週刊「歴史とロック」

歴史と音楽、たまに本やランニングのことなど。

【ロック】その他

ついに「ストリーミング配信」に手を出した

spotify

いつでもどこでも聴ける
豪華な「試聴機」


タイトルの通りなのですが、昨年末、
ついにストリーミング配信サービスに手を出しました
「ついに」と書いたのは、僕はこれまでストリーミング配信に否定的だったから。
音楽を聴くことが端末の電波状況に左右されるなんてありえないし、
何より、ジャケットやインナースリーヴまでを含めて音楽だと思っているので、
単なるパケットを「音楽」と呼ぶことにはものすごく抵抗感があったのです。

それなのになぜ手を出したのかというと、
基本的には以前書いた電子書籍に手を出した理由と同じ。
子供が生まれたことで自宅のスペース確保が最重要課題になり、
今の時点で既に壁一面を占領しているCD棚を、これ以上膨張させるわけにはいかなくなったのです。
特に2016年はやたらとCDを買ってしまったので、
このままいくと17年にはパンクすることが目に見えていました。

また、生活のなかで音楽を聴くシーンというものが、
ここ数年でほとんどスマホ経由になったことも挙げられます。
CDを買ってもすぐにiTunesに取り込んで、実際に聴くのはスマホからがほとんど。
中には買ってから一度もプレイヤーにセットしていないCDもあります。
そろそろ音楽(音源)との付き合い方を見直さなきゃいけないなあと、
実は以前から考えてはいたのです。

そんな中で、世界最大のストリーミング配信サービス、
「Spotify」が日本に上陸しました。
昨年11月にローンチされた直後に登録して数日間、無料会員で様子を見ていたのですが、
今ではしっかり有料のプレミアム会員です

僕が重視した点は3つ。

その1:登録曲数

Apple MusicやLINE MUSIC、Google Prime Musicなどが数百万曲止まりであるのに対して、
Spotifyは4000万曲
桁が違います。

Hazel EnglishHannah Lou Clarkといった、まだマイナーなアーティストから、
Howlin’ Wolfなんていう古典級の大物まで、探せば基本的に見つかるのはほんとすごい。

現時点では登録曲の大半は洋楽で、
邦楽の品揃えは弱い(例えば大滝詠一なんていう超メジャーアーティストがない)のですが、
僕は元々洋楽比重が高かったので、まあ問題ないだろうと判断しました。


その2:インターフェース

他のサービスと実際に使いながら比較したわけではないので、
あまり結論めいたことはいえないんだけど、とりあえずこの点も問題なし。
UIもシンプルだし、黒基調のデザインも新鮮です。

CDから取り込んだライブラリを再生するアプリ(iPhoneユーザーの僕の場合は「ミュージック」)と
Spotifyで気に入った曲とを連携(例えば「ミュージック」のプレイリストに追加するなど)することは、
当然ながらできません。
これは確かに不便ではあるのですが、
実はApple Musicもこの点については同様らしいので(その設計は致命的なミスなんじゃないか?)、
だったらデザインもUIもこの数年でどんどん悪化している「ミュージック(Apple Music)」より、
曲数もUIも優れたSpotifyの方に軍配が上がります


その3:アーティストへの還元

最後のポイントがこれ。
ユーザーとしておいしい思いはしたいけど、
アーティストがちっともおいしくない仕組みなのであれば、
それに加担するのは嫌だなあと思ってました。

そこで、自分なりに調べてみました。
(参考記事)
音楽ストリーミング「Spotify」はどうやって音楽業界に貢献しているのか?
定額制配信でアーティストは稼げるのか?

正直、完全に理解できたわけではないんだけど、
SpotifyはレーベルとSpotify本体の両方から、
(それぞれの契約に基づいて)再生回数に応じて使用料が支払われること。
アーティストに入る収入を再生回数で比較すると、
記事によればSpotifyの場合は0.15円、
CDの場合(サンプルではあるけど)0.28円で約半分になるけど、
気に入ったアルバムなら2回3回と聴くはずで、
そうすればCD以上にアーティストに還元することも可能です(で合ってるよね?)。

一度固定の金額だけ支払えば終わりのCDとは違い、
定額制配信は、ある意味では「好き」という気持ちが続く限りアーティストに還元できる
そう考えれば、悪くないのなあと(今時点では)思ってます。

※あと、直接は関係ないけどこの本↓↓も読みました
 ここに書いてある流れの先に今自分も乗っているんだなあ

 


…以上が僕がSpotifyを選んだ理由なのですが、
じゃあこれで満足か?もうCDから完全に乗り換えるか?というと、
それは無理

一つは音質。
僕はそんなに音質にこだわらない方だけど、
そんな僕でもSpotifyの音質には微妙な違和感があります。
試しに同じ曲をCDとそれをiTunesで取り込んだデータとSpotifyの最高音質とで聴き比べたんだけど、
Spotifyは広がりが弱いというか、ゴロゴロしたのが詰まったようなというか、
なんかこうスカッとした感じがCDに比べて弱い印象を受けました。

そして何より、なぜそもそもCDを買うのかといえば、
単に聴きたいからというだけでなく、
「モノとして手元に置きたい」「所有したい」という欲求があるからです。
ストリーミング配信ではその欲求は永遠に満たされることはありません。
なので今後は、Spotifyで探してフィジカルで購入するという流れになるのかなと思います。
実際、Spotifyで初めて聴いたNew Order『Music Complete』と
PJ Harvey『The Hope Six Demolition Project』の16年に出た2枚のアルバムは、
既にオンラインショップでCD版をカートに入れました。
そう考えるとSpotifyは
「いつでもどこでも聴ける豪華な試聴機」というような位置づけかもしれません。

ただ、これからは本当にフィジカルで持ちたいものは、
CDではなくアナログで買うことが増えるそうな気がします。
「スマホで聴く時のための取り込みデータ用」という理由が弱まれば、
これまでのようにCDにこだわる必要はなくなります。
単純に「聴く」という点だけで比較すれば、CDはアナログに敵いません。

いずれにせよ、フィジカルもデータもCDありきだったのが、
これからはまずSpotifyがあり、その後にCDもしくはアナログという流れになるんじゃないかと。
2017年は僕にとって(実質的な)「ストリーミング元年」になりそうです。





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『A Christmas Gift For You From Phil Spector』

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ウォール・オブ・サウンドは
クリスマスソングでこそ輝く


クリスマスアルバムが好きで毎年ちょくちょく買い足しているのですが、
(過去最大のヒットが「ザ・ビートマス(ビートルズ×クリスマス)」)
今年また新たなアイテムが増えました。

フィレスレコードが1963年にリリースしたコンピ、
『A Christmas Gift For You From Phil Spector』です。
フィレスレコードというのは、
1961年に音楽プロデューサーのフィル・スペクターが設立したレーベル。
当時フィレスレコードに所属していた、
クリスタルズダーレン・ラブボブ・B・ソックス・アンド・ザ・ブルージーンズ
そしてロネッツという人気アーティストたちが、
このアルバムでは一堂に会しています。

ロネッツは当時<Be My Baby>をリリースしたばかり。
それまでの看板アーティストだったクリスタルズと、
ちょうどこの後から人気をバトンタッチするので、
このアルバムはフィレスの絶頂期に作られたといえます。

僕としては、バックボーカル稼業の多い、
どちらかというと日陰の存在的イメージの強かったダーレン・ラブが、
一曲目の<White Christmas>で貫禄たっぷりな歌声を聴かせ、
レーベルの重鎮的存在感を放っているのが意外でした。

ですが、このアルバムの一番の聴きどころは、
参加してるアーティストのメンツよりも、
<Frosty The Snowman>や<Winter Wonderland>といった定番のクリスマスソングが、
「ウォール・オブ・サウンド」でアレンジされているという、音そのものでしょう。

クリスタルズの<Santa Claus Is Coming To Town>なんて、
原曲以上にこのバージョンのメロディの方がすっかり定番化してしまいました。
ロネッツの歌う<Sleigh Ride>の、
「Ring Ring…」という印象的なコーラスが、
どんどん転調していくあの展開とか、ホント最高。
ウォール・オブ・サウンドってこってりしてるからたまにお腹いっぱいになるけど、
クリスマスソングと組み合わせたらこの上ない食べ合わせで、
鬼に金棒、餃子にビール感がすごいです。




フィル・スペクターはこのアルバムを、単なるクリスマスソングの寄せ集めではなく、
一枚のトータルアルバムに仕上げたかった
という意味のことを語っています。

多くのクリスマスコンピアルバムが、ある種ベストアルバム的な無色無害さを持つ中で、
確かにこのアルバムには、強い「自己主張」があります。
印象的な効果音の多用や、<White Christmas>のリズムを強調した逆張り的アレンジ、
さらにラストの<Silent Night>では彼自身の「喋り」が入るなど、
当時まだ20代だったフィル・スペクターの強い自負心や、
才気走った様子を濃厚に感じます。

フィル・スペクターという人は、
ビートルズ好きな僕にとっては非常に複雑な、
というかハッキリ言えば嫌いな人物なのですが、
ラモーンズの『End Of The Century』という例もあった)
ブライアン・ウィルソン大滝詠一なども僕は好きで、
彼らの音楽を聴きこもうとすると、フィル・スペクターという名は避けては通れません。

特にここ最近、僕はバブルガムポップというジャンルをよく聴いているのですが、
その源流をたどろうとすると、
古いアメリカンポップスという水源に行き着き(まださらに先はありそうですが)、
そしてその水源池にはフィル・スペクターという大魚が待ち構えているのです。
というような経緯もあり、
徐々に彼に対する気持ちが変わってきていたところでした。

そこへきての、この『A Christmas Gift For You〜』だったので、
クリスマスアルバムのコレクションの新入りというだけでなく、
出会うべくして出会った1枚というような気がしてます。










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僕はこんな音楽を「選んで」きた 2015年編

久しぶりの更新です。
10月の頭に劇団の公演が終わってから約2か月、ひたすら休んでました。
久々にPCを立ち上げたら溜まっていたWindows Updateが一斉に始まって、
3時間待機したあとでようやく今このブログを書いています。

…ということで、今更過ぎるのですが、
theatre project BRIDGE vol.14『ザ・ロング・アンド・ワインディング・労働』にご来場くださった皆さま、
本当にありがとうございました。

今回は3年ぶりの公演でした。
2012年に行った前回公演『スターマイン』で「次は3年後にやります」と宣言したときは、
ずい分先の話だなあと思っていたのに、気づけばあっという間でした。

とはいえ、以前と比べるとはるかに時間や体力はねん出しづらくなってきたし、
技術や感性は著しく鈍ってしまったし(元々低いんだけど)、
3年というブランクの重みを稽古のたびに痛感しました。
劇中の台詞じゃないですが、
次回に向けての課題がこれまでで最も多く浮き彫りになった公演でした。

うかうかしてると、またあっという間に次の準備期間が始まってしまいそうですが、
とりあえずしばらくの間は電源をOFF。
普通のサラリーマンに戻ります。

さて、前回の記事(といっても2か月も前ですが)まで3回にわたり、
劇団の過去公演で使用した劇中曲のリストを紹介してきました。
#第1回はコチラ
#第2回はコチラ
#第3回はコチラ

せっかくなので『ザ・ロング・アンド・ワインディング・労働』の曲目リストも公開してみようと思います。

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vol.14 『ザ・ロング・アンド・ワインディング・労働』(2015年10月)

#1 出直しブルース(憂歌団)
#2 Diane Young(Vampire Weekend)
#3 それはぼくぢゃないよ(大滝泳一)
#4 Satisfaction(DEVO)
#5 Talking Backward(Real Estate)
#6 Cut Dead(The Jesus and Mary Chain)
#7 スパイラル(andymori)
#8 CIDER '73 '74 '75(大滝泳一)
#9 Feed Me Jack(Albert Hammond, Jr.)
#10 バンホーテン(Hi, how are you?)
#11 Good Dreams(The Roosters)
#12 Panic(The Smiths)
#13 Lightning Express(Billie Joe + Norah)
#14 Janie Jones(The Clash)
#15 魔法のことば(Lucky Old Sun)
#16 The Saddest Story Ever Told(Homecomings)
#17 FAKE L.A. part2(SISTER JET)
#18 Ghost World(Homecomings)

#1<出直しブルース>はオープニングとエンディングで使った、いわばこの芝居のテーマ曲。
そしてまたイチから出直し」という頭のフレーズが気分にバシッとハマりました。
1991年に公開された岡本喜八監督の傑作『大誘拐』と同じ幕開けという、
実に畏れ多い選曲です。


#2は序盤のニュース番組「おはよう日本」のシーン、
#3はその後の「タクラマカンX」のシーンで使った曲。
この2曲は#1から連続してかかるので、シートの相性よりも、
3曲の組み合わせと流れを重視して選んでいます。

大滝詠一は今回の芝居で数少ない、複数曲を使用したアーティストです。(#3、#8
#3はソロ第1作の『大滝詠一』から、
#8はナイアガラレーベル第1弾の『NIAGARA MOON』から選びました。

余談ですが、アルバム『大滝詠一』に収録されている<恋の汽車ぽっぽ>は、
第5回公演『500万年ララバイ』(2003年)で候補に挙げながらも結局使えなかった曲です。
(使おうとしていたのはシングル版の方)
大滝詠一は当時からどこかで使いたいと思っていたのですが、
10年以上経ってようやく実現しました。

Vampire Weekendは2公演ぶり、2回目の選曲ですが、
あまりに好きすぎるので、なんかもうずっと使っているような気がします。


#4、#7、#10の3曲は今回の公演ならではの選曲です。
今回は5分にも満たないショートストーリーを30本近くつなげるという
テンポの早いオムニバス形式だったので、
お客さんが途中で疲れないために、シーンとシーンのつなぎ目に1分ほどの間、
照明を暗くしてただ音楽だけが流れる「休憩シーン」をもうけました。
休憩シーンは計3か所あり、そこで流したのがこの3曲だったのです。

ただ、「何もないシーンの選曲」なんてやったことないので、
実はめちゃくちゃ選ぶのが難しかったです。
だって、どんな曲を流したっていいんだもの。


#5は好評をいただいた「逆向き列車」のシーンの冒頭で流した曲。
アメリカのインディーロックの良心(だと僕は信じてる)、
Real Estateの最新アルバムから使わせてもらいました。


#6は大名盤『Psycho Candy』から。
「松岡修造が降ってくる」という設定の天気予報の場面で薄く流れてたのがこの曲です。
実はこの芝居のオープニングとして当初用意していたのは、
何を隠そう<Just Like Honey>でした(やはり畏れ多い)。
そういえば『Psycho Candy』の完全再現ライヴって中止になっちゃったんですよね。


#11、#12は「フンドシ男」のシーンとその後の反省会のシーンで連続して流れます。
この2曲、当初は違う曲を予定していました。
本当は#11ではKinks<Death Of A Clown>を、
#12andymori<Everything Is My Guitar>をかけたかったんですが、
曲の尺の関係で断念せざるをえませんでした。
断念した結果、ルースターズからスミスという節操のない流れになっています。
尺という絶対的物理的制約でかけたい曲がかけられないことがままあるのが、
芝居の選曲の切ないところです。


#15は現役大学生の男女デュオ、Lucky Old Sunの曲。
彼女たちは今年の夏に初のフルアルバムを出してくれたので、
早速そこから使いました。


この曲をオープニングにして始まる「ラブの宅急便」は、
女の子が主役の、しかも今回の芝居唯一のストーリーのある長いシーンだったので、
ナナの素朴なボーカルがとてもよくマッチしました。

Homecomingsを使ったのを同じ理由。
ホムカミは大滝詠一と共に今回2曲を使用しています。

そして、個人的には今回の芝居の陰のテーマ曲だと思っているのが#17
劇中でも流しましたが、実は開場BGMのラスト、
つまり客席の照明が落ちて真っ暗になっていよいよ本編が始まる…
というタイミングでも同じ曲をかけています(気付いた人はいるでしょうか?)。

※この曲の出だし「福生行きの切符を買って」は大滝詠一オマージュですね。

実は今回の開場中のBGMは全て、
#17を演奏しているSISTER JETの曲で統一しています。

元々は開場中はLa SeraThe Aquadollsといった、
海外インディーの女性ボーカルものでいこうと考えていたのですが、
本番1か月前を切ってから「やばい。芝居に合わない。」と気づき、
慌ててiPhoneをシャッフルしまくって見つけたのが、SISTER JETでした。

ワタルSの、人を小馬鹿にしたような甘ったるいボーカルと粘着質なギター、
そして何より、よくよく聴くとブルースの匂いが漂っているところが、
今回の作品への「助走」としては理想的でした。
だから、その象徴でもある#17は、僕の中では陰のテーマ曲と呼ぶべき1曲なのです。

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こうしてみると、半分以上のアーティストを既にこのブログで取り上げていますね。
「その時聴いている曲から選ぶ」というここ最近の選曲スタイルを、今回も踏襲した形です。
よかったら各アーティストについて個別に紹介した記事も読んでみてください。

Vampire Weekend 『Modern Vampires of the City』
andymori 『ファンファーレと熱狂』
「京都のバンド」がやたらと素敵な件(Hi, how are you?)
The Roosters 『eating house』
The Smiths 『The World Won’t Listen』
Billie Joe + Norah 『Foreverly』
Lucky Old Sun 『I'm So Sorry Mom』
Homecomings 『Somehow, Somewhere』





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僕はこんな音楽を「選んで」きた 第3回

僕が所属する劇団theatre project BRIDGEの3年ぶりとなる公演、
『ザ・ロング・アンド・ワインディング・労働』の本番まで、ついに2週間を切りました。
詳細はコチラ ※PDFが開きます

先々週から、僕が劇団の旗揚げ以来担当している劇中使用曲の「選曲」について、
全公演の曲目リストとともに振り返っています。
#第1回はコチラ
#第2回はコチラ

最終回となる今回は、
2008年に上演した第10回公演『アイラビュー』からです。


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vol.10 『アイラビュー』(2008年11月)

#1 熱帯夜(Rip Slyme)
#2 PINZORO(東京スカパラダイスオーケストラ)
#3 The Power Of Love(Huey Lewis & The News)
#4 Hot Chocolate(Rip Slyme)
#5 ふがいないや(YUKI)
#6 Beautiful(SOPHIA)
#7 キラーチューン(東京事変)
#8 今日の歌(369)
#9 Dandelion(Rip Slyme)
#10 チョコレイト・ディスコ(Perfume)
#11 唐人物語(サザンオールスターズ)
#12 ハズムリズム(PUFFY)
#13 Present(Rip Slyme)
#14 愛して愛して愛しちゃったのよ(サザンオールスターズ)
#15 忘れじのレイドバッグ(サザンオールスターズ)
#16 ラヴぃ(Rip Slyme)

この公演から「この作品にはこのアーティスト」といった感じで、
芝居のキーとなる音楽を曲単位ではなくアーティスト単位で選ぶようになりました。
全体の統一感を図るというのが大きな理由なのですが、
それが可能だったのも、この作品が(タイトルからもわかる通り)ラブストーリーという、
非常に明快なテーマを持っていたからでした。

この公演で選んだアーティストは、RIP SLYMEでした。
#1、#4、#9、#13、#16と、なんと5曲も使っています。
幕末の女郎屋が舞台だったのですが、
そこに現代的な音楽であるヒップホップを載せるという組み合わせも面白かったし、
彼らの、ポップで享楽的でちょっとエッチなところが物語にハマりました。


その他にも、YUKI#5)や東京事変#7)、さらにperfume#10)などを流し、
過去の芝居と比べると一気にポップさが増しました。
ちょうど前作『クワイエットライフ』から物語をコメディ路線へと舵を切ったことで、
選曲もその影響を受けた形です。
全ての曲が日本語詞というのも、この芝居が初めてでした。


客入れの最後(物語が始まる直前)の音楽は、エディット・ピアフ<愛の賛歌>でした。
そして、情熱的な<愛の賛歌>が終わるのに合わせてゆっくりと明かりが落ちていくと、
客席頭上のミラーボールが回り始め、間髪を空けずにRIP SLYMEの<熱帯夜>#1)がかかり、
女郎たちがワラワラと出てくる、という幕開けでした。
自分で言うのもナンですが、なかなかいい演出だったと思います。




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vol.11 『七人のロッカー』(2009年11月)

#1 借金大王(ウルフルズ)
#2 歌舞伎町の女王(椎名林檎)
#3 listen to the libertines(noodles)
#4 僕の時間機械(ザ・コレクターズ)
#5 残酷な天使のテーゼ(高橋洋子)
#6 雨あがりの夜空に(RCサクセション)
#7 紅(X)
#8 Silent Jelousy(X)
#9 Saturday Night(Bay City Rollers)
#10 エヴリデイ・エヴリナイ(フィッシュマンズ)
#11 Rock And Roll Music(The Beatles)
#12 クラッカー(Ogre You Asshole)
#13 Endless Rain(X)
#14 sleep, sleep, sleep(the telephones)
#15 Lightning Runaway(the pillows & Ben Kweller)
#16 Little Wing(Jimi Hendrix)
#17 ずっと前(フィッシュマンズ)
#18 Piggies(The Beatles)
#19 I Will(The Beatles)
#20 トランジスタ・ラジオ(RCサクセション)
#21 Rusty Nail(X JAPAN)
#22 Dahlia(X JAPAN)
#23 Blackbird(The Beatles)
#24 All Together Now(The Beatles)

#25 You're Going To Lose That Girl(The Beatles)
#26 Act Naturally(The Beatles)
#27 Baby's In Black(The Beatles)
#28 Thank You Girl(The Beatles)
#29 Do You Want To Know A Secret(The Beatles)
#30 Baby It's You(The Beatles)
#31 I'll Get You(The Beatles)
#32 Rain(The Beatles)
#33 I Need You(The Beatles)
#34 Here, There And Everywhere(The Beatles)

旗揚げ以来、音楽というものはずっと僕にとって芝居の重要なファクターでした。
しかし、ついにこの公演では音楽そのものが芝居のテーマになります。
タイトルからも分かる通り、初めて「ロック」を正面切って取り上げることになったのです。

選曲も当然、ロックが中心です。
そして、前作『アイラビュー』におけるRIP SLYMEのような、
芝居のキーとなるアーティストとして選んだのが、ビートルズでした。
実はちょうどこの年、ビートルズのリマスター盤が発売されて、
僕の中でビートルズ熱が猛烈に再燃したんですね。
#過去記事:THE BEATLES 『THE BEATLES IN MONO』

物語上の空間に実際にビートルズが流れているという設定で、
舞台上にラジカセを置いてそこから流したり、
また、役者が舞台上で楽器を演奏するシーンがあったので、
そこでも<Rock And Roll Music>を演奏したりしました。


さらには、開場中の音楽は『Abbey Road』を(ほぼ)フルで流し、
<The End>が終わるのに合わせて明かりが落ちてそのまま物語が始まるなど、
前作のRIP SLYME以上に、この芝居ではビートルズがキーになりました。

とはいえ、全体の選曲としては、前作の『アイラビュー』に続いて、
基本的に日本のアーティストに絞っています。
Ogre You Asshole#12)はちょうど公演の直前にメジャー1枚目を出したばかり。
2015年いっぱいで活動を休止することを発表したthe telephones#14)は、
当時まだインディーズだったんじゃなかったかな?


また、ロックをテーマにした芝居ということで、
この作品の準備期間中に、古今東西のロックを大量に聴きまくりました。
多分、人生で一番ロックを聴いたと思います。
芝居作りのためではあったものの、結果としてはこのときの経験によって、
僕の中で「ロックの体系化」が『眠りの森の、ケモノ』のときからさらに進められ、
それが現在でも、ロックを聴く上での基礎になっています。




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vol.12 『バースデー』(2010年11月)

#1 Oxford Comma(Vampire Weekend)
#2 Galaxy Halo(noodles)
#3 反応ゼロ(The ピーズ)
#4 故郷の海よ(ザ・50回転ズ)
#5 愛まで20マイル(ザ・コレクターズ)
#6 SANGANICHI(トクマルシューゴ)
#7 Anarchy In The U.K.(Sex Pistols)
#8 トークバック(ザ・コレクターズ)
#9 底なし(The ピーズ)
#10 心に花を咲かせましょう(つじあやの)
#11 雨天決行(東京事変)
#12 チキンハートをけとばして(つじあやの)
#13 スキップ(スネオヘアー)
#14 とび魚のバタフライ(チャットモンチー)
#15 くちびるモーション(PUFFY)
#16 月が泣いてる(つじあやの)
#17 涙風にたくして(つじあやの)
#18 White sky(Vampire Weekend)
#19 Taxi Cab(Vampire Weekend)
#20 Cape Cod Kwassa Kwassa(Vampire Weekend)
#21 In a Silent Way(Nine Miles)
#22 Changes(Nine Miles)
#23 Birthday(山中さわお)
#24 鉄カブト(ザ・クロマニヨンズ)
#25 White Riot(The Clash)
#26 Blitzkreig Bop(The Ramones)
#27 恋の季節(ピンキーとキラーズ)
#28 ヒーロー(麻倉未稀)
#29 スピードとナイフ(ザ・クロマニヨンズ)
#30 Primer Beat(the pillows)

劇団の結成10周年記念公演です。
1人の少年の旅を軸に、全体が4つの短編に分かれるという構成だったので、
音楽も短編ごとにキーアーティストを変えて臨みました。

具体的には、1編目がTheピーズ#3、9)、2編目がつじあやの#10、12、16、17)、
3編目がVampire Weekend#18、19、20)、
そして最後の4編目がザ・クロマニヨンズ#24、29)でした。
リストを見ると、この4組のアーティスト以外の曲もたくさん含まれているのですが、
僕の意識の中ではこの4組がその短編の「軸」でした。
中でも、2編目のつじあやのから3編目のVampire Weekendという流れは、
意表を突いた展開で、気に入った選曲です。


実はこの少し前、おそらく『アイラビュー』の頃から徐々にだと思うのですが、
芝居にセレクトする音楽と僕個人がリアルタイムで聴いている音楽とが、
ほとんど重なるくらいに近づき始めました。
『クワイエットライフ』あたりまでは、芝居の選曲のためにライブラリを棚卸して、
極端に言えば過去に聴いた全ての曲を総ざらいするようなやり方だったのが、
この頃になると、僕個人がそのとき聴いてる音楽から選ぶようになったのです。

『アイラビュー』でRIP SLYMEやPerfumeを選んだのも、
『七人のロッカー』でコレクターズやOgre You Assholeを選んだのも、
当時の僕が彼らをどっぷりと聴いていたことが背景にあります。
そしてこの『バースデー』でいえば、おそらく8割くらいの楽曲が、
当時の僕が日常的にヘビーローテーションしていたものです。
つまりほとんどの曲を「その場」で選んでしまっているわけです。

選曲そのものに対する慣れが(今さら)生まれてきたということもありますが、
根本的な理由としては、10年活動してきたことで、
「芝居を作る自分」というものが非日常ではなくなり、
普段の生活の中に溶け込んでしまったからだと思います。
その結果として、聴いている音楽と物語との間に、
あまりギャップが生まれなくなったのではないかという気がします。

まあ、だいぶかっこよく言ってしまっていますが、
逆に「その時聴いている音楽に作品が左右される」とも言えるわけで、
これはこれでコントロールが難しいところはあります。

この芝居で使った曲数は30曲。
数の上では前作『七人のロッカー』の34曲が最多ですが、
『七人〜』はかなりの曲を舞台上のラジカセで流すBGMとして使っていたので、
劇場のスピーカーから流す、演出としての「劇中曲」としては、この『バースデー』が最多です。
旗揚げ公演の劇中使用曲はわずか8曲であったことを考えるとしみじみします。




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vol.13 『スターマイン』(2012年10月)

#1 バームクーヘン(ザ・ハイロウズ)
#2 未来は僕等の手の中(ザ・ブルーハーツ)
#3 少年の詩(ザ・ブルーハーツ)
#4 パーティー(ザ・ブルーハーツ)
#5 ツイスト(ザ・ハイロウズ)
#6 夢をあきらめないで(岡村孝子)
#7 風船爆弾(ザ・ブルーハーツ)
#8 夏の地図(ザ・ハイロウズ)
#9 オレメカ(ザ・ハイロウズ)
#10 Decisive Battle(鷺巣詩郎)
#11 Log Off(川井憲次)
#12 迷路(ザ・ハイロウズ)

現時点での最新の公演です。
10周年記念公演という区切りを迎えた後、1年間のお休みを空けて、
2012年に上演しました。

この芝居のキーアーティストとして選んだのが、
ブルーハーツ、ハイロウズ、そしてクロマニヨンズ。
つまり、甲本ヒロトと真島昌利の2人です。

『リボルバー』、『クワイエットライフ』でのブルーハーツや、
前作『バースデー』でのクロマニヨンズなど、
これまでもなにかと選曲ではこの2人に頼ってきたのですが、
ここにきてついに全曲ヒロト&マーシーという芝居を作りました。

『スターマイン』では、仲でもハイロウズの比重を大きくしました。
3組の中でも特にカラフルでポップで、ヒロトのキーも一番高いハイロウズが、
芝居に最もフィットするように感じました。
特に中盤のダンス曲だった<ツイスト>#5)や、
クライマックスで流した<夏の地図>#8)などは、
気持ちいいくらいに物語にハマった選曲でした。


余談ですが、この『スターマイン』のように、
(ほぼ)全ての劇中曲を1組のアーティストに揃える「全曲○○」という選曲は、
実はこれからも機会があればやってみたい目標の一つです。
そのためには、音源化された楽曲が豊富にあり、
しかもある程度曲がバラエティに富んでいて、
なおかつ僕自身がそのアーティストのことを大好きでなければならないという、
いくつかの条件はあるものの、
1組に絞ることにより、音楽が「背骨」のように芝居を支えることができるので、
「そういうアーティストはいないかな」と虎視眈々と狙っているところです。



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これで全公演分終了です。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
過去15年間で自分が選んできた曲を、しかも時系列に沿って振り返るというのは、
とても面白い体験でした。

かつては音楽を「聴くこと」と「選ぶこと」の間には、明確な隔たりがありました。
前者は日常であり、後者は非日常でした。
しかし、『バースデー』の項でも書いたように、
今では「選ぶこと」の非日常性は薄れ、両者の距離は限りなく近くなってきています。
2週間後に上演する最新作『ザ・ロング・アンド・ワインディング・労働』も、
やはり僕がこの1年ほどの間に聴きこんだ曲が多く選ばれています。

芝居の選曲にはその時々の僕の好みが反映され、
そして逆に、芝居の選曲が普段聴く音楽にもフィードバックされる。
今回、全リストを振り返ったことで、
僕の音楽遍歴そのものが「選曲」に大きな影響を受けていることを改めて実感しました。

まあ、その分選曲のコンセプトが安定しないとか、作品の印象がコロコロ変わるとか、
芝居側からするともしかしたら難点があるのかもしれませんが、
少なくとも1人の音楽リスナーとして考えると、
「芝居の選曲」という特殊なインプット先を持っていることは、
間違いなく財産であり、そしてちょっと誇らしいなあと思います。

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L&W

theatre project BRIDGE vol.14
『ザ・ロング・アンド・ワインディング・労働』
シアターグリーン BOX in BOX THEATER
※重要なお知らせ※
10/11(日)19:00の公演は、都合により中止させていただきます。
その他の公演は予定通り行いますので、みなさまのご来場を心よりお待ちしております。

10/10(土)14:00 / 19:00
10/11(日)14:00 / 19:00
中止
10/12(月祝)14:00
※開場は開演の30分前です
http://www.t-p-b.com/




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僕はこんな音楽を「選んで」きた 第2回

僕が所属する劇団theatre project BRIDGEの3年ぶりとなる公演、
『ザ・ロング・アンド・ワインディング・労働』の本番まで、残り3週間。

詳細はコチラ ※PDFが開きます

前回から、僕が劇団の旗揚げ以来担当している劇中使用曲の「選曲」について、
全公演の曲目リストとともに振り返っています。
#第1回はコチラ

2回目となる今回は、
2003年に上演した第5回公演『500万年ララバイ』からです。

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vol.5 『500万年ララバイ』(2003年8月)

#1 Fly Me To The Moon(Frank Sinatra)
#2 NAI NAI 16(シブがき隊)
#3 Physical(Olivia Newton-John)
#4 Yawn(Air)
#5 Hold On(Kansas)
#6 April Come She Will(Simon & Garfunkel)
#7 Good Morning Good News(the pillows)

前作の第4回公演『PATRICIA』で、
シーンの雰囲気や登場人物の気持ちに合わせた音楽ではなく、
芝居とぶつかり「ズレ」を生むような音楽を選ぶという、
新たな選曲の方法を知ったと書きました。
この第5回公演は、それを実践した2度目の公演です。

印象に残っているのは#3オリビア・ニュートン・ジョン
人間に進化する前のサルの少年たちが「天正遣欧少年使節」を結成し、
長い船旅の果てにたどりついたローマの街で、
地元の人たちと盆踊りを踊るという場面で流しました。
(毎回突っ込みますけど、一体どんな芝居だよ!)
振付は日本の盆踊りなのに曲は<Physical>という組み合わせは、
かなりカオスな空気を醸し出していて、我ながらけっこういい選曲だったと思います。


懐かしいなあと思うのはAirでしょうか。(#4
Airは高校の時によく聴いてました。
<Yawn>は今聴いても鳥肌が立ちます。


あと、リスト見てて意外、というか謎だったのがKansas。(#5
なぜKansas?!
これまでの人生で彼らにハマった記憶はないのですが、なぜ使ったのだろう??
試しにこの<Hold On>という曲を聴いてみたら、確かに流した覚えはある。
(てゆうかちゃんとCDも持ってる)
でも、そもそもどこから選択肢に上がってきたのか、今となってはまるで分かりません…。



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vol.6 『眠りの森の、ケモノ』(2003年12月)

#1 20th Century Boy(T.REX)
#2 A Visiting Card(Wim Mertens)
#3 Red Turtle(Uma Uma)
#4 All Along The Watchtower(Bob Dylan)
#5 結婚しようよ(吉田拓郎)
#6 Raindrops Keep Falling On My Head(B.J. Thomas)
#7 The Fool On The Hill(The Beatles)
#8 It’s Only Rock N’ Roll(The Rolling Stones)
#9 The Weight(The Band)
#10 Across The Universe(The Beatles)

学生劇団としての実質的な最後の公演です。
自由に時間が使えるのも最後だから、いっちょ派手なことをやろうということで、
初めて時代劇に挑戦しました。
室町末期の荒れ果てた村を舞台に、村人と森にすむ半獣半人のケモノとの交流を描いた、
ダークファンタジーでした。
(おお、こう書くとなかなか面白そうな響きだ)

リストを見てもらえるとわかるように、
ビートルズ#7、10)やストーンズ#8)、ディラン#4)といった、
60〜70年代の洋楽ロックを意識的に使いました。
時代劇に洋楽ロック」という組み合わせの意外さを狙ったものだったのですが、
想像していた以上にバシッとハマった記憶があります。
特に#9The Band<The Weight>はクライマックスの立ち回りで流したのですが、
凄惨なシーンなのに物悲しくて、とても印象に残っています。


この作品のために集中的にロックを聴いたことで、
結果的に僕の頭の中では「ロックの体系化」が行われました。
(それまではビートルズもオアシスも、イギリスもアメリカも一緒くたに聴いてたのです)
僕個人の音楽遍歴としても、このときの体験は大きな財産になりました。

メインテーマは#1<20th Century Boy>
これはオープニングとラストで、物語をサンドイッチする形で使いました。
今でも鮮明に覚えているのですが、
車を運転してる時にたまたまこの曲が流れてきて「これだ!」と即決しました。

この頃になると、稽古場でCDを何枚も聴きながら曲を選ぶというやり方ではなく、
車の中や街中でたまたま耳にした音楽をそのまま使っちゃうという、
「偶然性」によって選曲するというやり方に移行していました。
それは、「選ぼう」というある種の作為の基で聴く曲よりも、
稽古や台本から離れた場所で偶然出会った曲の方が、
(かっこよく言えば)自分の想像を超えた選曲ができると考えたからなのですが、
車というのはそのための環境として最適だったのです。

で、何が言いたいかというと、今そういうことをやろうとしたら、
iPodやiPhoneでシャッフル再生すれば済むのですが、
当時(と言ってもわずか10年ちょっと前)は携帯音楽プレーヤーなんてなかったんですよね。
なので、当時はわざわざ「選曲のためのドライブ」なんてことをやってました。

何十枚もCDを持ち運ぶ必要もなくなり、
今では選曲作業もiPhone一つあれば事足りるようになりました。
芝居そのものは今も昔もアナログなメディアですが、
周囲の環境はやっぱり変わったなあと思わざるをえません。




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vol.7 『リボルバー』(2006年1月)

#1 ばらの花(くるり)
#2 RUNNERS HIGH(the pillows)
#3 放課後の決闘(田中公平)
#4 初めての出撃(田中公平)
#5 悲哀(田中公平)
#6 Peace(George Winston)
#7 To Be(Montreux)
#8 チャンピオン(アリス)
#9 夕暮れ(ザ・ブルーハーツ)
#10 旅人(ザ・ブルーハーツ)
#11 My Foot(the pillows)

前作から約2年のブランクを空けて、
初めて「社会人劇団」を名乗った公演です。
劇場も、地元神奈川から東京へと場所を移しました。
メンバーもかなりの数が入れ替わり、
劇団にとって再スタート的な公演に位置づけられます。

選曲で思い出深いのはthe pillows<My Foot>です。(#11
第2回公演以来、劇中曲の中でも特に物語のキーとなる場面で流してきたthe pillowsですが、
この<My Foot>が実質的な最後になりました。
実際には以降も何度か使ってはいるのですが、
「テーマを背負った曲」として使ったのは、これがラストになります。
この曲が収録されたアルバム『MY FOOT』がリリースされたのは、本番のわずか1週間前でした。
多分、この曲を使った世界で最初の劇団だったはずです。


劇団の再スタートということもあり、実はかなり前から、
the pillowsに代わってテーマを担ってくれる新たなアーティストを探していました。
#1くるりは、そうしたトライアルの一環で出会ったバンドの一つです。
他にも、結局使わずじまいでしたが、スピッツの曲はかなり本気で検討した覚えがあります。


しかし、結局最終的に落ち着いたのは、ブルーハーツ#9、10)でした。
これは正直、選んだというよりも「頼った」という感じです。
ブルーハーツは流せば必ずハマるのが分かりきってる(それだけどの曲も素晴らしい)だけに、
使う方からすると、ちょっと卑怯な気がして、できれば避けたい存在でした。
なので、正直に言えばこの選曲はちょっと悔しい思い出があります。

ただ、このときブルーハーツを使ったことがきっかけで、
ハイロウズ、そしてクロマニヨンズ(当時はまだ結成されてませんでしたね)と、
それまでなんとなく聴いていたヒロト&マーシーの曲を真剣に聴くようになり、
2012年に行った最新の公演では、全曲彼らの曲に統一するなど、
結果としては劇団の歴史になくてはならない存在になりました。




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vol.8 『Lucky Bang Horror』(2006年12月)

#1 天井裏から愛をこめて(アンジー)
#2 Silent Betty(Uma Uma)
#3 水面に浮かぶ金魚鉢(DEPAPEPE)
#4 Mid Day Moon(Cosmic Village)
#5 Perfect Emotion(Cosmic Village)
#6 Earthrise(Cosmic Village)
#7 Shenandoah(Eric Tingstad, Nancy Rumbel)
#8 You & I(the brilliant green)
#9 Skeleton Liar(the pillows)
#10 A Carved Stone(坂本龍一)
#11 The End Of The World(Skeeter Davis)
#12 照れるような光(小谷美紗子)

初めて選曲にiPodを導入したのがこの公演でした。
当時最大容量の30GBモデルを買ったのですが、
やはり数千曲が片手に収まるというインパクトはすさまじいものがありました。

ただ、期待していた「偶然性の選曲」(上述)は、思ったほど効果が上がりませんでした。
やはり意図的に偶然性を狙っても、それはもはや必然なんですよね(って当たり前か)。

逆に利点になったのは、プレイリスト機能によって、
今は使わないけどいつか使いたい曲」を効率的にストックできるようになったこと。
当時すでにそうした「気になる曲」は100曲単位に膨れ上がっていたので、
それを整理して、なおかつどこでもすぐに再生できるというのは、
この後の公演での選曲に威力を発揮しました。

そんな「気になる曲リスト」から選んだのが、#1アンジーでした。
たしか、2003年の『眠りの森の、ケモノ』のときには既に脳内リストには入っていて、
いつか使いたいとストックしておいた曲でした。


この頃になると(結成して6年目)、音楽を聴くときは、
これを芝居で使ったらどうだろう」とか、
この曲から始まる芝居を作るとしたら、どんな物語になるだろう」なんてことを、
常に頭の片隅で考えるようになっていました。
音楽を聴くという行為が、僕の中では芝居と不可分なものになり、
iPodの登場でその結びつきがさらに強まりました。




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vol.9 『クワイエットライフ』(2007年11月)

#1 BAD(Michael Jackson)
#2 キスしてほしい(ザ・ブルーハーツ)
#3 夢(ザ・ブルーハーツ)
#4 学園のスカーレット(光宗信吉)
#5 サイレント(羽田健太郎)
#6 la peggi(石野卓球)
#7 CHAOS WEST(石野卓球)
#8 IN YER MEMORY(石野卓球)
#9 Ride On Shooting star(the pillows)
#10 Penny Lane(The Beatles)
#11 In My Life(The Beatles)
#12 As Time Goes By(Bill Evans)
#13 Darn That Dream(Bill Evans)
#14 ええねん(ウルフルズ)
#15 星降る夜に(東京スカパラダイスオーケストラ)

この芝居は、学生時代からの友人同士である男女4人を主人公に、
前半1時間が7年前の4人を、後半1時間が現在の4人を描くという
2部構成の形をとっていました。
演じる役者も過去と現在とを別々の役者が演じるという「2人1役」スタイル。
ですから選曲も、過去と現在とでテイストを変えて、
7年間の時間経過を表現したいと考えていました。

ここで再び登板してきたのがブルーハーツです。
使ったのは2曲だけ(#2、3)でしたが、
位置づけとしては前半の、青春時代の4人のテーマソングでした。
青春時代といえばブルーハーツという発想は、世代なんだろうなあと思います。
そして、芝居のラストの曲として、
同じ甲本ヒロトボーカルでも、スカパラとのコラボ曲である#15を流したのは、
青春時代からの時間の変化を狙ったものでした。

反対に後半の、大人になった現在の4人のシーンでは、
なるべく曲をかけない」という選択をしました。
#12、13Bill Evans(これまでの選曲からするとかなり唐突…)は、
後半シーンで使った曲ですが、
登場人物が実際にその場で流しているという設定で、
薄く流れているBGMとして使っただけ。
「曲をかけない」という選曲もあるんだなあと、しみじみ思った記憶があります。

芝居のテーマが「過去と現在」というようなものだったので、
稽古期間中は、家で聴く音楽も自然と過去のいろんなことを思い出させるような、
ちょっとセンチメンタルな曲にばかり手が伸びました。
そして、開演前の客席に流す音楽(僕らはそれを「客入れ」と呼んでいます)も、
そうした曲の中から選びました。

リストは残ってないので記憶頼りなのですが、
確かチャットモンチー<Make Up! Make Up! >と、
桑田佳祐<悲しい気持ち>は流した記憶があります。
どちらも僕自身の青春時代からは少しずれているのですが、
なんとなくこういった曲が僕の気分と、
そして『クワイエットライフ』という作品にフィットするような気がしていたのです。


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※次回は第10回公演『アイラビュー』から最新の第13回公演『スターマイン』までを取り上げます。

L&W

theatre project BRIDGE vol.14
『ザ・ロング・アンド・ワインディング・労働』
シアターグリーン BOX in BOX THEATER

10/10(土)14:00 / 19:00
10/11(日)14:00 / 19:00
10/12(月祝)14:00
※開場は開演の30分前です

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僕はこんな音楽を「選んで」きた 第1回

来月、僕が所属する劇団の3年ぶりとなる公演があります。

詳細はコチラ ※PDFが開きます

今回が14回目の公演になるのですが、
実は僕には第1回の旗揚げ以来ずっと担当している、ある「仕事」があります。

それが、選曲
芝居の本編で流れる音楽はもちろん、開場中や閉幕後の客席に流れる音楽も、
基本的にはずっと僕が一人で選んできました。
作・演出をやるようになったのは2回目の公演からなので、
僕が劇団で最も長く担当している仕事は、実はこの「選曲」だということになります。

そこで、これから計3回にわたり、これまでの公演で使用した選曲リストを公開しつつ、
自分がどういう音楽を選んできたのかを振り返ってみたいと思います。

過去の全ての劇中使用曲をリストアップするというのは、実はほぼ初めて
初期の頃はもう記録がどこかにいってしまったので、
記憶を手繰り寄せながらなんとかリストにしました。

芝居のために選んだ曲とはいえ、
当然ながら僕自身の音楽の好みの変遷を反映しています。
中には「こんなの聴いていたのか!」みたいな発見もあって、我ながら面白い作業でした。

というわけで第1回は、旗揚げ公演『八月のシャハラザード』から第4回公演『PATRICIA』までです。
※公演タイトルをクリックすると劇団HPに飛べます。

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vol.1 『八月のシャハラザード』(2000年12月)

#1 Affirmation(Savage Garden)
#2 Forgiven Not Forgotten(The Corrs)
#3 Ain't Talkin' 'Bout Love(Van Halen)
#4 Because It's There(Michael Hedges)
#5 Two Step(Dave Matthews Band)
#6 Through The Woods(Metamora)
#7 Toss The Feathers(The Corrs)
#8 Self Portrait(坂本龍一)

記念すべき旗揚げ公演。もちろん、選曲なんてことをするのも初めて。
たしか「CDをたくさん持っていそうだから」とかそんな理由で僕が選曲担当になったのですが、
オリジナル台本ではなかったということもあり、とりあえずシーンの雰囲気に合わせて、
「なんとなく悲しい曲」「なんとなく緊張感のある曲」といった具合に、
とりあえず「なんとなく」で音楽を選ぶことしかできませんでした。

ただ、唯一コンセプトらしきものとして、
曲は全て洋楽、もしくはインストに絞る」というのはありました。
台詞が日本語なんだから、そこに日本語詞の曲をかけたら台詞が聞き取れないだろうという理由でした。

しかし(早速ですが)懐かしい…。

#4#6Windham Hillというニューエイジ系のレーベルから出てる曲ですね。
この頃はWindham HillとかNaradaとか、ニューエイジ系の音楽をたくさん聴いてました。
そういえば、以前このブログで紹介したBill Douglasと出会ったのもこの頃。
タワレコ渋谷店の5Fに足しげく通って、片っ端から試聴してました。
もう何年もこのあたりのジャンルはご無沙汰になってます。
#1Savage Gardenなんかも懐かしい。ずい分前に解散しちゃいましたね。

芝居のオープニングで流した#2は、アイルランドのバンド、The Corrsの曲。
ただThe Corrsも、当時はロックとしてではなく、
ワールドミュージック(アイリッシュ)という文脈で聴いてました。

#8はラストシーンに流した曲。
坂本龍一も当時よく聴いてました。
高校の友人の影響で、YMOよりもソロ作品の方を聴くことが多かったです。
ラストシーンは確か、主人公が天国に向かって旅立つという場面だったと思うのですが、
センチメンタルなんだけど軽快な#8は、雰囲気にとても合っていました。







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vol.2 『Goodbye, Christmas Eve』(2001年12月)

#1 Come All Ya Shepherds(Barbara Higbie)
#2 I Want You(Savage Garden)
#3 New Year’s Day(U2)
#4 Hark, The Herald Angels Sing(Eric Tingstad)
#5 Blues Drive Monster(the pillows)
#6 You And Me(The Cranberries)
#7 One Life(the pillows)

これが初めてのオリジナル作品です。
自分でストーリーを書いたんだから音楽も選びやすいだろうと思いきや、
旗揚げのときとあまり変わらなかった気がする。
やっぱりCDを片っ端から聴く「ローラー作戦」でした。

旗揚げではWindham Hillの曲を使いましたが、
今作でも#1#4といった、同じくニューエイジ系レーベルのNARADAの曲を使いました。
クリスマス作品だったので、クリスマスや冬をテーマにしたコンピから選んでます。
U2#3)を選んでいるのが意外。当時聴いていた記憶はないんだけど。

この作品で初めて日本語詞の曲を使いました。
the pillowsです。(#5#7
日本語の台詞とバッティングするんじゃないかという懸念から、
旗揚げ公演の音楽は英語詞&インストのみに絞っていましたが、
いざ日本語詞のthe pillowsを流してみると、日本語なだけに登場人物の心情をうまく補完したり、
場面の空気を盛り上げたりしてくれる効果があって、むしろハマりました

ただ、そういった演出上のメリットもさることながら、
the pillowsというバンドと出会ったことそのものの方が、大きかったかもしれません。
彼らの曲を選んだのは、僕個人が好きだったからという背景はあるものの、
当時の劇団全体の雰囲気や勢いみたいなものに、
不思議なほど彼らの曲がフィットしました。
そういう「自分たちのテーマソング」と出会えたことは、僕らにとって大きな自信になったと思います。
以降、the pillowsはたびたび芝居のテーマを背負った音楽として使われることになりました。







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vol.3 『あの夏のMessenger』(2002年8月)

#1 Rush(the pillows)
#2 Fire Cracker(Yellow Magic Orchestra)
#3 Gravity(Cosmic Village)
#4 Frangenti(George Winston)
#5 Runners High(the pillows)
#6 Woman At The Well(Tim Story)

初めて夏に行った公演です(それまでの2回はどちらも12月)。
前作で、the pillowsという初の日本語詞の曲を使ってみたわけですが、
この第3回公演は、初めから彼らの曲を使うことを前提に台本を書いた、
the pillowsありき」の公演でした。
#1は作品全体のテーマ曲として、#5はダンスシーンの曲として、
どちらも劇中で複数回流しています。
全6曲と曲数がこれまでより少なくなっているのは、上記2曲を何度も使っているからです。

the pillows以外の曲はどれもインスト曲(#3は英語詞のボーカルが少しだけ入ってる)。
やっぱりインスト曲多めという傾向は健在です。
書いていていろいろ思い出してきたのですが、
インスト曲を多く選んでいたのは前述のように「台詞とのバッティング」を避けるためだったのですが、
それ以前に、そもそも当時の僕のライブラリにインスト曲が多かったという根本的な理由があります。

例えばケン・イシイUnderworld電気グルーヴCosmic Villageなどのテクノ/ダンス系、
(そういえばビョークのソロ1stはこの頃にテクノ/ダンス系という文脈で出会ったんだった)
そして坂本龍一(YMO)やワールドミュージック、ニューエイジ系(ENIGMAとかたくさん持ってる!)などなど、
10代の終わりから20歳くらいにかけては普段聞く音楽の中に占めるインスト曲の割合が、
今よりもはるかに大きかったのです。

そういう、学校で流行ってるものからちょっと外れたものを聴くようになったのは、
当時僕の周囲に猛烈な嵐を巻き起こしていたハイスタとミッシェルに対する
反抗(「流行りモノはダサい」という典型的な天邪鬼)的な動機からでした。
(本当はハイスタもミッシェルも隠れて聴いてたけど)
だから、テクノにしてもニューエイジ系にしても、
聴き始めた当初はかなり背伸びしてたんですが、次第に耳に馴染むようになりました。
Underworldの<Push Upstairs>とか、めちゃくちゃ懐かしいなあ。







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vol.4 『PATRICIA』(2002年12月)

#1 すばらしい日々(ユニコーン)
#2 運命船サラバ号出発(ザ・コブラツイスターズ)
#3 The Mirage(Cosmic Village)
#4 To Be(Montreux)
#5 ありがとう(井上陽水奥田民生)
#6 With A Little Help From My Friend(The Beatles)
#7 Come Around(Ephemera)
#8 Khaotic Khaen(ケン・イシイ)
#9 Nowhere Man(The Beatles)
#10 Rhythm Of The Rain(The Cascades)
#11 Save The Last Dance For Me(The Drifters)
#12 Every Breath You Take(The Police)

選曲という点では、この第4回公演は大きな転換点となった作品でした。
日本語ボーカルのthe pillowsの曲をちょいちょい使うようになっていたとはいえ、
全体として見ると前作までは、英語詞もしくはインスト曲が大半を占めていました。

繰り返し書いているように、「台詞とのバッティング」を気にしていたのが理由なのですが、
それは言い換えれば、当時の僕は劇中で使う音楽を、
登場人物の心情を補完するもの、あるいはシーンの意味をかみ砕いて説明するもの、
つまりあくまで物語に従属する「BGM(Back Ground Music)」であると考えていたからでした。
悲しいシーンには悲しい曲を、楽しいシーンには楽しい曲をかけるのが、
当時の僕の「選曲観」であり、the pillowsにしてもそれは例外ではありませんでした。

ところが、この第4回公演からは、
それまで守ってきた物語と音楽の主従関係を意図的に崩し始めました。
悲しいシーンに楽しい曲を、逆に楽しいシーンに悲しい曲を選ぶようになったのです。
例えば#9#11は、一般的には美しくロマンチックなイメージの曲だと思いますが、
前者は登場人物の一人が狂うシーンで、後者にいたっては全員が死ぬシーンで流しました。
(自分で書いてて自分で突っ込みますが、一体どんな芝居だよ)

きっかけは当時熱心に見ていた第三舞台つかこうへいでした。
彼らの芝居では、音楽は物語の従属物ではなく、
物語と真っ向からケンカするような音楽が盛んに流れていました。

悲しいシーンに悲しい曲をかけるよりも、悲しいシーンに楽しい曲を流した方が、
むしろ悲しさが際立つことがある。
「BGM」が生む感情は、しょせん「予想可能な感情」でしかないのに対して、
物語とズレた音楽は、そのズレによって作者でさえ予測できない巨大な感情の渦が生まれることがある。
(もちろん、その分だけ失敗する可能性もある)
そういう選曲手法があるんだということを、彼らの芝居をきっかけに発見し、
自分でもやってみようとしたのが、この第4回公演だったのです。

前作までと比べて使用曲数が格段に増えているのはそういった理由から。
そして「BGM」としての選曲を止めたことで自ずとインスト曲が減り、
逆にそれまで避けていた日本語詞の曲が一気に増えました。

もっとも、初めての試みだったので、
正直今思い出してみると、この公演の選曲は逆に狙いすぎだなとも思うのですが、
選曲という仕事に対する基本的なポリシーみたいなものは、この第4回公演で作られた気がします。





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※次回は第5回公演『500万年ララバイ』から第9回公演『クワイエットライフ』までを取り上げます。

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「アナログプレーヤー」を買ったら一気に世界が広がった話

2015年、個人的な今年のテーマの一つとして秘かに心に決めているのが、
アナログレコード」をたくさん聴くこと。

実は昨年暮れにアナログレコードのプレーヤーを買いまして、
遅ればせながらというか、今さらながらというか、
CDやiPhoneで聴くのとこんなに違うのか!とものすごく衝撃を受けてるところです。

では一体何がどう違うのか?
今回は、アナログレコード初心者として僕が体験(感動)した3つのポイントについて書いてみます。


その1:やっぱり「音」が違う

当たり前といえば当たり前なのですが、
改めてこのことを実感しました。
やっぱりアナログレコードは「音」が違う!

技術的なことについて僕はてんで詳しくないので、
あくまで感覚的なことしか言えないのですが、
アナログレコードの音はボーカルも楽器も全てがギュッと一体となって、
カタマリ」になっているように感じます。
音に“触れそう”というか、音に“質量”を感じるというか、
音というものが「コップ」だとか「風」だとか「熱」だとかと同じ、
物理的なものであることが感覚的に分かる気がしました。

レコードを聴いた後にCDやiPhoneで同じ音楽を聴くと、
なんとまあペラッペラなこと!
CDやデータ化された音楽ファイルが、
所詮音をデジタル信号に置き換えたものでしかないということが、
残酷なくらいに納得できます。

よくレコードの音を評して「CDよりも音が良い」という言い方がありますが、
僕の感覚では、CDとレコードの音の違いというのは、
CD→SHM-CDのような“音質”の良し悪しの話というよりも、
もっと根本的なものである気がします。
そもそも音の成り立ちが違う」と言った方がより実感に近い。

ちなみに僕が購入したプレーヤーというのはこれ。
↓↓


※参考記事:超ハイコストパフォーマンスのアナログプレーヤーION 「Archive LP」を試してみた

決してスペックが高いわけではない安価なプレーヤーで「コレ」ですから、
ちゃんとしたプレーヤーとスピーカーだったら一体どんなことになるんだと、
好奇心や期待よりもむしろ恐怖を感じてしまいます。




その2:A面・B面という「概念」の発見

実は僕が書きたいのはここから。
レコードの音の違いは一応既に知ってはいましたが、
以下に書く「その2」「その3」は、
プレーヤーを手に入れて初めて体験したこと。
文字通り「発見」したことになります。

一つ目が、「A面」「B面」という(大げさに言えば)概念です。

アナログレコードは表裏に録音されているので、
CDと違って再生している途中で盤をひっくり返して、針を落とし直す必要があります。
いわば途中に「折り返し」「区切り」が挟まれるわけです。

この制約があることによって、CDがなかった時代に制作されたアルバムというのは、
A面=第1部、B面=第2部のような形で、
途中に区切りが入ることを前提に構成が練られているのです。

例えば、こないだレコードで買い直した佐野元春の2nd『HEARTBEAT』(1981年)。
このアルバムには<ガラスのジェネレーション><悲しきRADIO>という、
2曲のキラーチューンが収録されているのですが、
<ガラスのジェネレーション>がアルバムの幕開けを飾る1曲目として象徴的に配置されているのに対し、
6曲目に収録された<悲しきRADIO>は、CDで聴いているだけでは、
単に「中盤の盛り上がり」というだけの役割しか感じられません。

ところが、レコードで聴いてみると、<悲しきRADIO>はちょうど折り返しにあたる、
B面の1曲目に配置されていることに気づきました。
第2部の幕開けとして、いわば<ガラスのジェネレーション>と対になっているのですね。
さらに、その直前の5曲目<彼女>と10曲目<HEARTBEAT>という2曲のバラードが、
第1部、第2部をそれぞれ締めくくるエンディングとして配置されていることも分かります。
つまりこのアルバムは、ガツンとくる曲で始まって壮大なバラードで締めるという、
5曲のドラマが2本セットになった構成をしていたんですね。

おおお!
この目からウロコ感!
聴き慣れたはずのアルバムだったのに、
今初めてその真の姿を見たような感覚です。
これは、たとえ知識として知っていたとしても、
CDを聴いているだけではなかなか実感できません。

そして、この「A面」「B面」ということを念頭に考え直してみると、
例えばビートルズ『HELP!』のB面1曲目がリンゴの<Act Naturally>であることや、
『Sgt. Peppers〜』のA面ラストが<She's Leaving Home>ではなく、
<〜Mr. Kite!>であること(さらにB面1曲目が<Within You, Without You>)など、
ビートルズに限っても意外な発見だらけであることに気づきます。

これはもしや、手元の(レコード時代に作られた)アルバムは、
全部聴き直さなければいけないということなのでしょうか(多分そうなんでしょう)。
やばい。アナログレコードは思っていた以上に財布のひもをゆるめる危険をはらんでいます。



その3:「レコード屋に足を運ぶ」という楽しみが増えた

プレーヤーを手に入れてから、レコードを探すために、
中古レコード屋に足を運ぶという習慣が生まれました。

CDだと、僕の場合は、
新譜探しはamassindienative、Skream!といったWebメディア、
試聴はYouTubeSoundCloudiTunes
そして購入はAmazonTowerRecord Onlineと、
基本的には全てのプロセスがネットで完結してしまいます。
そのため、10年くらい前は足しげくリアル店舗に足を運んでいた習慣も、
今ではほとんど無くなってしまいました。

ところがレコードの場合は、ほとんどが中古ですから、
実際にお店に行かないと入手できません。
厳密に言えば中古レコードもネットで購入することもできるのですが、
中古レコードを扱っている店舗の多くがネット通販を扱っていない小さなお店だったりするので、
結局は足を運んだ方が早く済むのです。

で、じゃあそれが面倒くさいかというと、これがものすごく楽しい
無造作に棚に突っ込まれた玉石混交の大量のレコードから、
1枚1枚手に取って探すという行為自体がとても新鮮です。
そう、予め目当ての1枚があって単にそれを買いに行くというのではなく、
「何かいいのはないかな?」と“探す”ということが、
そもそもこれまでほとんど体験したことのないシチュエーションでした。

また、中古レコード屋と一口に言っても、大手CDショップなどとは違って、
お店によって得意なジャンルが異なるのも初めて知りました。
在庫のラインナップだけでなく、内装や店内に流している音楽なども含めて、
その店の個性が感じられるところもとても面白い。
中には「玄人しか入れないよ!」といった感じで、
思わずビビッて入るのをためらってしまうようなディープなオーラを放つお店
(もちろん実際には誰でもウェルカムなのですが)もあったりして、
レコード屋に行く」という行為そのものに刺激が満ちていて楽しいのです。

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レコードはかさばるし、消耗品だし、(お店に行ったりで)時間は食うし、おまけにお金もかかるし、
クリック一つで音楽を試聴したり購入したりできる時代からすると、おそろしく非効率でアナログですが、
その無駄の一つひとつが「音楽を楽しむこと」の一部である気がします。
だから、もっと徹底的に無駄を味わいたい。

アナログプレーヤーを手に入れたことで、
僕はまるで広大な未知の大陸の地図を手にしたような気分です。




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The Beatmas 『XMAS!』

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もしもビートルズが
定番のクリスマスソングを歌ったら


去年のクリスマス、街中で不思議な音楽を耳にしました。
サンタが街にやってくる」や「ホワイト・クリスマス」といったごく定番のクリスマスソングなのですが、
なぜかバックに流れている音が「ビートルズ」なのです。

たとえば、イントロは<I Saw Her Standing There>なのに
歌は<Rockin' Around The Christmas Tree>だったり、
同じようにイントロは<Ticket To Ride>なのに<White Christmas>だったりと、
ビートルズで始まったはずの曲が、いつの間にかクリスマスソングに“すり替わって”いるのです。

2つのサウンドのつながりがあまりに自然なので、最初は聴き間違いかと思ったのですが、
立ち止まって耳をすませてみると、やっぱりビートルズ+クリスマスソング。
当然、僕は思いました。
これ、誰?

いろいろ調べて分かりました。
正体は、The Beatmas(ザ・ビートマス)というバンドの、『XMAS!』というアルバム。
当然、バンド名はビートルズ+クリスマス。
ジャケットの写真で一目瞭然ですが、タイトルの元ネタは『HELP!』です。
この、正体不明ながら超ナイスなアルバムは、発売されたのは10年以上前にもかかわらず、
未だに人気があるらしくて、Amazonでは品薄状態が続いているようです。

CDのインナースリーヴによれば、
彼ら「ビートマス」の正体はデンマーク出身のRUBBER BAND(ラバー・バンド)という名のバンド。
元々「スカンジナビアを代表するビートルズのカバーバンド」といわれるほど有名なバンドで、
毎年クリスマスになるとバンド名を「ビートマス」に変えて、
ビートルズ風にアレンジしたクリスマスソングを演奏しているんだそうです。

んで、肝心の曲です。
これはもう聴いてもらったほうが早い。

まずは<Please Please Me>とくっついた<Jingle Bell Rock>


これもよくできてる!
<Lucy In The Sky With The Diamonds>からの<Silent Night>


完成度が高すぎて思わず笑っちゃいました。
すごくないですか?

彼らの素晴らしいところは、
どのビートルズソングとどのクリスマスソングをくっつけると面白いのかという「選択眼」です。
僕が一番すごいなあと思ったのはこれ。

<赤鼻のトナカイ>に、よりもよって<Taxman>をくっつけるという発想に唸ります。

アルバムにはまだまだほかにもたくさん曲があるのですが、
どれもちゃんと「ビートルズの音」になっているのがすごいです。
<Jingle Bell Rock>のドラムなんて、めちゃくちゃ「リンゴ感」溢れてるし、
つなぎのギターの音やコーラスなんかも「いかにも!」という感じ。
だから聴いていてビートルズのどの曲が元ネタになっているかがちゃんと分かる。

当たり前ですが、相当センスと実力がないとダメなはずです。
だってビートルズの曲じゃないのにビートルズになっているんだもの。
ここまでいくと一種の「芸の極み」という気がします。

ライブ映像があった!







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Kei Kobayashi 『wonderland』

kei kobayashi
「ホワイト・クリスマスを夢見てる 
 昔この目で見たような」

―“White Christmas”

 劇団の公演は毎年11〜12月。公演が終わると、それを合図に僕はあることを始める。CD棚の隅からクリスマス・アルバムの束を取り出して、プレーヤーの側の“スタンバイ位置”へと移すことだ。

 <White Christmas>や<Winter Wonderland>、そういうクラシックなクリスマス・ソングが僕は大好きだ。本当は一年中聴いていたいくらいなのだが、それをやってしまっては「マナー違反」だろう。なので公演の終わりを“解禁日”として、僕は一年でこの季節にしか聴けない曲たちに、CDプレーヤーを占拠させるのである。

 毎年、最初に聴くアルバムをどれにするか迷うのだが、大体いつもこのアルバムに落ち着いてしまう。日本人男性ジャズ・ボーカリスト、小林桂が2001年に発表したクリスマス・アルバム『wonderland』。

 ジャズ・ミュージシャンがクリスマス曲をカバーしたアルバムはたくさんあるが、アレンジがジャズに寄り過ぎていて肝心の曲そのものは原形を留めないほどに崩されてしまう、そんなのが大体のパターンである。アイディアとしては面白いと思うものの、所詮は長く聴くことのできない“一発屋”であり、クリスマス・ソングを愛する者としてはいただけない。

 その点、この『wonderland』はアレンジが良い。ジャズ的な部分は風味を利かせる程度に抑えられて嫌味がなく、あくまで歌とメロディを聴かせようとしている。選曲もツボを得ていて、スタンダード・ナンバーを厳選しているだけでなく、ところどころの楽器ソロに<ジングル・ベル>や<I saw mommy kissing Santa Claus>のメロディーが隠してあったりして、なかなかニクイ。小林桂のスモーキーでハスキーな歌声も、イージー・リスニングと呼ぶのが躊躇われるような、ずっしりとした聴き応えがある。素朴で洗練されたクリスマス・アルバム『wonderland』、おすすめです。


 よく、「アメリカ人にとってのクリスマスは、日本人にとってのお正月のようなもの」と言うけれど、それは果たして正しい例えなのだろうか、と思う。もはや滅んでしまった羽子板凧揚げ。下品な番組ばかり放送するテレビ。バカの一つ覚えのように街中そこかしこから聞こえてくる、あの琴の音。ただの連休の一つに成り下がった日本のお正月に比べて、アメリカのクリスマスはしっかりと生活文化に根付いている。

 小学生の時、僕はアメリカのクリスマスを体験した。近隣同士がまるで競い合うように飾り付ける家々の庭の電飾。クリスマスカードやツリーの飾り、ケーキやチキン、そういったグッズで溢れかえるお店。クリスマス時期のアメリカの街は、住人たちが力いっぱい楽しもうとする、祭のような熱気に包まれていた。その光景は子供心ながらに感動的で、そういう文化があることに羨ましさを覚えた。

 特に僕の住んでいたボストンという都市は、アメリカのなかでも音楽の盛んな街で、教会の門の前で歌う聖歌隊や街角で演奏するバンドをよく目にした。商店が立ち並ぶ近所の目抜き通りは、イブの夜になると自動車が通行止めになり、そこに街中の人が集まってみんなで大騒ぎをした。僕も友達と一緒に、サンタクロースにもらったキャンディーを舐めながら、バンドの演奏を眺め、街の聖歌隊と一緒に歌を歌った。

 以上の話、「要はただの自慢話じゃねえか」と言われそうだが、確かに子供の頃にああいう得がたい体験をできたことは自慢なのかもしれない。「クリスマスにはクリスマス・ソングを」という直観。これはあの頃ボストンで目にした光景の一つひとつが、帰国後も消えずに胸の奥で醸造されて出来上がったものなのだろう。その結果として、今こうして部屋で一人きりでクリスマス・アルバムを楽しんでいるという状況が、20代男子として果たして幸せかどうかは別として・・・。

50回目記念 〜付け足しレビュー〜

 音楽・本・映画を中心に、個人的に思い入れのある作品だけをひたすら紹介してきたこのAnother Morningは今回で50回目になりました。

 これまでのところ、圧倒的に多いのが「music」の記事です。特に3月12日に投稿した「THE TING TINGS 『WE STARTED NOTHING』」以降の記事では、ラストになるべくYouTubeへのリンクを貼るよう心がけてきました。実際の音を聴くことで、「なるほど!」と感じてもらえたり、なかには「本文の印象と音が違う」なんていう風に思ったこともあるかもしれません。

 そこで、50回目記念に趣向を変えて、というほどでもないのですが、今回はYouTubeのリンクを貼っていなかった3月12日より過去の記事に関して、「実際の音」をまとめて載せてみたいと思います。


08,12,29 Duffy 『ROCKFERRY』(記事を読む
アルバムタイトル曲<ROCKFERRY>を歌うDuffy

 このアルバムを聴き直してみると、デビュー間もないとは思えない彼女の存在感の重さを改めて感じる。映像を見てもらうとわかるのだけれど、この垢抜けてない感じがとても好感が持てる。今年のグラミー賞において最優秀ポップ・ボーカル・アルバム賞を受賞。

09,1,19 the sugarcubes 『life’s too good』(記事を読む
本文でも触れた彼らの代表曲<birthday>

 どんなに「好きだ」と言っても足りないくらい大好きな曲<birthday>。iPodをシャッフルモードで聴いていて、この曲がかかるといつもビクンとしてしまう。ソロとなってしまった今、こんなバンド感溢れる曲は、もう聴くことはできないだろう。

09,2,2 the pillows 『PIED PIPER GO TO YESTERDAY』(記事を読む
「PIED PIPER TOUR」ディスクに収録された未発表曲の<Melody>

 どうでもいいことなんだけど、この会場のどこかにtheatre project BRIDGEの役者、渡邉香里と渡邉優子姉妹がいるはずです。さらにどうでもいいことなんだけど、このディスクの特典映像に収録されている、9,21のZepp Tokyoでのアンコール時、ボーカル山中さわおが発した「いやあ、この世に音楽があって良かったよ」という一言に、他の観客はシーンと聞き入っているにも関わらず、そんな周囲の空気も読まずに「キャー!」と叫んでいるのは、theatre project BRIDGEの役者鳥居沙菜とスタッフ松野友香です。

09,2,9 相対性理論 『ハイファイ新書』(記事を読む
<地獄先生>PV

 全国のCDショップ店員が選ぶ「CDショップ大賞」の第1回大賞に、相対性理論のデビュー・アルバム『シフォン主義』が選ばれた。今年もっとも注目されるバンドの一つ。

09,2,19 THE VASELINES 『THE WAY OF THE VASELINES ・ A COMPLETE HISTORY』(記事を読む
ヴァセリンズには、本人たちが映っていて、なおかつ質のいい映像がほとんどない。
なので曲だけの紹介。曲は<Molly’s Lips>

続いて、同じ曲をニルヴァーナが演奏しているのがこれ

 カートとコートニーの間に生まれた女の子フランシス。その名前の由来はヴァセリンズのボーカル、フランシス・マッキーである。

09,2,23 くるり 『ワルツを踊れ』(記事を読む
<ブレーメン>を演奏するくるり。オーケストラと一緒というステージングはなんだか少し気恥ずかしいのだが、曲は本当にいい

 ついに今週、最新作『魂のゆくえ』がリリースされた。今回のレコーディングはニューヨークで行われたそう。『ワルツを踊れ』がレコーディング場所のウィーンという土地柄を非常によく体現していたアルバムだったが、果たして今回はどうなるのだろう。

09,2,26 ミドリ 『セカンド』(記事を読む
<ドーピング☆ノイズノイズキッス>PV(画像粗いです)

 先日リリースされたジュディ&マリーのトリビュート・アルバムでは、大塚愛や中川翔子なんかに混じって参加し、<ミュージックファイター>をカバーしていたミドリ。ジュディマリのなかでもアバンギャルドな曲を、ミドリはさらにアバンギャルドにアレンジしていて、当然のことながら他の曲からものすごく浮いていた。だが、原曲の枠内を目一杯使ってもっとも「遊んで」いたのは間違いなくミドリである。ジュディマリ好きの2,30代OLなんかには理解してもらえないだろうが、間違いなく、今もっとも才能溢れるバンドの一つ。

09,3,9  Mates Of State 『Re-Arrange Us』(記事を読む
<Get Better>のPV

 本文で彼らのことを「オルタナなカーペンターズ」と書いたけど、あながち的外れな評価ではないことが、ビデオを見てもらえればわかってもらえる…かな?


 本ブログは元々、僕の所属する劇団theatre project BRIDGEのホームページ内の一コンテンツとして始めたものです。読んでくれている方のほとんどが、おそらく劇団経由でこのブログにたどり着いているんだと思います。

 劇団は今年で結成9年目になりますが、この劇団員のブログコーナーは意外と歴史(?)が長く、確かホームページを立ち上げてからすぐに始めたと記憶しているので、多分6,7年は続いているのではないでしょうか。まだ当時はブログというものがなく、写真も載せられなければコメント欄もない、ただ文字を載せるだけの「ウェブ日記」でした。

 当初は僕も日記を公開していたのですが、何の変哲も無い日常を面白おかしく書く能力に乏しく、そもそも僕個人の日々の生活を公開することに果たして意味はあるのだろうか?と、なんとなくネガティブな気持ちが抜けず、3年ほどは書き続けたものの結局閉鎖してしまいました。

 そういうわけで、昨年末、久しぶりにブログを書こうと思い立ったときも、端から日記を書こうという選択肢はなく、代わりに普段聴いている音楽や、本や映画のことだけを書こうと思ったのです。

 このブログが素敵な作品との出会いのきっかけになればとても嬉しいです。そして、願わくば、「このブログを書いている人間は果たしてどんな作品を作っているのだろう?」と、theatre project BRIDGEの芝居を観に劇場に足を運んでくれたら幸いです。うん、そうなったら本当に嬉しいなあ。

Bill Douglas 『A Place Called Morning』

bill douglas





ケルトの旋律が
地上に遍く朝日を照らす


2001年の12月、僕の所属する劇団theatre project BRIDGEは、
初のオリジナル作品となる『Goodbye, Christmas Eve』を上演した。
この作品はタイトルの通りクリスマスが大きなキーワードになっていた。
演出を担当していた僕は、劇中使用曲にケルト音楽を使おうと考えていた。

僕はタワーレコード渋谷店の5階にあるワールド・ミュージックのコーナーに足繁く通って、
「ケルト」「アイルランド」と名の付くものは片っ端から聴き漁り、
さらには他の北欧音楽やニューエイジにまで手を広げ、とにかく毎回3,4時間はそのコーナーをうろついた。
さぞかし鬱陶しい客だったと思う。
ちなみに、同じフロアにはジャズのコーナーがあって、
以前本稿で紹介したakikoは、ちょうどその頃に出会ったアーティストである。

ある日、いつものように散々試聴して、そろそろ出ようかと思った僕は、
最後に新譜の試聴コーナーへ向かった。
そこに置かれていたのはジャズやブルース、カントリーのCDがほとんどで、
なんとなく眺めていただけだったのだけれど、そのなかに1枚、ハッと目につくジャケットがあった。

それは広大な針葉樹の森に陽光が差し込んでいる神秘的なイラストだった。
タイトルから察するにその光は朝日。
たしかによく見ると朝霧が森を覆っている。
その景色は、かつて僕が高校時代にこの目で見て衝撃を受けた、
アメリカのグランド・キャニオンの光景とどこか似ていた。

それが、ビル・ダグラスの『A Place Called Morning』だった。


このアルバムのなかにあるのは、ピアノにヴァイオリン、チェロにクラリネット、
フルートにファゴット、そして聖歌隊のコーラス。
ジャンルとしてはニューエイジに類されるのだろうが、
例えばアディエマスやエニグマなどのシンセ主体のニューエイジ・ミュージックとは違い、
生の楽器による質感は、むしろクラシックに近い。

そしてまた、何年か前に話題になったコンピ・アルバム『イマージュ』のような、
脆弱なヒーリング音楽とも全く異なる。
楽器の音色は、何かに祈りを捧げているような透明な緊張感を孕み、
聖歌隊のコーラスはまるでレクイエムのように硬質で、その旋律は哀しく儚い。
耳あたりのよさよりも、全体にある種の厳しさのようなものを湛えている。

この作品には、実はケルト音楽が血となって流れている。
現代音楽家ビル・ダグラスはクラシックやジャズを学び、
さらにケルトをはじめアフリカやインディアンなどのルーツ音楽への造詣が深い。
どこか哀しく郷愁を誘う旋律は、ケルト・フォークの影響だろう。
確かにジャケットに描かれた朝の森は、南国ではなく、北方の大地に広がる針葉樹の森だ。

タイトルにある「Morning」とは、決して爽やかな気持ちやリラックスの比喩ではない。
このアルバムで描かれているのは、森や川、山や谷に訪れる朝そのもの。
そこには単なる「1日の始まり」ではなく、46億年の間絶えず育まれてきた、
生命そのものの厳粛な美しさがある。

このアルバムを聴いていると、音楽というものの神秘を改めて感じることができる。
それは、言葉では表現できないものを、
音楽はいとも簡単に抽出し、表現し、昇華させてしまうという素朴な感動である。

文字を持たなかったケルト人は、自身の歴史や文化を全て口承だけで伝えてきた。
自然のことや生命のこと、世界の有り様を、彼らは神話と音楽だけでずっと表現してきたのである。








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『Gling-Glo』

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ビョークの歌うジャズ
彼女の声を堪能できる1枚


ビョークが歌うジャズアルバム」と説明するのが一番手っ取り早い。リリースは1990年。
 
正確にはビョーク名義ではない。
ジャケットには小さく「Bjork Guomundsdottir & trio Guomundar Ingolfssonar」と載っているが、
この名義で他にも活動をしているわけではないので、
この『Gling-Glo』というアルバムを作るために集まったメンバーをそう仮称した、
というだけだろう(ほとんどのレコードショップではビョークのコーナーに置いてある)。
ちなみに、定かではないのだけれど、たしかドラムのGuomundar Steingrimssonはビョークの父だったはず。

ビョークがジャズを歌うとどうなるか。
これが不思議と、いやピタリとハマっている。
90年と言えばちょうどシュガーキューブスで活動期と重なっており、
バンドのボーカルという点では脂がのっている時期ではあるのだが、それにしても、まるで最初からジャズ・ボーカリストであったかのようなハマり具合だ。彼女の音楽への素養の広さと深さが窺い知れる。

サウンドは全体的にソフト。
ドラム、ベース、ピアノというシンプルな音に乗せて、全16曲、柔らかいメロディをビョークは歌う。
ただし、しっとりした雰囲気というわけではない。
メロディは丸みを帯びているものの、音符はまるで粒のように飛び跳ねていたり、
わざと上下左右を行き来したりと、非常に元気がいい。
ソフトで柔らかくも、聴いているこちら側を励ましてくれるような逞しさがある。

クークルでは憑かれたシャーマンのような危うさ、
シュガーキューブスではやんちゃな女の子のような可愛らしさと、
さまざまな表情を見せるビョーク。
変幻自在な彼女がこのアルバムで見せるのは、温かく優しい、母性的な一面だ。
特に1曲目に収録されたタイトル曲<Gling-Glo>はまるで子守唄のよう。

収録されている16曲のうち、14曲は彼女の母国語であるアイスランド語で歌われている。
アイスランド語が理解できる人(多分あまりいないでしょう)でなければ、
このアルバムは雰囲気だけを楽しむ他ない。
 
だが、その分ビョークの声だけを心ゆくまで堪能できる1枚でもある。
ところどころ引っ掻いたようにかすれた彼女独特の声色は、歌詞の意味がわからなくても、
充分に“聴く”ことができる。

ビョークというアーティストはクセも強いしアクも強いし、
しかもソロ時代に入ってからの楽曲はかなり“アート”な道に進んでいるので、
なんとなく敷居が高そうなイメージがあるかもしれないけど、
そう感じている人にこそ、この『Gling-Glo』はおすすめ。









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akiko 『LITTLE MISS JAZZ & JIVE GOES AROUND THE WORLD!』

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ニューヨークの街角へと連れ出してくれる
陽気で華麗なジャイヴのリズム


音楽にはそれぞれ、聴くのにもっとも相応しい時間帯というものがあると思う。
たとえば平日の朝にこってりしたブルースは聴きたくない。
これから仕事、という時間には美しいクラシックや優しいカントリーミュージックをかけて、
憂鬱な気分を少しでも解きほぐしたい。
こってりブルースはむしろ夜寝る前、週末は昼からロックをかけてハイになる、といった具合に、
生活のリズムや心理に合わせてフィットする音楽は変わるものだ。

ジャズ、はどうだろう。
一口にジャズといっても硬から軟まで幅広いが、
たとえば朝に牛乳とトーストを食べながらマイルス・デイビスを聴く、というのはちょっと想像しづらい。

ジャズはやはりお酒とともに楽しむもの。夜の音楽という気がする。
くたびれた肉体と神経をまとった夜の感性に、スッと染み渡る音楽として、
ジャズ以上のものはないのではないか。


と、言いつつ、今回紹介する『LITTLE MISS JAZZ & JIVE GOES AROUND THE WORLD!』は、
昼間どころか朝起きてすぐにだって聴けるジャズアルバム。
オールラウンドプレイヤー的1枚なので是非おすすめしたい。
日本人ジャズボーカリストakikoが2005年にリリースしたアルバムだ。

この人、デビュー以来ずっと英語詞の歌を歌っていて、
その発音があまりに上手いので、きっと英語圏の国で生まれて本場のジャズの中で育ってきた、
「日本人の顔をした外人」なのだろうと思っていたけれど、実は埼玉県出身。なんだか親近感。

しかし彼女の経歴と実力は折り紙つき。
所属するヴァーヴ・レコードは、
チャーリー・パーカーやビル・エヴァンス、デューク・エリントンなども在籍していた米国の老舗ジャズレーベル。
日本人アーティストでヴァーヴに所属したのは彼女が初めてである。

2001年、そのヴァーヴからリリースした『Girl Talk』でデビューしたakikoは、
その年のジャズ部門の新人賞を総ナメにする。
当時弱冠25歳。
だがすでに歌声は垢抜けていて、大物感が漂っていた。

デビューアルバムはオーソドックスなソフトジャズだったが、
2枚目以降はフュージョンやビバップ、さらにはハウスなどを取り入れて、
アルバムごとに異なる音楽を追求してきた。
ちなみにこの『LITTLE MISS JAZZ & JIVE GOES AROUND THE WORLD!』の次に出したアルバムでは、
なんとサンバやボサノヴァにまで手を出している。
なのでジャズボーカルというよりも、ジャズをベースとしたマルチ・ボーカリストといった方が適当かもしれない。

そのakikoがこのアルバムでチョイスしたのは、タイトルにもあるとおり、ジャイヴである。
ジャイヴとは、いわゆるスウィング・ジャズのこと。
大人数編成のバンドによって演奏されるジャズのひとつで、
座って聴き入るようなソフトなジャズと違って、踊って楽しむダンスミュージック的性格が強い。
映画『スィングガールズ』で主人公たちが演奏していたヤツ、といえばわかりやすいだろうか。
有名な<A列車で行こう>なんかはジャイヴの代表曲だ。
パワフルなリズムとノリの良さが、どんな時に聴いても気持ちを陽気にしてくれる。

ジャイヴはとにかく華やか。
このアルバムでakikoは、【Little Miss Jazz & Jive】という一人の貴婦人に扮している。
彼女の住む世界は20世紀前半あたり、
夜のニューヨーク、ガス燈が灯り多くの人で賑わうメインストリート、といったところだろうか。
【Little Miss Jazz & Jive】が聴く者をレトロで華やかな風景へと誘う、
そんな演劇的な部分もジャイヴという音楽にはぴったりだ。
こういった遊戯的な世界観は、プロデューサー小西康陽(ピチカート・ファイヴ)の面目躍如である。


実は、このアルバムを聴いて、ジャズをテーマにした芝居を作ろうと考えたことがある。
4年近く放置したままだったそのアイディアを引っ張り出して、
ジャズをロックに変えて作り直そうとしているのが、
theatre project BRIDGEの次回公演『七人のロッカー』なのである。








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