
もうすぐ梅雨ですね…。
大滝詠一のラジオ番組『Go Go Niagara』で以前「タイトルに“Blue”がつく曲特集」というのがありましたが、それをまねて、今回は「タイトルに“Rain”がつく曲特集」っていうのをやってみたいと思います。
“Rain”が付く曲、めちゃくちゃあります。古今東西の楽曲の、タイトルに使われている単語ランキングというものがあったら、相当上位にランクインするんじゃないでしょうか。到底、全部の曲なんか聴けないので、対象は「僕のiPhoneに入っている曲」に絞らせてもらいます。iPhoneのミュージックで「Rain」で検索して引っかかった曲のなかから10曲選んでみました。
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<Singin’ in the Rain>
Frankie Vaughan
この曲は外せないでしょう!「“Rain”が付く曲」のなかでもクラシック中のクラシック。オリジナルは1929年というから90年も前の曲になります。1952年にミュージカル映画でジーン・ケリーが歌うシーンがあまりに有名ですね。僕がもってるのは、イギリス人男性歌手のフランキー・ヴォーガンが85年にカバーしたもの。この曲聴いてると、うっとうしい雨も楽しく思えてきます。
<Raindrops Keep Falling On My Head>
B. J. Thomas
続いてこちらもクラシック。69年10月リリースで 全米1位を獲得したこの曲は、映画『明日に向かって撃て』の挿入歌で有名です。あの映画のポール・ニューマン、めちゃくちゃ好きです。ちょっとボブ・ディランに似てる。
曲を書いたのはハル・デイヴィッドとバート・バカラックの黄金コンビ。バカラックの曲って「わかってても泣いちゃう」みたいなところがありますよね。いずれ止むのだからこの雨を静かに眺めていよう、というような穏やかな気持ちになれる1曲。
<Buckets Of Rain>
Bob Dylan
75年にリリースされた、ボブ・ディランのキャリアのなかでも特に人気の高いアルバム『Blood On The Tracks(血の轍)』に収録されている1曲。
冒頭の歌詞が「Buckets Of Rain, Buckets Of Tears」とあり、この曲は雨を悲しいものと描いているようですが、歌全体を見ると、何年も連れ添った夫婦のような日常的でささやかな愛を歌っているように思えます。ちょうどこの時期にディラン自身が離婚したってことが頭にあるからかもしれませんが、なんとなくそう感じます(ディランの歌詞は難しいので正解はわかりませんが)。
<So. Central Rain>
R.E.M.
世界でもっとも愛するバンドの一つ、R.E.M. が84年にリリースした2nd『Reckoning』に収録されている曲。タイトルに「Rain」とついていますが、実は歌詞のなかには一度も「Rain」は出てきません。
そして、何度も繰り返される印象的な「I'm Sorry」。なぜ「I'm Sorry」なのか、何を懺悔しているのかは歌詞には明快に書かれてはいません。ただ、その哀切な響きは、意味というものを超えてたまらなくセンチメンタルな気分にさせます。
<The Rain, the Park & Other Things>
The Cowsills
米ロングアイランドのカウシル家の家族で結成されたファミリーバンド、カウシルズが67年にリリースし、全米2位まで上がったグループ最大のヒット曲。邦題は<雨に消えた初恋>。
この曲は、一編の物語になっています。雨のなか、髪に花飾りをした女の子に出会って主人公は一目ぼれをするんだけど、雨が上がって太陽が顔を出すと彼女は幻のように消えてしまう…というストーリー。詳しくは実際の歌詞を読んでほしいのですが、薄暗い雨が周囲の風景を目隠しするなかで、少女の花飾りだけが鮮やかに目に飛び込んでくるような、映像的なイメージを湧かせる曲です。雨のもつ幻想性みたいなものを巧みに描いた名曲だと思います。
<She Brings The Rain>
Can
クラウト・ロックの先駆者、カンが70年にリリースしたアルバム『Soundtracks』のなかの1曲。
これも不思議な曲ですね。基本的に1つのヴァースを延々繰り返し、必ず毎回「She brings the rain」という歌詞で締めるというだけの曲なのですが、「Rain」という言葉が聴くたびにいろいろなイメージを生むので、不思議な中毒性があります。
<Summer Rain>
Star Tropics
今回挙げた10曲のなかではもっとも新しい曲。シカゴの4人組スター・トロピックスが2015年にリリースした曲で、17年の彼らの1stアルバム『Lost World』にも収録されました。
「Summer Rain」というタイトルをもつ曲は世の中にたくさんありますが(僕のiPhoneにもほかにパステルズとハイ・ヘイゼルズがいる)、この言葉のもつイメージとサウンドの組み合わせとしては、僕はこの曲が一番だと思います。なんでこのバンドがもっと売れないのかいつも不思議。ちなみにこの曲のシングルでB面に入ってる<Swept Away>という曲も名曲です。
<I Wish It Would Rain All Summer>
Jo Ann Campbell
アメリカの女性歌手、ジョー・アン・キャンベルが62年にリリースした曲。エリー・グリニッチとトニー・パワーのコンビで作られています。チャートアクションは不明なのですが、同じ年に彼女の最大のヒット曲<I'm the Girl from Wolverton Mountain>(全米38位)がリリースされています。
彼女はダンサーから歌手になったという異色のキャリアの持ち主で、歌手としてデビューしたあとはカントリー系のレパートリーを多く歌いました。そのなかでこの曲は比較的カントリー色の弱い、いわゆるガールズポップ仕立ての曲で、60年代初期特有のノリがいいですね。ちなみにこの曲はサブスクリプションにはアップされてません。
<Vain Dog(in Rain Drops)>
Noodles
今回選んだ10曲のなかで唯一の日本人アーティスト。オリジナルはピロウズで、01年のアルバム『Smile』に収録されています。
実はオリジナルを聴いたときはさほど気に留めてなかったのですが、04年にピロウズのトリビュートアルバム『Synchronized Rockers』に入っていたこのヌードルス版を聴いたときに「うおお!なんていい曲なんだ!」と思ったのでした。「雨の中で捨てられた犬」っていう表現がなんとも山中さわおイズムです。
<Walking In The Rain>
The Ronettes
最後はこの曲。ロネッツが64年にリリースし、全米23位になったシングルで、邦題は<恋の雨音>。
作詞作曲はシンシア・ワイルとバリー・マンの夫婦コンビですね。でも、この曲はなんといってもサウンドでしょう。カスケーズの上をいく序盤の雨と雷(エンジニアのラリー・レヴィンはこのイントロでグラミーを獲ったらしいです)から静かにボーカルが入って、コーラスでグワッとフルボリュームに駆け上がる、なんともドラマチックな展開は、いかにもフィル・スペクター的です。これ、アレンジはジャック・ニッチェですよね?こんなの嫌いな人いるのかよっていうくらいの名曲です。
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以上、タイトルに“Rain”がつく10曲でした。雨はうっとうしいけど、梅雨が明けるとそのあとにはさらにうっとうしい暑い夏がやってくるんですよねえ…。
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