週刊「歴史とロック」

歴史と音楽、たまに本やランニングのことなど。

【RUN】ここを走った

都内の暗渠を「ロックバンド」に例えて紹介してみる

 先週に続いて川・暗渠の話です。
(先週の記事:「川」こそアナーキーだ
 誰にも読まれていないのをいいことに、どんどん書きます。

 暗渠イスト(暗渠ファンのこと)のバイブル『川の地図辞典』を開くと、かつては東京の街のいたるところを、まるで毛細血管のように無数の川が流れていたことがわかります。上水道や細かい用水路なども含めれば、23区だけでも100本以上の川(水路)が流れていたんじゃないでしょうか。そのほとんどが暗渠化されていることを考えると、現代の僕らは「川の上に住んでいる」と言っても過言ではありません。

 そこで今回は、数ある都内の暗渠の中からその一部を、ロックミュージシャンに例えながら紹介するという、まったく意味不明なことをやろうと思います。
 わかる人だけわかればいいんだ

(目次)
暗渠界のビートルズ
暗渠界のローリング・ストーンズ
暗渠界のセックス・ピストルズ
暗渠界のビーチ・ボーイズ
暗渠界のボブ・ディラン
暗渠界のカーペンターズ
暗渠界のキャロル・キング
暗渠界のスミス
暗渠界の大滝詠一
暗渠界のビョーク
暗渠界のCCR
暗渠界のデヴィッド・ボウイ
暗渠界のオアシス
暗渠界のバディ・ホリー
暗渠界のニューヨーク・ドールズ

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■暗渠界のビートルズ:渋谷川



 暗渠の中でもっともメジャーな存在。暗渠に興味のない人でも渋谷川のことは知ってるんじゃないでしょうか。渋谷駅や原宿キャットストリートといった華やかなランドマークの真下が実は川だったという意外さは、暗渠の楽しさや興奮を端的に伝えてくれます(こうした感覚を本稿では「ポップネス」と呼びます)。
 こうしたポップネスに溢れる一方、センター街のど真ん中を流れる宇田川や青山の瀟洒な住宅街の中を流れるいもり川など、表情豊かな支流も多く、容易には全貌をつかめない奥深さも併せ持っています。地形という観点からも非常にポップネスに富んでおり、僕は渋谷川を知って以降、表参道や竹下通り、道玄坂や宮益坂といったおしゃれな通りが「崖」にしか見えなくなりました。渋谷川は国道246号線をくぐった渋谷駅の南側で開渠になりますが、地下世界への入口であるその開口部は、暗渠好きのロマンをかきたてる原点ともいうべき光景です。このように、どの切り口からでも人を惹きつける「王道・オブ・ザ・暗渠」っぷりは、暗渠界のビートルズと呼ぶにふさわしいでしょう。
 ちなみに、本流をバンド、支流をメンバーとするならば、渋谷川の支流のどの川が4人のうちの誰にあたるか?ということを、以前Twitterで議論したことがあります。ジョン=宇田川、ポール=本流上流域、リンゴ=いもり川までは共有できたのですが、ジョージが決まらない。笄川という説もあったのですが、そうすると川の流れを時系列としたときにリンゴ(いもり川)と整合性が取れない。僕は、ポールと幼馴染だったという点で、玉川上水からの分水である千駄ヶ谷・代々木支流を暫定的にジョージとしたいと思います。南新宿と代々木ってあたりもジョージっぽい。

↓水源の一つである新宿御苑の玉藻池。
この穏やかな風景と賑やかな渋谷とが川で繋がっていることに激しいロマンを感じる。

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↓キャットストリートの不自然な段差は護岸の名残。
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↓竹下通り脇の「ブラームスの小径」も実は渋谷川支流の暗渠。
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↓渋谷川開口部を望む(工事のため以前よりも見えづらくなってしまった)。
地上の駅やバスターミナルとのギャップがたまらない。

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■暗渠界のローリング・ストーンズ:藍染川



 渋谷川とは打って変わって、流路は細く、最下流の不忍池付近などは、人が一人やっと通れるほど。藍染川は全体的にダークでアーシーな雰囲気に満ちた暗渠です。
 不忍通りのすぐ脇、何度も折れ曲がる通称「へび道」は、暗渠界きってのグルーヴィーな流路。一方で、前回の記事でも述べたように、流路の一部は文京区と台東区の境目になっているなど、社会への影響力は絶大です。上流へ遡れば、谷中銀座や田端銀座、そして古い商店街としてコアな人気を誇る霜降銀座を丸ごと飲み込んでおり、「暗渠の上には商店街が多い」という定説の、まさに見本のようなポップネス溢れる暗渠ビューを目にすることができます。さらに、排水路とドッキングした暗渠(現在の藍染川通り)とのコラボレーションなど流路のバラエティにも富んでおり、ビギナーへのフックとツウ好みの渋さの両方を兼ね備えた暗渠といえます。
 ここまで書けば、藍染川が暗渠界のローリング・ストーンズであることが納得してもらえるでしょうか。

↓霜降銀座の入口。商店街が丸ごと暗渠の上だ。
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↓暗渠イストなら誰もが一度は歩く「へび道」。
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↓最下流部の不忍池付近。この細い流路が文京区と台東区の境界線となっている。

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■暗渠界のセックス・ピストルズ:水窪川



 不忍通りを1回と坂下通りを2回、さらに都電荒川線を1回。水窪川の流路は途中、何度も大きな車道と電車に遮られますが、一度たりともその足取りは乱されることはありません。車が走っていようが電車が走っていようが、商店街だろうが人の家の軒先だろうが、どんな場所でも自分の行きたい道を進むのがこの川の流儀です。川がいかに自由かということを最初に教えてくれたのも、一度もその流れを途切れさせない力強さによって「流路を辿る」という探検的興奮を最初に教えてくれたのも、全てはこの水窪川でした。
 自由な魂、興奮、そして運命的な啓示。これはまさにパンクの衝撃、セックス・ピストルズを初めて聴いたときの衝撃です。「無人島に連れて行く暗渠を1本選べ」と言われたら、僕は多分水窪川を選ぶんじゃないかと思います。

↓人家の脇を我が物顔で進む水窪川。暗渠になってもなお人の生活を支配している。
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↓流路沿いに井戸が。こうした「小道具」が多く見られるのも水窪川の特徴。
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↓荒川線を渡る水窪川。踏切りまで迂回するしかない人間の姿を横目に川はずんずん進んでいく。

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■暗渠界のビーチ・ボーイズ:蟹川



 「蟹川」という名前だけ聞くとなんだか弱そうですが、「こんな場所に川が流れてるの?」という地上と地下とのギャップという点では、渋谷川と比肩します。なんてったって、歌舞伎町のど真ん中を流れてるんですから。休みの日の早朝に蟹川を走ると、ホステス/ホストに見送られる泥酔客に、人目を忍ぶようにラブホ街から出てくるカップル、そんなザッツ不健康な風景の中をランニングする健康的な俺、そして地面の下には川という、カオスな景色を堪能できます。
 歌舞伎町の喧騒を離れて下流部へ進めば、新宿6丁目や7丁目など、賑やかな駅前とは異なるもう一つの新宿を垣間見ることができます。支流・分流も多く、下流部の江戸川橋近辺に網の目状に張り巡らされた流路は一度探検しただけでは把握しきれません。
 このように、暗渠としてはすさまじい才能をもちながらも、渋谷川に比べると圧倒的に知名度は落ちる蟹川。常にNo.2以下の地位に甘んじなければならない不遇さという点で、天才ブライアン・ウィルソンを擁するビーチ・ボーイズに例えるのがふさわしいでしょう。

↓日曜午前6時の歌舞伎町。道のカーブ具合に確かに川の名残が見える。
この道の下に川が流れていることを知る人はいるのだろうか。
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↓新宿7丁目の流路脇に残された井戸の跡。新宿のもう一つの顔である。
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↓戸山公園にはかつて蟹川が作っていた池を模した人工の流路がある。

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■暗渠界のボブ・ディラン:谷端川



 全長11km超という、23区を流れる暗渠の中でも屈指の長さをほこる谷端川。4つの区をまたにかけ(豊島区、板橋区、北区、文京区)、6本の電車を横切るという(西武池袋線、東武東上線、埼京線、都電荒川線、山手線、丸の内線)流路は、まさに「旅」
 住宅地や駅前の繁華街、小石川植物園から東京ドームまで、流路沿いの景色は実にバラエティに富んでいます。僕のお気に入りは、豊島区池袋3丁目の谷端川南緑道。散歩道となっている暗渠の両脇に、「いつから建ってるんだ?」というような古いアパートや飲み屋が立ち並び、昭和のまま時が止まったような雰囲気がタマランチです。そのときどきで表情を変えながら、確かな足取りで前人未到の流路を切り開いていくパイオニアぶりは、まさにボブ・ディランです。

↓豊島区谷端川南緑道沿いには懐かしい佇まいの建物が並ぶ。
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↓かつての橋跡が多く見られるのも谷端川の魅力のひとつ。
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↓文京区の流路沿いではかつては砂利場が多く、そこから「小石川」という別名がついた。

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■暗渠界のカーペンターズ:田柄川



 流路のほぼすべてが遊歩道化されている田柄川は、都内屈指の癒し系暗渠。道幅は広くて日当たりもよく、歩道沿いには手入れされたたくさんの花が植えられていて、地域に愛されている暗渠であることがうかがえます。土曜の晴れた早朝にここを走ると「世界は美しい!生きててよかった!」と拳を突き上げたくなります。
 練馬区北町2〜3丁目のエリアは桜並木になっていて、知る人ぞ知る隠れた花見スポット。また、石神井川との合流点である城北中央公園も絶好の散歩スポットで、紅葉の時期は川と紅葉の両方が楽しめます。のどかでゆったりとしていて、いつ訪れても心が弾むエヴァーグリーンな田柄川は、中学校の英語の授業で、初めて<イエスタディ・ワンス・モア>を聴いたときの、あのときめきを思い起こさせます。

↓可愛らしい花壇の花が、下ばかり向きがちな暗渠イストの目を癒してくれる。
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↓数多く残る細い用水路跡も見どころのひとつ。
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↓城北中央公園は春は桜、秋は紅葉が楽しめる。公園のなかに暗渠があるというのも珍しい。
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↓大きく口を開けた石神井川への開口部。地上ののどかな風景とのギャップが激しい。

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■暗渠界のキャロル・キング:笄川



 外苑西通りというと、広尾や西麻布、外苑前といったおしゃれで高級な街をつなぐ、東京でも有数のセレブな道路。その外苑西通りのすぐ脇を流れているのが笄川です。ちなみに僕は「笄(こうがい)」という言葉をこの川の名前で初めて知りました。
 流れている地域といい、どこか格調高さを感じさせる名前といい、確かに笄川はどこかインテリジェンスを感じさせる暗渠です。“外国大使館の脇を流れる暗渠”なんてこの川だけじゃないでしょうか。
 しかし一方で、笄川は親しみやすくカジュアルな雰囲気をもつ暗渠でもあります。たとえば清潔感のある公園やきれいに掃除された沿道の家の玄関先。手入れの行き届いた道端の花壇や植栽。笄川沿いの景色から受けるのは、「高級」「セレブ」といったギラギラしたイメージよりも、地域の人の生活からにじみ出るマナーの良さや遊び心といった感覚です。生活に根付いたオーガニックな匂いが、居心地の良さを感じさせるのです。
 水窪川谷端川のようにパワフルでゴツゴツした感じとは真逆の、しなやかで柔らかな印象を受ける笄川。それは10代からソングライターとして活動し、後にはロック史に残るアコースティックアルバム『つづれおり』をはじめ、自ら歌手としても活躍したロック界きっての才媛、キャロル・キングのイメージと重なります。
※笄川は渋谷川系ではなく、ぎりぎり「古川系」と呼んで区別できるだろう、という苦肉の解釈で渋谷川とは別に掲載しました。

↓西麻布交差点付近で根津美術館からの支流と合流する。2つの道が並走する奇妙な光景がたまらない。
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↓笄小学校西交差点から見たところ。明らかに谷になっていることが分かる。
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↓天現寺橋の開口部。斜めにズバッと本流に差し込んでくる角度が素晴らしい。

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■暗渠界のスミス:弦巻川



 雑司ヶ谷という東京屈指のカルト的カオス的エリアを流れるのが弦巻川。鬼子母神に法明寺(その裏には知る人ぞ知るカルトスポット威光稲荷)、東京音楽大学、そして昔ながらの雰囲気が漂う弦巻通り商店街と、雑司ヶ谷ならではのレトロで耽美な流路沿いの景色が、この暗渠の特徴です。
 ですが同時に、流路は基本的に日当たりが悪いため、時間が止まったようなひんやりとした印象も受けます。美しさと同時に孤独の冷たさをも感じさせる高級貴族のような雰囲気は、誇り高き孤高のバンド、スミスを思わずにはいられません。

↓東京音楽大学前の流路。この交差点を右に曲がれば鬼子母神が見える。
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↓弦巻通り商店街。昔ながらのパン屋や喫茶店が立ち並ぶ。
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↓日本女子大泉心寮の前。壁一面に広がる蔦がこちらを見下ろしてくる。

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■暗渠界の大滝詠一:前谷津川



 板橋区を南北に縦断し新河岸川にそそぐ前谷津川は、途中でガラリと表情を変える「二面性」の暗渠です。
 高島平から徳丸にかけての中流〜下流部は、桜をはじめさまざまな草花が植えられた遊歩道になっていて、田柄川のような開放感のあるのどかな風景が楽しめます。しかし、新大宮バイパスを境に西側、上流部へ向かうと風景は一変。流路は細く、家と家の隙間を縫うようなスリル感のある暗渠に変わります。中でも赤塚1丁目を水源とする支流では、流路の細さだけでなく、住宅地に紛れた10m級の崖の高低差を見ることができます。
 キャリアの序盤(上流)はアバンギャルドでヒップなのに、後半(下流)になると圧倒的なポップネスと気品を放つ。これって誰かに似てるなあと思ったら、大滝詠一でした。70年代はプライベートレーベルであるナイアガラレコードを拠点にCMソングやラジオDJ、さらには音頭の追求とマニアックな道を究めたかと思うと、80年代に入った途端『Long Vacation』『Each Time』というポップスの極致のようなモンスターアルバムを作って大ヒットさせた彼を彷彿とさせます。

↓板橋区赤塚1丁目からの支流では激しい高低差を感じることができる。
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↓板橋区四葉1丁目の水車公園。鬱蒼とした木々に囲まれ実に怪しい雰囲気を放つ。
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↓高島平付近では穏やかな散歩道として整備されている。

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■暗渠界のビョーク:百々女木川



 23区でもっとも北西を流れる、珍しい白子川水系の暗渠である百々女木川(すずめきがわ)。「百々向川」と書く場合もありますが、その色気のある川の名前とも相まって、ひときわミステリアスな印象を与える暗渠でもあります。
 23区の隅っこということで、知名度は一段落ちますが、見どころはたくさんあります。というのも、百々女木川が流れる板橋区の成増は都内でも有数の峡谷地帯(キャニオン)。なかでも東武東上線の成増駅の北側、成増3丁目付近の深い谷は絶景です。ちなみに、百々女木川とかつての白子川(旧白子川緑道)との合流点近くには、ポテトチップスで有名な湖池屋の本社があります。
 他の暗渠とは異なるグループに属し、異なる文化を持つ、ミステリアスなオルタナ暗渠。百々女木川は暗渠界のビョーク以外には考えられません。

↓板橋区赤塚新町3丁目。水源地付近の流路は強烈に細い。
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↓眼下に広がる「成増峡谷」。すぐ右側に崖が迫っている。
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↓板橋区成増3丁目で旧白子川緑道に合流する。

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■暗渠界のCCR:東大下水



 都営三田線千石駅近辺に水源地を持ち、本郷台地をなぞるようにして白山通りの西片交差点あたりまで流れる東大下水。距離は短いながらも、崖際のひんやりした空気やそそりたつ本郷台地の迫力など、暗渠ならではの魅力を味わえます。本郷三丁目付近から菊坂に沿って流れる支流もあり、そちらの流路沿いには樋口一葉宅をはじめ古い木造建築が数多く立ち並び、タイムマシン的暗渠ビューを楽しむことができます。
 しかし、この暗渠で特筆すべきは、なんといってもその呼び名でしょう。ほとんどの人が「とうだいげすい」と読むはずです(実際、東京大学の下を流れているし)。ところが、正解は「ひがしおおげすい」。この語呂の悪さと、言葉をどこで切ればいいのかわからない不思議さ(しかも「げすい」といいながら別に「下水道」というわけじゃない)は、クリーデンス・クリアウォーター・リバイバルを思い起こさせます。両者とも語呂が悪いだけで暗渠/バンドとしては申し分なしという点も似ています。

↓都営三田線白山駅の近く。崖際ということがわかる高低差。
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↓菊坂支流は階段・路地・古い木造住宅が揃う夢のような場所。
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↓暗渠イストには有名な樋口一葉旧宅と路地の井戸。

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■暗渠界のデヴィッド・ボウイ:エンガ堀



 ここ2年ほど僕がホームグラウンドにしているのが、このエンガ堀。2週間に1回は走ってると思います。
 この暗渠の何が面白いかというと、水源地の数。石神井川との合流口から、もっとも遠い水源地でもせいぜい3km程度という狭いエリアの中に、僕が把握してるだけでも7か所の水源地があります。水源地が多いということはつまり、それだけ支流が多いということです。エンガ堀自体が石神井川の支流にあたるわけですから、いわば支流の支流みたいな細い流路が、まるで蜘蛛の巣のように張り巡らされているわけです。しかもその流路のほとんどが家と家の間を縫う、「え?ここ行けるの?」みたいな細い路地なので、迷路のようなスリル感と他人のプライバシー空間に踏み込むような背徳感とを味わえます。
 表情が多彩過ぎて容易に全貌がつかめない、摩訶不思議なエンガ堀は、ロック界を代表するトリックスター、デヴィッド・ボウイと呼ぶにふさわしい暗渠です。

↓江古田駅北口の市場通り商店会を水源とする流路。うっすら「水路」の文字が。
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↓豊島区立さくら小学校裏の流路。苔むし方がたまらない。
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↓板橋区大谷口2丁目緑地付近。人の家の庭に上がり込むような背徳感を味わえる。

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■暗渠界のオアシス:石神井川豊島弁財天支流と桜台支流



 石神井川の中流部で、わずか1km足らずの距離を挟んで、ほぼ同じ距離、同じ方角に流れる、まるで兄弟のような2つの暗渠があります。この暗渠、『川の地名辞典』にもどこにも名前が載っていません。水源地にちなんでここでは仮に、下流側を桜台支流、上流側を豊島弁財天支流と呼びます。
 この2本の暗渠、「兄弟のよう」と書きましたが、性格は対照的です。桜台支流は、「流路」マークや車止めといったわかりやすい小道具に溢れ、「これぞ暗渠!」というような華やかさや育ちの良さを感じさせます。
 一方、豊島弁財天支流の方は、流路のほとんどが日陰にあたり、道のあちこちが苔に覆われていて、ダークでひねくれた印象。特に水源地近くの行き止まり部分の苔むし方と、その頭上に怪しく鎮座する豊島弁財天の存在感は、都内の暗渠の中でも屈指の不気味さです。
 兄弟でありながら性格は正反対で、愛憎半ばといったところ。この緊張感はオアシスのギャラガー兄弟とうり二つです。ちなみに、桜台支流からさらに800mほど下流に行くと、もう1本暗渠があります(千川上水からの分水)。これを加えた3本セットで「暗渠界のロネッツ」とする説もあります。

↓桜台支流の上流部。くっきりと「水路」の文字が残る。
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↓桜台支流の下流部。階段と車止めという暗渠フラグ2点セット。
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↓豊島弁財天支流の流路は至るところが苔むしていて、雨が降ると滑る。
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↓豊島弁財天支流の水源地。正面壁の上に見える屋根が豊島弁財天。

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■暗渠界のバディ・ホリー:稲付川



 そこが暗渠であることを識別できるのは、かろうじて周囲のわずかな傾斜と道のカーブだけ。車止めや不自然な縁石といった定番ともいえる暗渠フラグはほとんど見られません。稲付川は流路のほとんどが一般の道と同化しているため、ただ通っただけでは気づかない、実に控えめな暗渠です。東京でも指折りの大峡谷地帯、赤羽を流れるエリート暗渠でありながら、本人は決して自己主張しません。「俺、赤羽の暗渠だぜ」などといえば、女の子の一人や二人はどうにかできそうなのに、決してそんな真似はしない、ミスター・デリカシーな暗渠
 このあまりのフツーっぷりに、僕はロック草創期の巨人、バディ・ホリーを重ね合せます。ボヘミアンズの平田ぱんだコラムで書いていましたが、バディ・ホリーの最大の功績は「メガネをかけたこと」でした。ロックバンドよりも郵便局の事務員の方が似合いそうなフツーの風貌のバディ・ホリー。しかしその風貌が「エルビス・プレスリーやリトル・リチャードにはなれそうもないけど、バディ・ホリーにはなれるかも」と夢を抱くフォロワー(例えばジョン・レノン)を生み出し、その後のロック隆盛のきっかけを作ったのです。僕も、地図や本の助けを借りず、地形と道の曲がり具合だけを頼りに、この稲付川の暗渠を発見したときは、「君もやれる!」と背中をポンと押されたような気持ちになったものです。

↓姥ケ橋交差点の南側にわずかに残る川跡。
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↓環七通りの姥ケ橋交差点から流路を見下ろす。高低差はかなりのもの。
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↓北区上十条の流路。道のカーブ具合と段差がかろうじて暗渠であることを匂わせる。

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■暗渠界のニューヨーク・ドールズ:逆川



 石神井川にまたがる王子の音無橋は千川上水や上郷用水、音無川などが合流、分水する河川の一大ターミナルですが、その中の一つに北区西ヶ原から流れる逆川があります。流路はわずかに1kmちょっとと「川」と呼ぶにはあまりに短命ですが、その中でもしっかりとした高低差や道のうねり、都電荒川線の横断と、暗渠らしいポップネスが詰まっています。周囲の川が東南方向へ流れるなかで、この川だけが北西方向へと逆向きに流れるところから「さかさがわ」と名付けられたという点からも、自己主張の激しい川であることがうかがえます。
 水源の西ヶ原4丁目には藍染川の水源もあります。うっかりすると同じ川だと勘違いしてしまいそうなほどの近さです。実は江戸時代以前、石神井川は今のように東の隅田川には流れず、藍染川と接続して南東方向へと流れていました。このこと考えると、実はこの逆川こそ、現石神井川と藍染川をつなぐ古石神井川の流路跡なんじゃないかと僕は睨んでいます。
 知名度は高くなく、あっという間に消えてしまう逆川。だけど、実は異なる2つの川をつなぐ、歴史上重要な役割を果たした川だった(かもしれない)。まるで、ピストルズもラモーンズもいない1973年に登場し、パンクムーブメントの火付け役となったニューヨーク・ドールズのようです。ドールズは2枚のアルバムだけを作って解散してしまいますが、彼らの残した音楽は、ロックンロールとパンクの間をつなぐ架け橋の役割を果たしました。

↓滝野川1丁目で都電荒川線を超える。
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↓明治通りから見ると高低差がわかる。
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↓音無橋からわずかに見える逆川(と思われる)の開口部※黄色矢印

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 以上、計15本の暗渠をロックミュージシャンにたとえてみました。僕が普段メインフィールドとしている23区西北部が多めなので、地域にだいぶ偏りがあるのはご容赦ください。また、貼り付けている地図も一部を除いて分水や支流は端折りました。ハードコアな暗渠イストには怒られるかもしれません。

 この記事を書くにあたり、主に地図作りの面で参考にさせてもらったのは以下の書籍です。どちらも僕にとってはバイブルというべき本で、何度読んだか知れません。僕は2冊とも墓場まで持っていくつもりです。







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世界一のランニングコースは(多分)ここだ

今年のGWはアメリカのボストンに1週間ほど滞在してきました。
今回の旅の目的の一つは、ボストンの街を「走る」こと。
実は、ボストンには昔ちょっとだけ住んでたことがあるのですが、
ランニングを始めてから訪れるのは初めてだったので、是非とも走ってみたかったのです。
走ってみると、観光地や名所といった「表側」からは感じられない、
その土地の普段の空気みたいなものに触れられるような気がするので、
ボストンを新鮮に、かつ身近に感じられるようになるんじゃないかと思ったのです。

今回僕が走ったのは、街の真ん中を流れるチャールズ川の川沿いにある遊歩道。
泊まったホテルがちょうどBoston University Bridgeという橋のたもとにあったので、
そこから河口に向かって走って折り返してくる、10km弱のコースです。


逆の上流方向へ向かうとか(1,2km遡るとハーバード大があります)、
街の中を走るとか、他の選択肢もあったのですが、
結局僕は滞在中毎朝このコースを走りました。
というのも、このランニングコースがあまりに素晴らしかったからです。



理由その1:道がフラット

川沿いなんだから当然と言えば当然なのですが、
それにしても徹底的に道が平坦です。
アップダウンがほぼゼロなので、猛烈に走りやすい。
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おまけに道がきれいに整備されています。
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街中の歩道は(向こうは石畳やレンガ敷きなので)場所によってはデコボコしてるのですが、
公園や川沿いの、歩行者やランナー専用の道はかなり手間がかけられています。
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理由その2:信号がない

10km弱のコースの中で、信号はわずか1か所
(しかも向こうは歩行者がガンガン信号無視するので実質ゼロといってもいい)
車道(つまり橋)を横切る場所は他にもあるのですが、
それらは全て歩道が橋の下をくぐる作りになっているので問題なし。
おかげで、信号で止まったり、手前でスピードを調節したりする必要なく、
ひたすら自分のペースで走り続けることができます。

また、そもそも遊歩道と車道とが基本的に離れているので、
自動車の排気ガスや音にも煩わされることがありません。



理由その3:景色がきれい

このコースを気に入った一番の理由がこれ。
景色が本当にきれいでした。


写真中央の背の高いビルがプルデンシャル・ビル
左端のガラス張りの背の高いビルがジョン・ハンコック・タワー
この2つのビルをセットにした光景は、ボストンの絵葉書などでもよく使われます。
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南側の岸から北側を望んだところ。
左奥に見えるドームはマサチューセッツ工科大です。
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木も多くて、ちょうど僕がいたときは、桜が見ごろを迎えていました。
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日本だと川沿いは護岸工事がされていたり、
歩道と岸との間に草が群生していて川面が全く見えなかったりするのですが、
チャールズ川沿いの歩道はほとんどが岸のすぐ横を走ることができます。
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ところどころに桟橋があって、気軽に誰でも降りることができます。
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川の流れを直に感じながらの小休止は、とてもぜいたくです。
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日本でも、川沿いの道であれば理由の1や2を見たす場所はあります。
けれど、いかんせん日本の川沿いのほとんどは、景色がつまらない。
川沿いの広い土地は利用の仕方が限られているので、
団地とか工場とか、パターンが決まっています(しかもどれも景色として面白くない)。
代わり映えのしない景色の中を走ることは、すぐさま「飽き」を生み、
たちまち忍耐苦行的な辛いランニングを余儀なくされるのです。

そして、日本の川沿いの景色がつまらないと感じる最大の原因は、緑が少ないからです。
荒川や多摩川沿いなんて、野放図に伸びきった「草」しか見えません。
神田川や目黒川は桜が植えられていますが、
逆にこれらの中級都市河川は途中に何度も幹線道路に分断されるので、
上記「理由その2」の条件を満たしません。

郊外の大型公園などに足を運べば緑の多いランニングコースもありますが、
こうした場所は1周が2kmとか、せいぜい5kmとかで、
10km以上もの距離のあるぜいたくなコースというのはほとんどありません。
とにかく、日本でこれらの3つの条件を満たすランニングコースを探すのはとても難しい。
僕が知ってる限りだと、京都の鴨川くらいじゃないでしょうか。

チャールズ川のほとりはリスがたくさんいたり、
※真ん中やや左側にリスのモワッとした尻尾が見えます。
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雁が歩いてたり、軽くワイルドです。
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僕が走ってた早朝の時間帯(6時半〜7時半くらい)は、
ボストン大学のボート部が朝練をしていて、とても気持ちよさそうでした。
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にしても、なぜボストンは、市内のど真ん中に、
理想的といってもいいほど素晴らしいランニングコースを持っているのでしょうか。
写真には撮らなかったけど、一定間隔で水飲み場も置いてあって、つくづく手厚いです。
ちなみに、郊外に行くと、あちこちに大きな池(pond)があるんですが、
その周りにも同じように遊歩道が整備されている光景を目にしました。

走る場所にはまったく困らない街、ボストン。
この街が世界最古の市民マラソン大会を持っていることと
やっぱり無縁ではないのでしょうか。

ちなみに、ボストンの早朝ランナーは、ものすごく速かったです。
フツーにキロ4分半くらいのスピードで流しててびっくりしました。
そして、週末になると早朝ランナーの数が激減します。
僕なんかはむしろ週末になると「さあ走るぞ!」と思うんだけど、
こっちの人はランニングも仕事と同じように週末は休むもの、と考えてるんでしょうか。
日本といろいろ勝手が違っていて面白かったです。

走るためだけに行くのでも十分価値があると思います。
というか生きている間に何度でも走りたい街でした、ボストン。
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花見ランニング2013 〜皇居と神田川の桜のある景色

走り始めてから2回目の桜の季節。
昨年に引き続き、今年も花見ランをしてきました。

昨年は石神井川に白子川と川べりを中心に走ったので、
今年は趣向を変えて内陸(?)を走ることにしました。
目指すは皇居。
皇居って桜咲いてるんだろうか?
実はよく知らないんですが、
でも、なんとなく咲いてそうな雰囲気はあります。
そうであることを祈りつつ、また途中の道々でも桜に出会えることを期待しつつ、
夜明け前に家を出ました。


◆小石川〜市ヶ谷

この日1本目の桜を発見したのは文京区小石川。
簸川(ひかわ)神社の境内に桜を発見しました。
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続いて小石川の植物園。
暗くて見えづらいのですが(なにせ朝5時半)、
園内にちらほらと桜が見えます。
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小石川から春日、後楽園を抜けて、飯田橋へ。
飯田橋の歩道橋から市ヶ谷方向へ目をやると、
外堀通り沿いの桜並木が見えました。
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早速外堀通りを走ります。
歩道まで張り出した桜の下をくぐりながら、市ヶ谷方面へ。
徐々に日が昇ってきて、明るくなってきました。
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途中で西岸(新宿側)から東岸(皇居側)へ移動。
東岸側の外濠公園も桜が満開。
あちこちにはブルーシートが敷かれ、
会社の花見の準備なのか、
新入社員と思しき若い男性が、
既にこの時間(朝6時前)から場所取りをしてました。
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公園から対岸を眺めるとこんな感じ。
このあたりは中央線(総武線)の車窓からもきれいな桜を眺められそう。
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市ヶ谷からは靖国通りを九段下方面へ。
この通りも桜並木になってます。
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靖国神社の境内も桜が満開のよう。
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◆皇居へ

内堀通りへ入り、いよいよ皇居へ。
千鳥ヶ淵の交差点から英国大使館前の桜が見えます。
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千鳥が淵公園の桜は初めて。
さすがに有名な花見スポットだけあって、
さながら桜の回廊です。
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半蔵門を通り過ぎると右手に見えてきた、
国立劇場前の桜。
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う〜ん……、なんか……、
期待したほど桜がない。
すごかったのは千鳥ヶ淵だけで、
他はこんな感じでちょびっとずつしか桜がありません。
(三宅坂交差点の手前。お堀端にぴょこんと飛び出た桜の木)
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結局竹橋まで皇居の周りを3/4周くらいしたものの、
ほとんど桜を目にすることはできませんでした。


◆本郷〜駒込

その後、御茶ノ水へ抜けて本郷通りへ出て、
東大の敷地沿いを走ったのですが、
ここもアテが外れてほとんど桜は見られず。

ようやく「おっ!」と桜が見られたのは、
なんと駒込を抜けて染井霊園まで来たところ。
皇居からゆうに30分は走った後のことでした。
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結局、これでこの日の花見ランは終了。
去年に比べるとほとんど桜を見られず、
完全なる消化不良感……。


◆神田川
そこで翌日、リベンジをすることにしました。
目指したのは神田川。
同じように早朝に家を出て、
雑司ヶ谷を下ってみると……


すごい!
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上は面影橋から高田馬場方向を眺めた風景。

同じく面影橋から江戸川橋方向を向いてみると、こちらも見事。
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なんとまあ素晴らしい桜の景色でしょう。
昨年の石神井川といい、
やはり川沿いは絶好の桜スポットなんですね。

いや〜、本当に気持ちのいいラン。
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椿山荘が見えてきました。
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途中、江戸川公園の桜の下にテーブルを持ち込んで、
そこでジャラジャラ麻雀をしている男性4人組を見ました。
桜の下で徹マン!その発想はなかった!
すげえ楽しそう(笑)!


◆雑司ヶ谷〜大塚

その後は江戸川橋から目白台へ上がり、
雑司ヶ谷、池袋、大塚と走りました。

途中で見つけた桜スポットは、
南池袋の法明寺。
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川と桜も似合うけど、
寺社仏閣と桜もいい組み合わせ。
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大塚では、荒川線と桜の組み合わせを写真に収める。
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というわけで今年の花見ランはこれで終了です。
去年と今年の花見ランでわかったのは、
桜を見るなら「川」が狙い目だということ。
市街地はまとまった桜が少ないし、公園はよほど早朝に行かないと花見客で混んでいる。
そう考えると、川沿いはだいたい桜がびっしり植えられているし、
公道で見物客も滞留しないから、
桜を楽しむには理想的といっていいんじゃないでしょうか。

どうでもいいですけど、ちょうどこの花見ランをした土日は、
以前書いた、フルマラソンを棄権した週末だったんですが、
結局花見ランのせいで2日で40キロくらい走ってました。
意味ねえじゃん(笑)!




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2012年の思い出「京都ラン」

久しぶりの更新になってしまいました。
気付けば(本当に「気が付いたら」という感じで)、2012年も今日が最後になっちゃいました。

今年はたくさん走った1年でした。
記録を見ると、今年1年間の走行距離は1382キロ。
決していばれるほどの数字ではないんですけど、
去年の夏にランニングを始めた時にはわずか2〜3キロでヒイヒイ言っていたことを思えば、
我ながら「よくやった!」という気分です。

いろんなコースを走ったのですが、
中でも記憶に残っているのは、7月に走った「京都ラン」。
旅先の土地を走ることを「旅ラン」なんていう風に呼びますが、
もし自分が「旅ラン」をするなら大好きな京都がいいなあ…
…なんてことを考えていたら、思いがけず仕事の都合で京都に1泊することに!
なんと、初めての「旅ラン」でいきなり夢が叶ったのでした。
というわけで今回は、その時の写真を紹介します。
(走りながら撮ってたので、ブレてるところはご容赦ください…)


スタートは、ホテル正面の京都駅八条口。
時間は4時半。夏の京都のすさまじい暑さを少しでも避けようと早起きしました。
でも、既に気温は25℃近くあります。
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線路を越えて七条まで上がり、そこから鴨川に出て川べりに降りました。
前日に大雨が降ったので水かさが増していました。川面には薄く靄がかかっています。
鴨川の水が暑さを吸っているようで、川べりの道は冷んやりしていました。
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五条通りに差し掛かったところで川から上がり(再びムッとする暑さ!)、
今度は祇園の路地を走ります。
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日中は観光客でごった返す祇園も、さすがに5時前だと誰もいません。
贅沢に祇園を独り占め。
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さらに北上。白川に当たったところで今度は向きを東に変えます。
白川沿いの景色はいいですね。
こういう景色は東京ではなかなか見れません。
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岡崎に出て平安神宮の大きな鳥居をくぐります。
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さらに東へ走り、南禅寺の北端に沿って進むと、もう道は東山の中へ。坂道をぐいぐい登ります。

そして、やって来ました「哲学の道」。
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実は、今回の「京都ラン」の一番の目的は、この哲学の道沿いを走ることでした。
この道沿いの雰囲気、いいですよね。
小学4年生の時に祖父に連れられて初めて訪れて以来、京都に来るたびに必ず歩く道です。
今回は南から北へ北上するコース。
そういえば、南端にある若王子神社の近くには、あの梅原猛先生が住んでるんですよね。

哲学の道は、端から端まで歩いてもわずか1.5キロほどしかありません。
走ってしまうとあっという間に北端に着いてしまいました。この道を登れば銀閣寺があります。
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ここで折り返し。もう帰り道です。今出川通を西へ。
京都大学を左手に見ながらサクサク進み、出町柳から再び鴨川に降ります。
この頃には太陽も高くなり、ようやく人影が見えるようになりました。
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鴨川沿いを四条まで下り、そこからは一本内側へ移って高瀬川沿いの木屋町通を走りました。
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三条から四条にかけての木屋町通というと飲み屋の立ち並ぶ繁華街というイメージですが、
四条よりも南に下ると風景は一変し、緑の多い住宅街になります。
高瀬川の流れも心なしか細く、静かに見えます。
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そのまま塩小路通まで下り、右に折れればもう京都タワーが目の前。
ゴールの京都駅に帰ってきました。
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走行距離は15.75キロ。
こんな感じのルートを走りました。
京都ラン1

拡大図その1
京都ラン2

その2
京都ラン3

その3
京都ラン4


初めての京都ランは、とにかく暑かった!
でも、人がまったくいない祇園や東山界隈を、自分の足音と水の音だけ聞きながら走るのは、
なんともいえない幸福感がありました。
まるで、京都の町を独り占めしているかのようで、
ランナーズハイとはまた少し違う恍惚感を味わいました。

ちなみに、人生というのはよくできてるもので、
早朝に最高に幸せな気分を味わったこの日の夕方、財布を落としました。
「幸福と不幸は同じ数だけやってくる」という格言が脳裏に浮かんだのは言うまでもありません。
(ちなみに財布は後日、お金を抜き取られた状態で見つかりました)。


みなさま、よいお年を!




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花見ランニング2012 〜板橋・練馬の桜のある景色

ランニングを始めてから初めて迎える桜の季節。
ということで、この週末はいつものコースから一歩外れて、
桜がたくさん見られる場所を走ってきました。

まず選んだのは、田柄川緑道。
「田柄川」というのは、
かつて練馬区から板橋区にかけて流れていた一級河川です。
現在は暗渠化されて、緑の多い散歩道になっています。
練馬区の光が丘から板橋区の城北中央公園まで、
うねうねと住宅街の中を蛇行する道筋は、
いかにも「昔は川だった」という感じ。

桜並木になっているのは、全長約5キロある田柄川緑道の、ちょうど真ん中あたり。
練馬区北町の自衛隊駐屯地の北側にある、約1キロの区間です。
こんな具合の細い桜並木が続きます
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地元民しか知らない隠れた桜の名所で、
この季節は花見用に提灯が提げられています。
(個人的には興ざめだから提灯は止めてほしい・・・)
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田柄川緑道の終点、城北中央公園は、
石神井川に隣接する大きな都立公園です。
(かつて田柄川は、ここで石神井川に注いでいたそうです)

石神井川の桜は見事。
川沿いの道に、満開の桜が延々と続いています。
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「桜と川(水)」って絵になる組み合わせですよね。
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裏側から見ると、枝を水面に届くくらいまで、
思い切り下に伸ばしているのがわかります。
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僕が走ったのは朝の6時台だったんですけど、
けっこう人がいました。
地元の人でしょうか。
家の近くにこんな桜の名所があるなんて羨ましいですね。
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続いては松月院。
板橋区の赤塚にある曹洞宗の寺院です。
15世紀末(室町の終わり頃)に建てられた由緒あるお寺で、
なんとあの高島秋帆さん(江戸後期の砲術家で「高島平」という地名の由来にもなった)が
荒川河川敷での砲術稽古の際に本陣にしたこともあるそうです。
門と桜の組み合わせが美しい。
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板橋区というのは、南半分が武蔵野台地、北半分が荒川の洪積低地になっていて、
23区の中でも有数の高低差のある地域です。
上の松月院は、武蔵野台地の一番北側。
そこから北に向かって下りていくと、赤塚溜池公園という小さな公園があります。
このあたりは武蔵野台地が深く切り込んだ崖のようになっていて、
公園とは名ばかりに、あまり日当たりがよくありません(笑)。
そのせいか、桜もまだ五分、七分咲きといったところ。
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この写真の左側の崖(丘陵)の上には、
かつて「赤塚城」という名の城があり、
小田原の北条氏の家臣だった千葉氏が住んでいたそう。
今は城址公園になっています。



首都高速5号線を渡れば、高島平エリア。
東京の北の端、閑静な住宅街が広がっています。
以前、このあたりには7つもの小学校があったそうですが、
少子高齢化で何校かは統廃合されました。
そのうちの一つ、旧高島平第七小学校の前の桜並木。
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校舎もグラウンドもまだ健在ですが、
ゆくゆくは取り壊されて、高齢者向けの福祉センターに生まれ変わるそうです。



都営三田線の終点、西高島平駅のさらに少し西側、
あと一歩で埼玉県和光市に入るギリギリの所を流れているのが、
荒川水系の一級河川、白子川(しらこがわ)です。
東京23区を流れる川の中で、おそらく最も地味な川なんじゃないかと思います(笑)。

でも、この白子川。桜は見事です。
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桜が見られるのはごく限られた区間だけですが、
桜の枝ぶりといい、歩道のサイズ感といい、
心地のいい花見コースです。
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ちなみにこの白子川は、かつては今よりもやや東側を流れていたそうです。
その旧白子川沿いは現在、緑道になっていて、
やはり桜がきれい。
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暗くて少し見えづらいですが、
歩道の左側には水路があります。
これが、かつての旧白子川。
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このあたりは旧白子川の支流・分流がたくさん流れていた場所で、
一部暗渠化されたところもありますが、
歩道脇の水路など、小さな形に姿を変えて、今も流れを絶やさずにいます。
(参考資料:東京の河川・白子川分流http://kasen.info/view/161.html




この週末、あちこち走ってみて改めて思いました。
日本って桜だらけなんですね。
僕の自宅から半径4〜5キロに的を絞っても、上記の通りです。
「え、この木って桜だったの?」
そんな驚きの連続。

でも、これらの景色はせいぜい来週いっぱいくらいまでしか見られないわけで。
儚いですよねえ・・・。
なんだか年々、感情移入が深まる気がします。

隅田川とか上野とか、有名な花見スポットもいいけれど、
僕はどちらかといえば、家の近所に咲いてる無名の桜の方が好きだなあ。
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