合わせによって、
1つの曲がまるで違ったように聴こえてしまう「カメレオン」ぶりにあります。

例えば上掲の<XXX>
独特のギターの音と無国籍なメロディラインが真っ先に耳に入ってきますが、
しかし2回目、3回目と聴いていると、サーフミュージックのように聴こえてきます。
例えて言えば、ジョイ・ディヴィジョンがサーフミュージックを弾いてるような感じ。

一方、ビデオ2曲目の<Swarm>のもつ、
ブレーキの壊れた暴走車のようにひたすら前のめりで突っ込むリズムとノリは、パンクそのもの。
それも、70年代のバズコックスから00年代のリバティーンズまで、
ヘロヘロでダルダルな「亜流パンクの歴史」を感じさせるところがニクいです。

また、ニルヴァーナのような重たく陰鬱なサウンドと、
T-REX<Get It On>を彷彿とさせる耽美なサウンドが混ざるEP2曲目の<Crush Me>や、
強圧的なリズムの中にブルースを感じさせるダークな前半から一転し、
コーラス部分になると急にエモっぽいメロディに変わるEP3曲目の<Bloodhound>など、
「あえてくっつけたの?」と聞きたくなるくらい、まるで異なる音楽を混ぜ合わせたような曲もあります。

特に<Bloodhound>のコーラスは、聴きようによってはオアシス的、
あるいはストーン・ローゼズ的な「Sing Along」感があり、
「ああ、やっぱりボヒカズはイギリスのバンドなんだなあ」と、
またさらに違う方向への親和性も感じさせます。

「パンク」「ニューウェーブ」など、細かい分け方をすれば、
過去のロックとの親和性を感じさせるバンドはたくさんいます。
しかしボヒカズのように、ロックの歴史をほとんど丸ごと、それもたった4曲の中に封じ込めたバンドは、
他にほとんどいないと思います。
ボヒカズは一見すると異端で、突然変異的なバンドに見えるかもしれませんが、
実は過去のロックからの連続性の上に成り立っている、
つまりは驚くほど「王道」なロックバンドなのです。


<Swarm/Crush Me(Live)>


<XXX>(Live)







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