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愛に対して誠実だからこそ
愛に対してブチ切れる


かっこいいものからウケ狙いの外したものまで、
世の中にはいろんなバンドの名前がありますが、
「ヘンな名前」という点では彼らは相当上位に食い込むと思います。
2013年結成の5人組、最終少女ひかさ

最終少女ってなんだよ。ひかさって誰だよ

そして、名は体をあらわすといいますが、
彼らの音楽も、その強烈に胡散臭いバンド名に負けず劣らず、
かなりエッジが利いています。


なんかもう自由すぎる。
だいたい<いぎありわっしょい>ってタイトルはなんだ。
ほかにも<すし喰いたい><かつき>なんていう、
それだけで濃厚にアクの強さが漂ってくる曲のタイトルとか、
BPM速めで踊れる風なのに合いの手とかが入って「音頭」みたいになっちゃうところとか、
紅一点ラモネスの鳴らす妙にオリエンタルなシンセとか、
このバンドの放つ「異物感」はなかなか強烈です。

いかにも関西出身のバンドっぽいのですが、
実は北海道の札幌発というのも面白い。
彼らのキャラクターはブッチャーズピロウズではなく、
村八分ミドリと同じ土壌から出てきたと言われたほうが納得できる。

そして、このバンドのキャラクターを最も体現しているのが、ボーカルの但野正和です。
メロディに載せない、歌と喋りの中間くらいのスタイルにしても、
わざと投げやりに言葉を放ってくるところにしても、今時珍しいくらいに反抗的です。
4つ打ちの性急さとここまでマッチした言語感覚は彼以外に知らないかも。
4畳半アパートとか飲み屋横丁とか、そういう昭和っぽいロケーションが似合いそうな
但野のアングラ詩人のような退廃的な佇まいも、時代に逆行している感じで痛快です。

ただ、表面上は退廃的で投げやりでも、
彼の真意は真逆な場所にあります。

たとえば先ほどの<いぎありわっしょい>。
「愛とか恋とか分かってますから、私もう歌いませんから」
これ、「歌いませんから」と口では言いながらも、
世の中に流れる愛や恋の歌なんて全部偽物で、自分だけがそれを歌えるんだ!という、
バカ真面目さと自負心が透けて見えます。

この後にくるフレーズもそう。
「愛の始まりはまずセックスから」
これも「セックスすりゃいいんだよ」という反モラル的なことを歌いたいのではなく、
セックスが先になって愛が生まれることもある。
愛の結果がセックスだとばかり思ってたのに、その逆が成立してしまうなんて、
俺はこの先何を「愛」と信じればいいのだろう。
そんな「愛に対して誠実であるがゆえの愛への怒り」みたいなものを感じます。

このバンドって、ほかの曲を聴いても常に何かしらに対して激しく憤ってるのですが、
全てその裏側には誠実さや優しさが見え隠れしています。

最初から最後まで怒りまくって、タイトルに「グッドバイ」とつけて、
ジャケットにはビルの屋上から飛び降りた写真を載せる。
こんな1stアルバムを作ってしまって、彼らはこの先どういう道へ進むのでしょうか。
そんな後先のことなんて考えてないんだろうなあと思わせる向こう見ずなところが、
とても愛しく、そして頼もしく感じさせるバンドです。

最終少女ひかさは3月22日に、
久々の音源となる1stミニアルバム『最期のゲージュツ』をリリースします。








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