僕が所属する劇団theatre project BRIDGEの3年ぶりとなる公演、
『ザ・ロング・アンド・ワインディング・労働』の本番まで、残り3週間。

詳細はコチラ ※PDFが開きます

前回から、僕が劇団の旗揚げ以来担当している劇中使用曲の「選曲」について、
全公演の曲目リストとともに振り返っています。
#第1回はコチラ

2回目となる今回は、
2003年に上演した第5回公演『500万年ララバイ』からです。

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vol.5 『500万年ララバイ』(2003年8月)

#1 Fly Me To The Moon(Frank Sinatra)
#2 NAI NAI 16(シブがき隊)
#3 Physical(Olivia Newton-John)
#4 Yawn(Air)
#5 Hold On(Kansas)
#6 April Come She Will(Simon & Garfunkel)
#7 Good Morning Good News(the pillows)

前作の第4回公演『PATRICIA』で、
シーンの雰囲気や登場人物の気持ちに合わせた音楽ではなく、
芝居とぶつかり「ズレ」を生むような音楽を選ぶという、
新たな選曲の方法を知ったと書きました。
この第5回公演は、それを実践した2度目の公演です。

印象に残っているのは#3オリビア・ニュートン・ジョン
人間に進化する前のサルの少年たちが「天正遣欧少年使節」を結成し、
長い船旅の果てにたどりついたローマの街で、
地元の人たちと盆踊りを踊るという場面で流しました。
(毎回突っ込みますけど、一体どんな芝居だよ!)
振付は日本の盆踊りなのに曲は<Physical>という組み合わせは、
かなりカオスな空気を醸し出していて、我ながらけっこういい選曲だったと思います。


懐かしいなあと思うのはAirでしょうか。(#4
Airは高校の時によく聴いてました。
<Yawn>は今聴いても鳥肌が立ちます。


あと、リスト見てて意外、というか謎だったのがKansas。(#5
なぜKansas?!
これまでの人生で彼らにハマった記憶はないのですが、なぜ使ったのだろう??
試しにこの<Hold On>という曲を聴いてみたら、確かに流した覚えはある。
(てゆうかちゃんとCDも持ってる)
でも、そもそもどこから選択肢に上がってきたのか、今となってはまるで分かりません…。



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vol.6 『眠りの森の、ケモノ』(2003年12月)

#1 20th Century Boy(T.REX)
#2 A Visiting Card(Wim Mertens)
#3 Red Turtle(Uma Uma)
#4 All Along The Watchtower(Bob Dylan)
#5 結婚しようよ(吉田拓郎)
#6 Raindrops Keep Falling On My Head(B.J. Thomas)
#7 The Fool On The Hill(The Beatles)
#8 It’s Only Rock N’ Roll(The Rolling Stones)
#9 The Weight(The Band)
#10 Across The Universe(The Beatles)

学生劇団としての実質的な最後の公演です。
自由に時間が使えるのも最後だから、いっちょ派手なことをやろうということで、
初めて時代劇に挑戦しました。
室町末期の荒れ果てた村を舞台に、村人と森にすむ半獣半人のケモノとの交流を描いた、
ダークファンタジーでした。
(おお、こう書くとなかなか面白そうな響きだ)

リストを見てもらえるとわかるように、
ビートルズ#7、10)やストーンズ#8)、ディラン#4)といった、
60〜70年代の洋楽ロックを意識的に使いました。
時代劇に洋楽ロック」という組み合わせの意外さを狙ったものだったのですが、
想像していた以上にバシッとハマった記憶があります。
特に#9The Band<The Weight>はクライマックスの立ち回りで流したのですが、
凄惨なシーンなのに物悲しくて、とても印象に残っています。


この作品のために集中的にロックを聴いたことで、
結果的に僕の頭の中では「ロックの体系化」が行われました。
(それまではビートルズもオアシスも、イギリスもアメリカも一緒くたに聴いてたのです)
僕個人の音楽遍歴としても、このときの体験は大きな財産になりました。

メインテーマは#1<20th Century Boy>
これはオープニングとラストで、物語をサンドイッチする形で使いました。
今でも鮮明に覚えているのですが、
車を運転してる時にたまたまこの曲が流れてきて「これだ!」と即決しました。

この頃になると、稽古場でCDを何枚も聴きながら曲を選ぶというやり方ではなく、
車の中や街中でたまたま耳にした音楽をそのまま使っちゃうという、
「偶然性」によって選曲するというやり方に移行していました。
それは、「選ぼう」というある種の作為の基で聴く曲よりも、
稽古や台本から離れた場所で偶然出会った曲の方が、
(かっこよく言えば)自分の想像を超えた選曲ができると考えたからなのですが、
車というのはそのための環境として最適だったのです。

で、何が言いたいかというと、今そういうことをやろうとしたら、
iPodやiPhoneでシャッフル再生すれば済むのですが、
当時(と言ってもわずか10年ちょっと前)は携帯音楽プレーヤーなんてなかったんですよね。
なので、当時はわざわざ「選曲のためのドライブ」なんてことをやってました。

何十枚もCDを持ち運ぶ必要もなくなり、
今では選曲作業もiPhone一つあれば事足りるようになりました。
芝居そのものは今も昔もアナログなメディアですが、
周囲の環境はやっぱり変わったなあと思わざるをえません。




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vol.7 『リボルバー』(2006年1月)

#1 ばらの花(くるり)
#2 RUNNERS HIGH(the pillows)
#3 放課後の決闘(田中公平)
#4 初めての出撃(田中公平)
#5 悲哀(田中公平)
#6 Peace(George Winston)
#7 To Be(Montreux)
#8 チャンピオン(アリス)
#9 夕暮れ(ザ・ブルーハーツ)
#10 旅人(ザ・ブルーハーツ)
#11 My Foot(the pillows)

前作から約2年のブランクを空けて、
初めて「社会人劇団」を名乗った公演です。
劇場も、地元神奈川から東京へと場所を移しました。
メンバーもかなりの数が入れ替わり、
劇団にとって再スタート的な公演に位置づけられます。

選曲で思い出深いのはthe pillows<My Foot>です。(#11
第2回公演以来、劇中曲の中でも特に物語のキーとなる場面で流してきたthe pillowsですが、
この<My Foot>が実質的な最後になりました。
実際には以降も何度か使ってはいるのですが、
「テーマを背負った曲」として使ったのは、これがラストになります。
この曲が収録されたアルバム『MY FOOT』がリリースされたのは、本番のわずか1週間前でした。
多分、この曲を使った世界で最初の劇団だったはずです。


劇団の再スタートということもあり、実はかなり前から、
the pillowsに代わってテーマを担ってくれる新たなアーティストを探していました。
#1くるりは、そうしたトライアルの一環で出会ったバンドの一つです。
他にも、結局使わずじまいでしたが、スピッツの曲はかなり本気で検討した覚えがあります。


しかし、結局最終的に落ち着いたのは、ブルーハーツ#9、10)でした。
これは正直、選んだというよりも「頼った」という感じです。
ブルーハーツは流せば必ずハマるのが分かりきってる(それだけどの曲も素晴らしい)だけに、
使う方からすると、ちょっと卑怯な気がして、できれば避けたい存在でした。
なので、正直に言えばこの選曲はちょっと悔しい思い出があります。

ただ、このときブルーハーツを使ったことがきっかけで、
ハイロウズ、そしてクロマニヨンズ(当時はまだ結成されてませんでしたね)と、
それまでなんとなく聴いていたヒロト&マーシーの曲を真剣に聴くようになり、
2012年に行った最新の公演では、全曲彼らの曲に統一するなど、
結果としては劇団の歴史になくてはならない存在になりました。




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vol.8 『Lucky Bang Horror』(2006年12月)

#1 天井裏から愛をこめて(アンジー)
#2 Silent Betty(Uma Uma)
#3 水面に浮かぶ金魚鉢(DEPAPEPE)
#4 Mid Day Moon(Cosmic Village)
#5 Perfect Emotion(Cosmic Village)
#6 Earthrise(Cosmic Village)
#7 Shenandoah(Eric Tingstad, Nancy Rumbel)
#8 You & I(the brilliant green)
#9 Skeleton Liar(the pillows)
#10 A Carved Stone(坂本龍一)
#11 The End Of The World(Skeeter Davis)
#12 照れるような光(小谷美紗子)

初めて選曲にiPodを導入したのがこの公演でした。
当時最大容量の30GBモデルを買ったのですが、
やはり数千曲が片手に収まるというインパクトはすさまじいものがありました。

ただ、期待していた「偶然性の選曲」(上述)は、思ったほど効果が上がりませんでした。
やはり意図的に偶然性を狙っても、それはもはや必然なんですよね(って当たり前か)。

逆に利点になったのは、プレイリスト機能によって、
今は使わないけどいつか使いたい曲」を効率的にストックできるようになったこと。
当時すでにそうした「気になる曲」は100曲単位に膨れ上がっていたので、
それを整理して、なおかつどこでもすぐに再生できるというのは、
この後の公演での選曲に威力を発揮しました。

そんな「気になる曲リスト」から選んだのが、#1アンジーでした。
たしか、2003年の『眠りの森の、ケモノ』のときには既に脳内リストには入っていて、
いつか使いたいとストックしておいた曲でした。


この頃になると(結成して6年目)、音楽を聴くときは、
これを芝居で使ったらどうだろう」とか、
この曲から始まる芝居を作るとしたら、どんな物語になるだろう」なんてことを、
常に頭の片隅で考えるようになっていました。
音楽を聴くという行為が、僕の中では芝居と不可分なものになり、
iPodの登場でその結びつきがさらに強まりました。




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vol.9 『クワイエットライフ』(2007年11月)

#1 BAD(Michael Jackson)
#2 キスしてほしい(ザ・ブルーハーツ)
#3 夢(ザ・ブルーハーツ)
#4 学園のスカーレット(光宗信吉)
#5 サイレント(羽田健太郎)
#6 la peggi(石野卓球)
#7 CHAOS WEST(石野卓球)
#8 IN YER MEMORY(石野卓球)
#9 Ride On Shooting star(the pillows)
#10 Penny Lane(The Beatles)
#11 In My Life(The Beatles)
#12 As Time Goes By(Bill Evans)
#13 Darn That Dream(Bill Evans)
#14 ええねん(ウルフルズ)
#15 星降る夜に(東京スカパラダイスオーケストラ)

この芝居は、学生時代からの友人同士である男女4人を主人公に、
前半1時間が7年前の4人を、後半1時間が現在の4人を描くという
2部構成の形をとっていました。
演じる役者も過去と現在とを別々の役者が演じるという「2人1役」スタイル。
ですから選曲も、過去と現在とでテイストを変えて、
7年間の時間経過を表現したいと考えていました。

ここで再び登板してきたのがブルーハーツです。
使ったのは2曲だけ(#2、3)でしたが、
位置づけとしては前半の、青春時代の4人のテーマソングでした。
青春時代といえばブルーハーツという発想は、世代なんだろうなあと思います。
そして、芝居のラストの曲として、
同じ甲本ヒロトボーカルでも、スカパラとのコラボ曲である#15を流したのは、
青春時代からの時間の変化を狙ったものでした。

反対に後半の、大人になった現在の4人のシーンでは、
なるべく曲をかけない」という選択をしました。
#12、13Bill Evans(これまでの選曲からするとかなり唐突…)は、
後半シーンで使った曲ですが、
登場人物が実際にその場で流しているという設定で、
薄く流れているBGMとして使っただけ。
「曲をかけない」という選曲もあるんだなあと、しみじみ思った記憶があります。

芝居のテーマが「過去と現在」というようなものだったので、
稽古期間中は、家で聴く音楽も自然と過去のいろんなことを思い出させるような、
ちょっとセンチメンタルな曲にばかり手が伸びました。
そして、開演前の客席に流す音楽(僕らはそれを「客入れ」と呼んでいます)も、
そうした曲の中から選びました。

リストは残ってないので記憶頼りなのですが、
確かチャットモンチー<Make Up! Make Up! >と、
桑田佳祐<悲しい気持ち>は流した記憶があります。
どちらも僕自身の青春時代からは少しずれているのですが、
なんとなくこういった曲が僕の気分と、
そして『クワイエットライフ』という作品にフィットするような気がしていたのです。


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※次回は第10回公演『アイラビュー』から最新の第13回公演『スターマイン』までを取り上げます。

L&W

theatre project BRIDGE vol.14
『ザ・ロング・アンド・ワインディング・労働』
シアターグリーン BOX in BOX THEATER

10/10(土)14:00 / 19:00
10/11(日)14:00 / 19:00
10/12(月祝)14:00
※開場は開演の30分前です

http://www.t-p-b.com/




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