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怪獣映画はやっぱり
「楽しく」なくちゃはじまらない


 子供が生まれると自分だけの可処分時間がほぼゼロになりますが、僕の場合、モロに影響を受けたのが映画を見る時間でした。音楽や読書は隙間時間でなんとかやりくりできますが、2〜3時間まとめて時間を作らなきゃいけない映画は、ほぼ不可能。ということで『この世界の片隅に』も『ラ・ラ・ランド』も『ベイビー・ドライバー』も、話題になってる作品はことごとく見れてません。

 大抵の作品なら見れなくても実は大して後悔はしないのですが、『キングコング:髑髏島の巨神』だけは、無理してでも映画館行っておけばよかったな〜と悔やんでます。こないだBlu-ray借りて見たのですが、めちゃくちゃ面白かった!

『パシフィック・リム』『キングコング対ゴジラ』でも書いてきたように、僕は怪獣映画というものは何よりもまず楽しくなくちゃいけないと思ってるのですが、その意味で『髑髏島の巨神』は、最高の怪獣映画でした。じゃあ具体的にこの映画のどこが「楽しかった」のか。4つのポイントを書いてみました。

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その1:ストーリーが「ありえなさそう」
 人類が未発見南海の孤島秘密機関モナーク正体不明の何かを調査しに赴く―。
 どうですか、言葉だけで既に溢れてくる強烈なアヤしさ。SF映画の多くが、いかに「ありえそう」かを物語に求めるのに対し、すがすがしいまでの「ありえなさそう」感。だからこそいいんです。「ありえない」からこそ楽しいんです。

その2:ネーミングがいちいち素晴らしい
『パシフィック・リム』が最高だった理由の一つは、「ジプシー・デンジャー」や「クリムゾン・タイフーン」、「チェルノ・アルファ」といったイェーガーのネーミングにあると思っています。ポイントは、オシャレじゃないところ。かっこつけてないところ
 その点、『髑髏島の巨神』は素晴らしい。島に生息する巨大生物たちの名前が「スカル・クローラー」に「リバー・デビル」、「サイコ・バルチャー」などなど。なんかもう名前全体から「悪いぜ!」「凶暴だぜ!」というアピールをビシビシと感じます。こういうプロレス的感覚、最高です。
 だいたい「髑髏島」っていうネーミングからしてたまんないですよね。今時子供向けのアニメですらもうちょいシャレた名前を付けそうな中で「髑髏島」という名前をぶち上げてきたスピリットにしびれます。そういえば、島全体を嵐が包んでてどの船も近づけないというラピュタの「龍の巣」的演出もツボでした

その3:島民という「型」を押さえている
 映画の設定で僕が一番いいなと思ったのは、髑髏島に島民が住んでるところ。どうやって住んでるの?何を食べてるの?てゆうかあの壁どうやって作ったの?と真面目に突っ込み始めたらキリがないのですが、それは野暮っていうものです。南海の孤島には、文明を解さない原住民が住んでなきゃいけないのです。キングコングを畏れ敬う存在として彼ら島民がいなきゃ「締まらない」のです。これはもう絶対に外せない型のようなものです
 中盤まで島民は登場しないので、「ひょっとしたらこの映画には出ないのかな」と思ったのですが、いざ出てきたときは喝采でした。
 …と書いたところでふと思ったのですが、この「型」ができたのって実はアメリカのオリジナルではなく、日本の『キンゴジ』じゃないですか?どうなんだろう。調べてみよう。
『キンゴジ』といえば、本作でコングが大ダコ(=リバー・デビル)と戦うって展開には思わずニコニコしちゃいましたね

その4:過剰に画面を盛り上げる「オールド・ロック」
 おそらくここまでロックが流れまくる怪獣映画は今までなかったんじゃないでしょうか。ロック、それもベトナム戦争直後という舞台設定から60〜70年代の古いロックがひっきりなしに流れます。
 選曲がまた良かったですね。主人公たちが乗る軍のヘリの編隊の前に初めてコングが姿を現す場面に流れるのがクリーデンス・クリアウォーター・リバイバルの<Bad Moon Rising>は、あの明るいノリが逆に嵐の前の静けさを際立たせていてドキドキしました。タイトルとシーンのハマり方も見事。

 CCRはもう1曲、<Run Through The Jungle>が使われていますが、これなんかも完全にタイトルで選んだだろって感じで痛快です。
 他にもストゥージズの<Down On The Street>とかチェンバース・ブラザーズの<Time Has Come Today>、ブラック・サバスの<Paranoid>など、とにかくコッテコテのクラシックがガンガン流れます。そういえばデヴィッド・ボウイ<Ziggy Stardust>もちょっとだけ流れます。
 こうした選曲が素晴らしいというのは別に僕がロックを好きだからってわけじゃなくて、コテコテのロックによってめったやたらと画面を盛り上げてくる演出が、実に「怪獣映画的」であるからです。
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 以上、僕が『髑髏島の巨神』を最高の怪獣映画だと評価する4つのポイントを挙げました。他にも、キングコングの(劇中のセリフでいうなら)「高層ビルのような」バカデカいキャラクター造形や、クライマックスのスカル・クローラーとの「プロレス」の気持ち良さなんかも挙げられます。

 僕が怪獣映画に求める「楽しさ」。それは、派手さやケレン味、ある種のくだらなさといった感覚です。頭で理解したり納得したりすることよりも、スカッとする爽快さやワクワクする興奮といった肉体的な快楽だと言い換えられるかもしれません。「東京にガチでゴジラが上陸したら日本の官公庁はどう対応するのか」というリアルで緻密なシミュレーションよりも、「南の島のジャングルに見たこともない巨大な霊長類が住んでた」という荒唐無稽なウソの方が、少なくとも僕は楽しい。例えとして通じるかわからないけど、だから僕はレディオヘッドよりもチャック・ベリーの方が好きなのです








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