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「轟音ギターノイズ」は
むしろ優しい


 タイのYellow Fungについて書いたときに、「母国語で歌うアジアのバンド」という話をしましたが、昨年の暮れに新しい出会いがありました。台湾出身のManic Sheepです。

 何度かメンバーチェンジをしてるそうですが、現在は男性2人女性2人の男女混成4ピース。2012年にセルフタイトルの1stアルバムをリリースし、今年1月に2ndアルバム『Brooklyn』をリリースしました。僕の場合は彼女たちを知ったタイミングが2ndが出る直前だったので、連続してポンポンッと聴けたのですが、1stをリアルタイムでフォローしてた人は5年も待ったことになるんですね。

 ただ、音源はリリースしてなかったもののライブ活動はコンスタントに行っていて、日本にも14年、15年の2年連続FUJI ROCK出演をはじめ、かなり頻繁に来日しています。つい最近も来てましたね。海外ではKyteのオープニングアクトもやったことあるようです。



 彼女たちのどこがそんなに好きなのかというと、ノイジーな轟音ギターとボーカルChrisのウィスパーボイスの組み合わせにつきます。いわゆるシューゲイザーの系譜をひくバンドではあるのですが、ライドやマイブラ、ホラーズといったUK系正統的シューゲイザーバンドと比べると、Manic Sheepはずっとメロディが立っていてポップです。でも、ペインズや初期のスーパーカーが好きな僕としては、彼女たちの方が肌に合う。

 ギターのノイズが増せば増すほど、凶暴さではなく繊細さを生む。僕はシューゲイザーのことをそのように理解しているので、Manic Sheepはまさに見本のようなバンドといえます。Chrisの、ただでさえ傷つきやすそうな細い声が、ほとんどギターの音の中に埋もれてしまっている極端な音像は、まるでギターが歌を抱きしめているようにも聴こえます。アンバランスであるからこそ、そこにピュアネスを感じるのです。

 あと、全然音楽と関係ないけど、Manic Sheepで驚くことといえば、ジャケットに対する異様なまでの「凝り」。1stのインナースリーヴは、ページの1枚1枚が羊の毛皮、筋肉、内臓、骨格などのレイヤーになっていて、綴じると1頭の羊が、ページを最後までめくるとその羊の胎内にいる赤ちゃん羊が見えるという、「一体ジャケットにいくらかけてるんだ?」というくらいに手の込んだものでした。

 2nd『Brooklyn』ではなんと、ケースを覆うカバーが完全に密封されていて、購入者はカッターやハサミを片手にカバーを開けないとCDが聴けない、という代物でした。カバーにジャケットイラストがあるから、ぐちゃぐちゃに開けるわけにはいかない。かといって、切り取り線もない。ビニールを解いてから音を出すまで30分かかったCDって初めてです。何をさせたいのか意味不明すぎて笑いました。

 以前Yellow Fungの記事の中で、「今の20代は英語で歌うことへの違和感が下がってるんじゃないか」と書きました。でも、英語も母国語も不自由なく歌い、両方が自然に共存しているManic Sheepを聴いていると、「今の20代は英語で歌うことと母国語で歌うこととの間に区別がない」と書いた方が、より適切なのかなあ、なんて思います。








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