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遠くて近い「北欧ポップ」

世界のポップ/ロックシーンの中心は、
昔も今もアメリカとイギリスです。
しかし、中にはどちらの国にも属さない、
けれど独自の地位を築いている、
第三極的な存在の国(の音楽)というものがあります。

例えばアイルランド
ヴァン・モリソン、U2、エンヤ、クランベリーズ
アイルランド出身の主なバンド(アーティスト)をざっと挙げてみるだけでも、
なんとなくその「独特さ」が伝わるんじゃないでしょうか。
以前、クランベリーズを紹介したときにも書きましたが、
アイルランド出身者の音楽そのものには相互の共通点はないものの、
英米のメジャー音楽に対して(意識的、無意識的に関わらず)一線を画しながら、
絶えず一定の距離をおいているという点に、
「アイルランド的」なるものがあります。

そして、アイルランドと並んで独特の存在感を放つのが、北欧です。
北欧と一口に言ってもいろいろな国がありますが、こと音楽に関して言えば、
「北欧ポップ」という言葉が既に一つのジャンルとして成立している印象があるほど、
スウェーデンやノルウェー、アイスランドといった国で生まれた音楽には、
国境をまたぐ共通の感性を感じます。
(アイルランドも北欧ですが音楽に関してはちょっと別、という印象)

僕自身の印象で語るなら、北欧ポップの特徴は、
ギター・ベース・ドラムという基本フォーマットにとらわれない多様な楽器の音色と、
温かさを感じるオーガニックサウンド、ということになるでしょうか。
子供部屋のしっちゃかめっちゃかさをそのまま詰め込んだような楽しさと、
屋根裏部屋で埃をかぶったアルバムをめくるような、秘密めいた静けさ。
「北欧」という言葉の響きに感じる、おとぎ話の国を思うような憧れが、
そのまま形になったような音楽です。

以前このブログでは、ノルウェー出身のガールズグループ、
ephemera(エファメラ)について書いたことがありますが、
今回紹介するTeam Me(チーム・ミー)も、同じノルウェー出身のグループ。
2011年にデビューしたばかりの若い6人組ですが、
北欧ポップのエッセンスを受け継ぐ、正統的な北欧バンドの一つです。
『To The Treetops』は、12年リリースの彼らのデビューアルバム。



Team Meは、元々はバンドのフロントマンであるマリウス(Vo, Gt, Syn)による、
「1人企画」的バンドでした(だから「チーム俺」というバンド名なのだそう)。
それが、オーディションへ出場することになり、
急きょ他にも楽器が弾ける人間を集めなければならなくなって、
慌てて友人たちをかき集めて今の6人組編成になったそうです。
結成の経緯はだいぶインスタントですが、
必要な音を鳴らせるだけの人数を揃えた結果が、
3人とか4人じゃなく、6人という大所帯になった点に、
北欧ならではのユニークさがあるように思います。

基本的にはギターやベースというベーシックな楽器が主ですが、
各自がメイン楽器の他にもシンセサイザーを使って、
かなり多様な音を盛り込んでいます。
その上、けっこうどの曲もビートが利いています。
こう書くと、デジタルな音をイメージするかもしれませんが、
実際に聴いていて受ける印象は、
むしろアコースティックな、温かみのあるサウンドです。
デジタルな音色を多用していても、
不思議と生音のような手触りに仕上がってしまうところが、
北欧バンドの面白さだなあという気がします。

日本では、デビュー作となるEPがけっこう売れて、
本国ノルウェー以外では、わりと早い段階から彼らのことを認知していた国なんじゃないかと思います。
Team Meに限らず、例えば90年代にカーディガンズ(スウェーデン)がヒットしたように、
北欧ポップは日本のリスナーの中で、常に一定以上の支持を集めてきました。
そのバンドがいい、その曲がいい、というのが大前提ですが、
そもそも日本人の感性自体が、北欧ポップと親和性が高いんじゃないかという気がします。

北欧ポップも日本のロック/ポップも、大陸系の文化から比べるとひねくれているというか、
基本的にオルタナティブ的発想を好む傾向があるように思います。
簡単に言えば、「重箱の隅をつつく」のが好き。
今年のコーチェラ(アメリカの超有名ロックフェス)で、
スカパラが日本人初のメインステージ出演を果たしたことが話題になりましたが、
スカパラなんてあれ、思い切りオルタナですよね。
あと、きゃりーぱみゅぱみゅとかPerfumeとか、古いとこだとYMOとか、
ああいう音楽(というかコンセプト)が英国やアメリカから生まれるのはちょっとイメージできません。

なんか、そういうオルタナティブなものへの生来的(といっていい気がする)な偏向や、
「一風変わった感」への敷居の低さという点で、
北欧ポップと日本人の耳とは、
地球のほぼ真裏の国同士という地理的な距離ほどには遠くないのかなあと思います。

Team Meは今年の夏に2ndアルバム『Blind As Night』をリリースしています。










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