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バンドとの間に
緊張感を孕んだソロワーク


 メンバーのソロ活動が盛んなストロークスの中で、ただ一人ソロを行ってなかったニック・ヴァレンシ(Gt.)が、ついに自身のバンドを組んでデビューをしました。それがCRXの『New Skin』

 まず(やっぱりというべきか)ギターの音がとてもいいです。エッジの利いたシャープな音なんだけど、ニックのクセのあるフレージングが中和していて、攻撃的というよりも、むしろまろやかな感じ。<Ways To Fake It>とか<Unnatural>の、妙に愛嬌のあるフレーズとか、「コレだよコレ!」みたいになります。

 あと意外だったのが、ニックの声の良さ。渋くていい声してます。デビューして15年以上ずっとギター一本だったニックにとって、初めてのボーカリスト体験は想像以上にしんどかったらしく、インタビューでは「ジュリアンが本当にすごいんだなってわかった」と語ってました。

 あと、僕がいいなあと思ったのは本作のジャケット。凶暴さと可愛さとがあって、僕このジャケすごい好きだなあ。色使いもポップだけど、線の感じとかは日本の漫画っぽくもあります。ストロークスでは絶対やらないデザインでしょうね。

 ただ、アルバムとしての評価としては、せいぜい星3つというところ。どうも全体的に行儀がよすぎるというか、楽曲のバラエティはあるものの、どれもパンチが足りません。こっちとしてはもっとグイグイきてほしいのに、あと一歩、何かがこっちに届かない不完全燃焼感が残るのです。

 ということで、月並みですが次に期待。ニックには「やりきった!」みたいにはなってほしくないなあ。せっかく声がいいんだし、アコースティックなアルバムなんてどうだろう。すごくいい予感がするんだけど。



 一方で、僕が本作を聴いてて面白いなあと思ったのは、ストロークスの5人のソロワークは、みんな不思議とバンド本体と同心円上にいるということ。

 ソロってバンド本体の音楽性から離れるケースの方が多いと思うんだけど(それがソロの意義だし)、彼らの場合、音楽性は確かに5人ともバラバラなんだけど、目指しているゴールは結局みんな同じなように感じるのです。出発点もたどるルートもバラバラで、その選択の違いに個性が表れるんだけど、登ろうとしている山はみんな同じ、みたいな。ニコライのSummer Moonにしても、アルバートの『Momentary Masters』にしても、『Comedown Machine』から昨年の『Futer Present Past EP』と驚くほど同期してますよね(ファブのLittle Joyだけはちょい微妙だけど)。

 パズルのように、5人のソロを合わせるとちょうどストロークスになる気がするし、それぞれのソロを聴くことで、「<Under Cover Of Darkness>はニコライのカラーだな」とか、「<12:51>はアルバートが主導したんじゃないか」なんていう風に、バンドの曲が生まれる様子にも想像が膨らみます。

 バンドから完全に切り離されたソロというものもいいけれど、ストロークスの5人のように、バンドとの間に、一種の緊張感を持ちながら(つまり連続性をもちながら)展開するソロというのも、ファンとしては物語を妄想できるから楽しいです。








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