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「楽曲提供」という
不思議なトリビュートの形


スタイルもジャンルも異なるアーティストが一堂に会し、
あるアーティストの楽曲をそれぞれの歌い方、
それぞれのアレンジでカバーすることで、
元々の楽曲の新しい見え方が提示され、そのアーティストへの理解や思いが一段と深くなる。
そして同時に、カバーする側の個々のアーティストにも興味が湧いてくる――。

それがトリビュートアルバムの意義であるとしたら、
昨年12月にリリースされた銀杏BOYZのトリビュート『きれいなひとりぼっちたち』は、
本当に素晴らしいトリビュートアルバムでした。
トリビュートって、少なくとも僕は継続的に聴く作品ではないのですが、
『きれいなひとりぼっちたち』に関しては、
リリースから3か月経つ今も頻繁に聴き続けています。

麻生久美子の<夢で逢えたら>も、クボタタケシRemixの<ぽあだむ>も、
Going Under Groundの<ナイトライダー>も本当に最高。
ミツメの<駆け抜けて性春>なんて「卑怯だ!」とすら思います。
聴くたびに「ああ…銀杏は最高だなあ」という思いを改めて噛みしめると同時に、
食わず嫌いだったクリープハイプにも興味が湧いてきます。




ただ、世の中には「カバー」という形ではなく、
まったく別のスタイルでアーティストへのトリビュートを示したアルバムもあります。
その一つが、『きれいなひとりぼっちたち』にも参加しているコレクターズのトリビュートアルバム、
『The Rock'n'roll Culture School 〜ロック教室〜』

2006年にリリースされたこのアルバムは、
他のアーティストがコレクターズをカバーするのではなく、
コレクターズのために曲を書き下ろし、それをコレクターズ自身が歌う
という形をとっています。

楽曲を提供したアーティストは、
奥田民生、真島昌利、山口隆、曽我部恵一、ヒダカトオルスネオヘアーなど、
記名性の高い楽曲を書く、“濃い”メンツばかり。

山中さわお曰く、みんなコレクターズが大好きなので、
ぞれぞれが一番出来のいい楽曲を用意してきたらしく、
さながらトリビュートする側の意地の張り合いのようなところがあったそうです。
実際、例えば松本素生の書いた<19>などは、
「なぜ自分のバンドでやらないんだ?」と思うくらいの超絶名曲。
ヒダカトオルの<LAST DANCE>なんかもめちゃくちゃかっこいい。

しかも、コレクターズのために書き下ろしたとはいえ、
それぞれの楽曲には各アーティストの個性が発揮されているので、
コレクターズがGoingやビークルをカバーしているようにも聴こえてきて不思議です。

ただ、結局何よりすごいのは、
バラバラの色をもった楽曲を全て受けて立って、さも当然のように歌い倒す、
当のコレクターズ自身です。
だって、このアルバムを聴き終わって何が一番印象に残るかといえば、
結局加藤ひさしの声なんだもの。
トリビュートアルバムは基本的にVarious Artistsのコンピレーションですが、
このアルバムについては、間違いなく「コレクターズの作品」になっています。

各ソングライターの個性を感じられる一方で、
コレクターズの作品という説得力もある。
なんとも言えない、不思議な味わいが残る作品です。






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