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このバンドの「聴き方」が
初めてわかった気がした


 The Vaccinesが前作から3年ぶりとなる4枚目のアルバム『Combat Sports』をリリースしたのは今年3月のこと。「原点回帰!」「これぞヴァクシーンズ!」といった言葉をあちこちで見かけましたが、僕は正直そこまでポジティブな評価はできませんでした。

 確かに、<NightClub>や<I Can’t Quit>、<Put It On A T-Shirt>といった曲は伝説的な1stや2ndの頃のような爆発力のあるナンバーでしたが、一方で<Out On The Street>や<Your Love Is My Favorite Band>、<Take It Easy>あたりは、明らかに3rdを経由した音で、デビュー当時の彼らこそ至上のものと考えている僕には弱っちい曲に映ったのです。

 ところが、この印象がガラリと変わる出来事がありました。それが、つい先週行われた1ステージ限りの来日公演。

 生でThe Vaccinesを見るのは初めてだったのですが、とりあえず、めちゃくちゃ体育会系のバンドでした。サポートアクトのLuby Sparksを3列目あたりでそこそこゆったりと見ていたのですが、The Vaccinesが登場した瞬間、後ろから「ワアッ!」という感じで一気に圧がかかり、そっから1時間強、ずっともみくちゃでした。

 そもそもこのバンドが基本的にガレージパンクってこともあるんですが、それに加え、フロントマンのジャスティン・ヤングがとにかく煽る。YouTubeでライブは何本か見たことあったけど、彼があんなに愉快なキャラクターだったとは思わなかった。折り目正しさとイっちゃってる感じが同居していて「放課後にハメを外す熱血体育教師」みたいな感じがして面白かったです(ということを他にもTwitterで呟いている人がいました。やっぱそうだよね)。



 んで、何が素晴らしかったかというと、ジャスティンのはっちゃけたキャラクターも含めて、バンドの演奏のエネルギーがすさまじかったこと。そこには「2nd以前」「3rd以降」という境目はまったくありませんでした。<If You Wanna>は大合唱せずにはいられないけど、<Your Love Is My Favorite Band>にだって同じように会場全体を歌わせる力がありました。





 僕はずっと「ギターじゃないとヴァクシーンズじゃねえ」と思っていたわけですが、ライヴを見てつくづく感じたのは、ギターかシンセかというのは表層的な問題にすぎなくて、このバンドがさらにその内側に持っていた「核」の存在でした。それは何かというと、前述のとおり、あらゆる曲を観客に大声で歌わせてしまうこと。すなわち、ものすごい強度を誇るメロディこそがThe Vaccinesの核だったのです。変な言い方ですが、初めてこのバンドの聴き方が分かったような思いがしました。

 最近の作品に対して距離を感じていたけど、ライヴを見たらそれがただの勘違いだったことに気づかされる。このパターンは、今年1月にペインズでも体験したことです。やっぱり「ライヴに行く」ということは大事ですね。

 以前も紹介した彼らの1stアルバム『What Did You Expected from The Vaccines?』を手に入れたとき、僕は1か月くらいにわたって、このアルバムしか聴きませんでした。今回の来日公演が終わったその日の夜、Spotifyにセットリストを再現したプレイリストが公開されたのですが、今度はこのリストを何度も繰り返し聴いています。The Vaccinesというバンドの持つ中毒性を改めて味わっているところです。








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