Artwork-Solo-AHJ-Momentary-Masters

「あのストロークス」が聴きたければ
アルバートを聴け


2015年もいろんなアルバムを聴いたんですが、
1枚選べと言われたら、多分これを選びます。
ストロークスのギタリスト、アルバート・ハモンド・Jrが、
7年ぶりに出したソロ3作目『Momentary Masters』

評価されてるとか売れてるとか、
そういうポジティブなニュースを全く耳にしないんですけど、
僕としては昨年一番印象が強烈だったのがこのアルバムでした。

何が強烈だったかというと、アルバム全体の「勢い」。
とにかくスピード感がものすごくて、
特に中盤からラストにかけての暴走列車のような怒涛の展開は、何回聴いてもゾクゾクします。
10曲35分という、ごくごく標準的なサイズのアルバムなのですが、
実際に聴き始めるとあっという間に過ぎ去っていってしまいます。

スピード感といっても、別に全部の曲が極端に速いというわけではありません。
1曲目<Born Slippy>とか4曲目<Coming To Getcha>なんて、むしろゆっくりめの曲です。
でもなんていうんだろう、1曲1曲の「前へ前へ」という前のめり感というか、
全体の凝縮感というか、「勢い」としかいえない何かが満ち満ちています。

アルバートのソロは過去2作とも非常に良くて、今でもよく聴いてるのですが、
これまでは「1曲ずつじっくり聴かせる」ことに重きを置いていた気がします。
ところが今回は、個々の楽曲はバラエティに富みながらも(ラップっぽいフレーズとかまであるし)、
アルバム全体を一つの作品に仕上げようとする統一感や緊張感があります。
この、全身にザーッと何かを浴びせられるような快感が病み付きになり、
買ってしばらくは毎日聴いていました。

ただ、過去2作と変わらないところもあります。
それは、(ミもフタもない言い方ですが)ストロークスっぽいところ。
デュアルギターの絡みとか、<Caught By My Shadow>に見られる独特のギターのフレーズとか。
<Razors Edge>なんて、そのままジュリアンが歌っていても、
違和感がないんじゃないでしょうか(むしろ歌ってほしい)。


バンドのメンバーがソロ作品を出す場合って、
その集団ではできない音楽を作ることや、
個人的な音楽の嗜好を追求することが動機になるので、
バンド本体の音楽性からは離れるのが一般的です。
けれど、アルバートの場合はその逆で、
ストロークスよりもさらにストロークス的な音楽を作り続けています。
※ちなみにここでいう「ストロークス」とは、1、2枚目のアルバムの頃の、
※彼らのパブリックイメージを作り上げた初期のストロークスのこと


アルバートがソロ1作目『Yours To Keep』を出したのが2007年。
ちょうどバンド本体が3枚目『First Impressions of Earth』を出して、
長い迷走を始めた時期にあたります。
彼は本当は、まだまだバンドで1、2枚目のような音楽を続けたかったんだけど、
それが叶わなくて、仕方なくソロの方でそれを追求してるのかなあ、なんて想像します。

僕なんかは未だに『Is This It?』『Room On Fire』の呪縛に捉われているので、
その後のストロークスに対するある種の不満やストレスを、
アルバートのソロで解消していたところがあります。
本当はあっちの彼女がいいんだけど君で我慢するよ」みたいな聴き方しててごめん、アルバート。








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