20141126-homecomings_somehowsomewhere_500

「喪失」という名のプレゼントを
贈ってくれてありがとう


今年最後の記事はどうしてもこのバンドで締めたかった…!

京都出身の女性3人、男性1人の4ピースバンド、Homecomings
既に「『京都のバンド』がやたらと素敵な件」という記事で一度紹介していますが、
あれから半年以上経った12/24のクリスマスイブ(つまり昨日)、
ようやく彼女たちの1stフルアルバム『Somehow, Somewhere』がリリースされたのです。

久々に、CDが届くのを「待ち焦がれる」という体験をしました。
その心境といい、届いたタイミングといい、
このアルバムが、間違いなく我が家の今年のクリスマスプレゼントでした。

もうね、どんなに「好きだ」と言っても言い足りません、Homecomings
今年のはじめにEP『I Want You Back』を聴いた、その最初の瞬間から、
僕の耳の中には四六時中彼女たちが居座ることになりました。


これを「恋」と呼ばずして何と呼ぼう。
とにかく好き。好きすぎる。どの曲も全部好きすぎる。
好きすぎて最近じゃ逆に聴いてない。

なんでこんなに好きなんだろう。
福富優樹(Gt)の作るメロディ感、畳野彩加(Vo)の声、楽器の音。
要は「全部」ということなんですけど、その気持ちをさらに一段掘り下げて、
あえて(本当に“あえて”ですが)言葉を探してみると、
「喪失感」というキーワードが浮かんできました。

今回の新譜発売で、タワレコ某店のポップでは、
「とことん甘酸っぱくてキュート」と紹介されていたそうです。
でも僕は「甘酸っぱくて」「キュート」だから彼女たちに恋をしたのではない。

『I Want You Back』も、1stミニアルバム『Homecoming With Me?』も、
さらには平賀さち枝とのコラボシングル『白い光の朝に』でさえも、
彼女たちの音楽は僕の心を癒すのではなく、
むしろ、遠い日の恥ずかしい記憶とか、
もう絶対に戻らない誰かと過ごした日々だとか、
心のあちこちに空いた無数の「穴」を白日にさらしてきました。
僕は、そこにすごく惚れたんだと思います。


なんかとてもネガティブなことを書いているようですが、そうではありません。
福富優樹は新作『Somehow, Somewhere』のライナーノーツで、
「僕は夜中の寂しさが好きで、そういう感情をこのアルバムで表現したかった」
というような内容のことを書いていますが、
実は、僕の感情は彼が意図しているものとも微妙に違っていると思います。

僕は別に、Homecomingsを聴いて寂しくなっているわけではないのです。
確かにグーッと胸に迫るものはある。泣きそうにもなる。
でも、彼女たちの音楽は、その上で聴く者を一人にさせない温かさや、
湧き上がる感情を一緒にこらえてくれる優しさがあります。
僕が「喪失感」をキーワードに挙げたのは、
それが彼女たちの音楽を通すことで、
「半端で不完全な自分の人生」を愛せるきっかけになるからなのです。


新作『Somehow, Somewhere』は期待通りの素晴らしいアルバムでした。
リードトラックの<Great Escape>や7曲目<Lemon Sounds>
ラストの<Ghost World>などは、これまでの彼女たちの曲にはなかったタイプの、
あるいはこれまでの曲をさらに発展させたタイプの楽曲で、とてもグッときます。
また、僕が一目ぼれをした<I Want You Back>がレコーディングし直されているのも嬉しい。
やっぱりこの曲は素晴らしいです。

12/23に下北沢で行われた新作のリリース記念ライブはソールドアウトだったそうです。
タワレコなどの大手レコード店でも特設コーナーが設けられているようだし、
今回のフルアルバムを機に認知度が上がっていくのでしょうか。
もちろん、「こんなに素晴らしいバンドが売れないのはおかしい」と常々思っている僕は、
そうなっていくことを真剣に望んでいるわけですが、
しかし胸の内の片隅では、大好きな彼女が手の届かないところに行ってしまうような、
同じ教室で机を並べてたのに、TVに出て有名人になって学校に来なくなってしまうような、
嫉妬的焦燥的危機感が頭をもたげ始めています。

評価はしてほしい。幸せになって欲しい。
でも、チヤホヤされると面白くない。
この面倒くささは、やはり恋のようです。はい。







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