僕が所属する劇団theatre project BRIDGEの3年ぶりとなる公演、
『ザ・ロング・アンド・ワインディング・労働』の本番まで、ついに2週間を切りました。
詳細はコチラ ※PDFが開きます

先々週から、僕が劇団の旗揚げ以来担当している劇中使用曲の「選曲」について、
全公演の曲目リストとともに振り返っています。
#第1回はコチラ
#第2回はコチラ

最終回となる今回は、
2008年に上演した第10回公演『アイラビュー』からです。


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vol.10 『アイラビュー』(2008年11月)

#1 熱帯夜(Rip Slyme)
#2 PINZORO(東京スカパラダイスオーケストラ)
#3 The Power Of Love(Huey Lewis & The News)
#4 Hot Chocolate(Rip Slyme)
#5 ふがいないや(YUKI)
#6 Beautiful(SOPHIA)
#7 キラーチューン(東京事変)
#8 今日の歌(369)
#9 Dandelion(Rip Slyme)
#10 チョコレイト・ディスコ(Perfume)
#11 唐人物語(サザンオールスターズ)
#12 ハズムリズム(PUFFY)
#13 Present(Rip Slyme)
#14 愛して愛して愛しちゃったのよ(サザンオールスターズ)
#15 忘れじのレイドバッグ(サザンオールスターズ)
#16 ラヴぃ(Rip Slyme)

この公演から「この作品にはこのアーティスト」といった感じで、
芝居のキーとなる音楽を曲単位ではなくアーティスト単位で選ぶようになりました。
全体の統一感を図るというのが大きな理由なのですが、
それが可能だったのも、この作品が(タイトルからもわかる通り)ラブストーリーという、
非常に明快なテーマを持っていたからでした。

この公演で選んだアーティストは、RIP SLYMEでした。
#1、#4、#9、#13、#16と、なんと5曲も使っています。
幕末の女郎屋が舞台だったのですが、
そこに現代的な音楽であるヒップホップを載せるという組み合わせも面白かったし、
彼らの、ポップで享楽的でちょっとエッチなところが物語にハマりました。


その他にも、YUKI#5)や東京事変#7)、さらにperfume#10)などを流し、
過去の芝居と比べると一気にポップさが増しました。
ちょうど前作『クワイエットライフ』から物語をコメディ路線へと舵を切ったことで、
選曲もその影響を受けた形です。
全ての曲が日本語詞というのも、この芝居が初めてでした。


客入れの最後(物語が始まる直前)の音楽は、エディット・ピアフ<愛の賛歌>でした。
そして、情熱的な<愛の賛歌>が終わるのに合わせてゆっくりと明かりが落ちていくと、
客席頭上のミラーボールが回り始め、間髪を空けずにRIP SLYMEの<熱帯夜>#1)がかかり、
女郎たちがワラワラと出てくる、という幕開けでした。
自分で言うのもナンですが、なかなかいい演出だったと思います。




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vol.11 『七人のロッカー』(2009年11月)

#1 借金大王(ウルフルズ)
#2 歌舞伎町の女王(椎名林檎)
#3 listen to the libertines(noodles)
#4 僕の時間機械(ザ・コレクターズ)
#5 残酷な天使のテーゼ(高橋洋子)
#6 雨あがりの夜空に(RCサクセション)
#7 紅(X)
#8 Silent Jelousy(X)
#9 Saturday Night(Bay City Rollers)
#10 エヴリデイ・エヴリナイ(フィッシュマンズ)
#11 Rock And Roll Music(The Beatles)
#12 クラッカー(Ogre You Asshole)
#13 Endless Rain(X)
#14 sleep, sleep, sleep(the telephones)
#15 Lightning Runaway(the pillows & Ben Kweller)
#16 Little Wing(Jimi Hendrix)
#17 ずっと前(フィッシュマンズ)
#18 Piggies(The Beatles)
#19 I Will(The Beatles)
#20 トランジスタ・ラジオ(RCサクセション)
#21 Rusty Nail(X JAPAN)
#22 Dahlia(X JAPAN)
#23 Blackbird(The Beatles)
#24 All Together Now(The Beatles)

#25 You're Going To Lose That Girl(The Beatles)
#26 Act Naturally(The Beatles)
#27 Baby's In Black(The Beatles)
#28 Thank You Girl(The Beatles)
#29 Do You Want To Know A Secret(The Beatles)
#30 Baby It's You(The Beatles)
#31 I'll Get You(The Beatles)
#32 Rain(The Beatles)
#33 I Need You(The Beatles)
#34 Here, There And Everywhere(The Beatles)

旗揚げ以来、音楽というものはずっと僕にとって芝居の重要なファクターでした。
しかし、ついにこの公演では音楽そのものが芝居のテーマになります。
タイトルからも分かる通り、初めて「ロック」を正面切って取り上げることになったのです。

選曲も当然、ロックが中心です。
そして、前作『アイラビュー』におけるRIP SLYMEのような、
芝居のキーとなるアーティストとして選んだのが、ビートルズでした。
実はちょうどこの年、ビートルズのリマスター盤が発売されて、
僕の中でビートルズ熱が猛烈に再燃したんですね。
#過去記事:THE BEATLES 『THE BEATLES IN MONO』

物語上の空間に実際にビートルズが流れているという設定で、
舞台上にラジカセを置いてそこから流したり、
また、役者が舞台上で楽器を演奏するシーンがあったので、
そこでも<Rock And Roll Music>を演奏したりしました。


さらには、開場中の音楽は『Abbey Road』を(ほぼ)フルで流し、
<The End>が終わるのに合わせて明かりが落ちてそのまま物語が始まるなど、
前作のRIP SLYME以上に、この芝居ではビートルズがキーになりました。

とはいえ、全体の選曲としては、前作の『アイラビュー』に続いて、
基本的に日本のアーティストに絞っています。
Ogre You Asshole#12)はちょうど公演の直前にメジャー1枚目を出したばかり。
2015年いっぱいで活動を休止することを発表したthe telephones#14)は、
当時まだインディーズだったんじゃなかったかな?


また、ロックをテーマにした芝居ということで、
この作品の準備期間中に、古今東西のロックを大量に聴きまくりました。
多分、人生で一番ロックを聴いたと思います。
芝居作りのためではあったものの、結果としてはこのときの経験によって、
僕の中で「ロックの体系化」が『眠りの森の、ケモノ』のときからさらに進められ、
それが現在でも、ロックを聴く上での基礎になっています。




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vol.12 『バースデー』(2010年11月)

#1 Oxford Comma(Vampire Weekend)
#2 Galaxy Halo(noodles)
#3 反応ゼロ(The ピーズ)
#4 故郷の海よ(ザ・50回転ズ)
#5 愛まで20マイル(ザ・コレクターズ)
#6 SANGANICHI(トクマルシューゴ)
#7 Anarchy In The U.K.(Sex Pistols)
#8 トークバック(ザ・コレクターズ)
#9 底なし(The ピーズ)
#10 心に花を咲かせましょう(つじあやの)
#11 雨天決行(東京事変)
#12 チキンハートをけとばして(つじあやの)
#13 スキップ(スネオヘアー)
#14 とび魚のバタフライ(チャットモンチー)
#15 くちびるモーション(PUFFY)
#16 月が泣いてる(つじあやの)
#17 涙風にたくして(つじあやの)
#18 White sky(Vampire Weekend)
#19 Taxi Cab(Vampire Weekend)
#20 Cape Cod Kwassa Kwassa(Vampire Weekend)
#21 In a Silent Way(Nine Miles)
#22 Changes(Nine Miles)
#23 Birthday(山中さわお)
#24 鉄カブト(ザ・クロマニヨンズ)
#25 White Riot(The Clash)
#26 Blitzkreig Bop(The Ramones)
#27 恋の季節(ピンキーとキラーズ)
#28 ヒーロー(麻倉未稀)
#29 スピードとナイフ(ザ・クロマニヨンズ)
#30 Primer Beat(the pillows)

劇団の結成10周年記念公演です。
1人の少年の旅を軸に、全体が4つの短編に分かれるという構成だったので、
音楽も短編ごとにキーアーティストを変えて臨みました。

具体的には、1編目がTheピーズ#3、9)、2編目がつじあやの#10、12、16、17)、
3編目がVampire Weekend#18、19、20)、
そして最後の4編目がザ・クロマニヨンズ#24、29)でした。
リストを見ると、この4組のアーティスト以外の曲もたくさん含まれているのですが、
僕の意識の中ではこの4組がその短編の「軸」でした。
中でも、2編目のつじあやのから3編目のVampire Weekendという流れは、
意表を突いた展開で、気に入った選曲です。


実はこの少し前、おそらく『アイラビュー』の頃から徐々にだと思うのですが、
芝居にセレクトする音楽と僕個人がリアルタイムで聴いている音楽とが、
ほとんど重なるくらいに近づき始めました。
『クワイエットライフ』あたりまでは、芝居の選曲のためにライブラリを棚卸して、
極端に言えば過去に聴いた全ての曲を総ざらいするようなやり方だったのが、
この頃になると、僕個人がそのとき聴いてる音楽から選ぶようになったのです。

『アイラビュー』でRIP SLYMEやPerfumeを選んだのも、
『七人のロッカー』でコレクターズやOgre You Assholeを選んだのも、
当時の僕が彼らをどっぷりと聴いていたことが背景にあります。
そしてこの『バースデー』でいえば、おそらく8割くらいの楽曲が、
当時の僕が日常的にヘビーローテーションしていたものです。
つまりほとんどの曲を「その場」で選んでしまっているわけです。

選曲そのものに対する慣れが(今さら)生まれてきたということもありますが、
根本的な理由としては、10年活動してきたことで、
「芝居を作る自分」というものが非日常ではなくなり、
普段の生活の中に溶け込んでしまったからだと思います。
その結果として、聴いている音楽と物語との間に、
あまりギャップが生まれなくなったのではないかという気がします。

まあ、だいぶかっこよく言ってしまっていますが、
逆に「その時聴いている音楽に作品が左右される」とも言えるわけで、
これはこれでコントロールが難しいところはあります。

この芝居で使った曲数は30曲。
数の上では前作『七人のロッカー』の34曲が最多ですが、
『七人〜』はかなりの曲を舞台上のラジカセで流すBGMとして使っていたので、
劇場のスピーカーから流す、演出としての「劇中曲」としては、この『バースデー』が最多です。
旗揚げ公演の劇中使用曲はわずか8曲であったことを考えるとしみじみします。




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vol.13 『スターマイン』(2012年10月)

#1 バームクーヘン(ザ・ハイロウズ)
#2 未来は僕等の手の中(ザ・ブルーハーツ)
#3 少年の詩(ザ・ブルーハーツ)
#4 パーティー(ザ・ブルーハーツ)
#5 ツイスト(ザ・ハイロウズ)
#6 夢をあきらめないで(岡村孝子)
#7 風船爆弾(ザ・ブルーハーツ)
#8 夏の地図(ザ・ハイロウズ)
#9 オレメカ(ザ・ハイロウズ)
#10 Decisive Battle(鷺巣詩郎)
#11 Log Off(川井憲次)
#12 迷路(ザ・ハイロウズ)

現時点での最新の公演です。
10周年記念公演という区切りを迎えた後、1年間のお休みを空けて、
2012年に上演しました。

この芝居のキーアーティストとして選んだのが、
ブルーハーツ、ハイロウズ、そしてクロマニヨンズ。
つまり、甲本ヒロトと真島昌利の2人です。

『リボルバー』、『クワイエットライフ』でのブルーハーツや、
前作『バースデー』でのクロマニヨンズなど、
これまでもなにかと選曲ではこの2人に頼ってきたのですが、
ここにきてついに全曲ヒロト&マーシーという芝居を作りました。

『スターマイン』では、仲でもハイロウズの比重を大きくしました。
3組の中でも特にカラフルでポップで、ヒロトのキーも一番高いハイロウズが、
芝居に最もフィットするように感じました。
特に中盤のダンス曲だった<ツイスト>#5)や、
クライマックスで流した<夏の地図>#8)などは、
気持ちいいくらいに物語にハマった選曲でした。


余談ですが、この『スターマイン』のように、
(ほぼ)全ての劇中曲を1組のアーティストに揃える「全曲○○」という選曲は、
実はこれからも機会があればやってみたい目標の一つです。
そのためには、音源化された楽曲が豊富にあり、
しかもある程度曲がバラエティに富んでいて、
なおかつ僕自身がそのアーティストのことを大好きでなければならないという、
いくつかの条件はあるものの、
1組に絞ることにより、音楽が「背骨」のように芝居を支えることができるので、
「そういうアーティストはいないかな」と虎視眈々と狙っているところです。



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これで全公演分終了です。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
過去15年間で自分が選んできた曲を、しかも時系列に沿って振り返るというのは、
とても面白い体験でした。

かつては音楽を「聴くこと」と「選ぶこと」の間には、明確な隔たりがありました。
前者は日常であり、後者は非日常でした。
しかし、『バースデー』の項でも書いたように、
今では「選ぶこと」の非日常性は薄れ、両者の距離は限りなく近くなってきています。
2週間後に上演する最新作『ザ・ロング・アンド・ワインディング・労働』も、
やはり僕がこの1年ほどの間に聴きこんだ曲が多く選ばれています。

芝居の選曲にはその時々の僕の好みが反映され、
そして逆に、芝居の選曲が普段聴く音楽にもフィードバックされる。
今回、全リストを振り返ったことで、
僕の音楽遍歴そのものが「選曲」に大きな影響を受けていることを改めて実感しました。

まあ、その分選曲のコンセプトが安定しないとか、作品の印象がコロコロ変わるとか、
芝居側からするともしかしたら難点があるのかもしれませんが、
少なくとも1人の音楽リスナーとして考えると、
「芝居の選曲」という特殊なインプット先を持っていることは、
間違いなく財産であり、そしてちょっと誇らしいなあと思います。

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L&W

theatre project BRIDGE vol.14
『ザ・ロング・アンド・ワインディング・労働』
シアターグリーン BOX in BOX THEATER
※重要なお知らせ※
10/11(日)19:00の公演は、都合により中止させていただきます。
その他の公演は予定通り行いますので、みなさまのご来場を心よりお待ちしております。

10/10(土)14:00 / 19:00
10/11(日)14:00 / 19:00
中止
10/12(月祝)14:00
※開場は開演の30分前です
http://www.t-p-b.com/




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