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「天気」が好みを
変えることもある


現役バンドのうち、「ヘンなバンド名」の日本代表が最終少女ひかさだとしたら
イギリス代表は彼らでしょう。
ロンドン発の5人組、The History Of Apple Pie

「アップルパイの歴史」って、一体何なんでしょう。
そもそも語れるほどの歴史があるんでしょうか(ありそうではある)。
「パイ生地の厚みの変遷」とか「カスタードを入れ始めたのはいつからか」とか。
それとも、イギリスの昔のことわざにこういうフレーズでもあるんでしょうか。
「一切れのアップルパイにも歴史はある=一寸の虫にも五分の魂」的な。

ただ、シュールなバンド名とは裏腹に、
サウンドのほうはとても爽快且つキュートです。
インディーポップ&シューゲイザーという王道の組み合わせ。
その上に、ステファニー・ミンの、ささやくようなセンチメンタルボイスが乗っかります。

訥々としてちょっと舌足らずにも思えるステファニーのボーカルは、
彼女がアジア系イギリス人だからなのか、
NoodlesのYokoフルカワミキら日本の女性ボーカリストにも近い気がして、
日本人リスナーにはシンパシーを感じられるかもしれません。



The History Of Apple Pieはボーカルのステファニーと
ギターのジェロームが中心になって2010年に結成されました。
11年にデビューシングル<You're So Cool>をリリース。
その後アルバム制作に入って12年にはいったん完成したものの、
メンバーが出来を気に入らず、再度イチから作り直して翌13年にリリースしました。
そのアルバムが『Out Of View』
UKレコードストアチャートで2位にまで上ったそうです。

苦心作であったことなど少しもうかがえないほど、
気持ちのいいスカッとしたアルバムです。
彼女たちは間髪いれずに14年に『Feel Something』という2ndアルバムも出しているのですが、
僕は1stの方がメロディもサウンドも思い切りがいいと思う


…とほめまくっていますが、先週書いたレッチリやBECKと同じように、
実はこのThe History Of Apple Pieも僕にとっては、
「今は大好きだけど初めて聴いたときはイマイチだったバンド」でした。
まあ、確かに取り立てて特徴があるバンドではないんですよね。
なので、最初に聴いたときは「なんか物足りないバンドだな」と感じたのです。

印象が変わったきっかけは、実は「天気」でした。
その日は5月のめちゃくちゃ気持ちよく晴れた日で、
朝の通勤列車で外を見ながらたまたまこのアルバムをかけてみたら、
日の光で眩しい外の風景と音楽とが映画のようにマッチしたのです。
多分、聴いたのが雨の日だったら、印象はひっくり返らなかったと思う。

もちろん、その日の心境とか体調とかも影響するし、
一概に天気や季節だけで決まるわけじゃないんですけど、
こうした偶然のきっかけで音楽への印象が変わることってあるんだなあと、
(一応知ってはいたけど)30半ばにして実感してしまいました。








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