
スピーカーから飛び出てきて
耳をかじり取られそう
ヴァン・モリソンの1968年のアルバム『Astral Weeks』を初めて聴いたのは、
もう10年近く前のことですが、そのとき感じた「何だコレ?!」という衝撃は、よく覚えています。
フォークのようなブルースのようなカントリーのような。
そのうえジャズっぽくもあるし、さらにケルト音楽っぽくも聴こえる…。
正直そのときは世間が「大名盤!」というほどの真価は分からなかったのですが、
とりあえず「なんかすげえ個性強い」ということは十分すぎるほど分かりました。
僕の中ではジョニ・ミッチェルの『逃避行』の音が近いなあって印象なんですが、
リリースは『Astral Weeks』の方が10年近くも早いんですよね。
その後、同じく代表作の『Tupelo Honey』(71年)も聴いて、
僕の中でのヴァン・モリソン像は、独特すぎる人という印象をいよいよ深めたのでした。
そんなヴァン・モリソンが在籍していた時代のThemの、
公式・未発表問わず、全ての音源を収録(しかもリマスター)したボックスセット、
その名も『The Complete Them 1964-1967』が昨年末にリリースされました。
Themの音源ってずいぶん前から探してるけど、どこにもないんですよね。
ブートレグっぽいのなら何枚か見たことあるけど、スタジオアルバムは皆無。
アナログ盤でも見かけたことない気がするなあ。
なので、今回のボックスは大チャンスだったので即、予約しました。
ちなみに、某大手レコードチェーンでネット予約したのですが、
発売日を過ぎても届かず、2〜3週間した後になんと「入荷の見通し立たず」でキャンセルされました。
慌てて某Amazonで探してGETできたから良かったものの、
入荷しないなら予約受付なんかすんじゃねえよ!
収録されたのは全部で69曲。全3枚組です。
なんとなくディスク1がブルース、ディスク2がソウル、という印象。
(ディスク3はデモテイクなどの未発表音源集)
僕の手元にあるThemの音源は、
映画『17歳のカルテ』のサントラに入ってる<It's All Over Now Baby Blue>だけなので、
これまではぼんやりと「メロウな音を鳴らすグループ」という印象だったのですが、
実際にはもっと泥臭いバンドなんですね。
ジャッキー・マッコーレィの鳴らすキーボードが汚らしくてすごくいい感じです。
にしてもヴァン・モリソン、(想像通りではあるけれど)吠えてます。
なんかもう、スピーカーから飛び出してきて耳をかじり取られそうな勢いです。
この吠え声を69曲分聴き続けるとさすがにグッタリする(休み休みですが1度だけやりました)。
繰り返しになりますが、ここまでエネルギッシュで爆走感のあるバンドだったことが驚きでした。
ブルースバンドと聞いてましたが、ガレージロックバンドと認識を改めた方が良さそうです。
ただ、同時に、これをさらにもう100曲、200曲と続けても、
大して変化はないだろうなあという気もします。
Themというバンド自体はその後も続きますが、
ヴァン・モリソンが早々とバンドを去って独自の道へと進んだのは、
彼にとっても音楽界にとっても正しい判断だったのかなと思います。
まあ、だとしても、ここからあの『Astral Weeks』まで(間に1枚挟んでますが)
一気にジャンプアップする感性は、とても同じ人物とは思えないですが。
あるアーティストをフォローするときに、時系列に沿って作品を聴くのが僕は好きなんですが、
ようやく今回Them時代の音源にまでさかのぼることができたので、
これで心おきなくヴァン・モリソンについても(10年ぶりに)続きに手を出せそうです。
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