Sgt. Pepper




聴くほどに味わいが増す
ビートルズ中期の傑作


ビートルズが1967年に発表したアルバム。
花畑のような場所で、宮廷楽団のような衣装を着た4人が、
古今東西の有名人の蝋人形に囲まれているジャケットはあまりに有名。
 
この『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』は、
4人が「サージェント・ペッパーズ・ロンリーハーツクラブバンド」という架空のバンドに扮し、
彼らが一夜限りで行ったショー、という設定で作られている。

ポールが「May I introduce to you“Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band”!」と
自己紹介するタイトル曲から始まり、
その後10曲の“ショー”を経て、アンコールがあり、
最後に<A Day In The Life>という壮大な曲で締め括られる。
ビートルズのアルバムのなかでも、もっともコンセプチュアルな1枚。
 
現在ではこういったコンセプト主導のアルバムなど珍しくもないけれど
(例えば以前紹介したアジカンの『サーフブンガクカマクラ』のように)、
当時はこの方法論は画期的だったらしい。
アルバムの制作期間はせいぜい1ヶ月が相場だった当時、
ビートルズはこの1枚を作るために4ヶ月を費やした。
そうして出来上がったこのアルバムは、バンド史上最高傑作というだけに止まらず、
半世紀に及ぶロック史のなかで最も高い評価を得ることになる。
雑誌等で“ロックの名盤ランキング”的な企画をすれば、このアルバムが大体1位になる。

しかし、そういった予備知識なく聴いてみても、
この『Sgt.Pepper〜』は素晴らしい。
特に、アルバムを通して物語のような一貫性が強く感じられる点において、
前作『REVOLVER』までとは一線を画しており、
全13曲、計40分全てをまとめて1曲であるかのような、
うねりのような感覚が味わえる。
これが『Sgt.Pepper〜』を聴くうえでの醍醐味だ。

冒頭からラストまで、緻密に構成された曲順が素晴らしい。
1曲目のアウトロから2曲目の<With The Little Help From My Friends>のイントロは切れ目なくつながっている。
ポールのシャウトからコーラスを経て、「次はどうなるんだ?」と期待させておいて、
絶妙すぎるほど絶妙なリンゴのボーカルの入り。
続く<Lucy In The Sky With Diamonds>でカタルシスを感じた後は、
<Getting Better><Fixing A Hole>と少しコミカルになって肩の力が抜け、
<She’s Leaving Home>で今度はグッと切ない気持ちにさせられる。
このような緩急がラストに至るまで周到に計算され、制作されている。

僕は何百回と聴いているけれど、
う〜ん、まったく飽きない。
飽きるどころか、聴くたびに表情が変わるので、何度も聴かなければ“追いつかない”ような気さえする。
今夜聴く『Sgt.Pepper〜』と、明日の朝聴く『Sgt.Pepper〜』とでは手触りが違うのだ。
聴く者とともに生きているかのようなこの感じが、
ビートルズの凄さでありこのアルバムが名盤と呼ばれる所以である。

ありとあらゆるところで語りつくされているアルバムなので、
今更感想を書くことなど野暮なのかもしれないが、
兎にも角にも、無人島に行くならぜひとも携えたい1枚である。


このアルバムをリリースした頃は、ビートルズはすでにライヴ活動を止めた後なので、
本人たちが演奏している映像はない。なので代わりのものを紹介。

『Sgt.Pepper〜』リリース40周年記念アルバムより、トラヴィスの<Lovely Rita>。
他にもレイザーライトやオアシス、ステレオフォニックスなんかが参加しているのだけど、
みんなとことんオリジナルに忠実にカバーしています







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